ゴミ屋敷が発生する原因(身体的・精神的な病気により掃除ができない場合ばかりではない)と対処方法

住居に大量のゴミを溜め込んだ不動産,いわゆる「ゴミ屋敷」が日本各地で問題となっています。

ゴミ屋敷は,溜まったゴミが悪臭やネズミ・ゴキブリなどの発生原因となるだけでなく,ゴミが火災の原因ともなり得ることから,1件のゴミ屋敷が周囲の不動産の財産価値を低下させる要因ともなります。

そのため,ゴミ屋敷は,周辺住民の頭の痛い問題です。

以下,そもそもなぜゴミ屋敷ができるのか,またゴミ屋敷ができてしまった場合に,どのように対応すべきなのか,考えてみましょう。

ゴミ屋敷の発生原因

ゴミ屋敷に対する対応を考える前に,まずは,そもそも,なぜゴミ屋敷が発生するかについて考えてみましょう。

と言っても,ゴミ屋敷の発生原因は様々です。

居住者がいて,その人が精神的な疾患に罹患していたり,認知症のためにゴミの撤去という概念が欠落してしまっている場合が考えられます。

また,居住者がいて,ゴミの撤去意思はあるものの,体力的・身体的な問題で,事実上,ゴミの撤去ができなく場合もあります。

さらに,居住者がなく,他人がどんどんゴミを置いていった結果,ゴミがたまっていく場合もあり得ます。

その他,色々な要因が考えられ,ゴミ屋敷発生の原因は,一概には言えません。

他人がゴミを処分できないことがゴミ屋敷の問題点

次に,ゴミ屋敷の発生原因が,問題解決のためにどのような違いをもたらすか考えてみましょう。

ゴミ屋敷の発生原因が,居住者にゴミの撤去意思があるものの,体力的・身体的な理由から撤去できないことであった場合は,問題はそれ程大きくなりません。

費用の問題は生じうるものの,居住者と周囲の住人の意思は一致しているため,ゴミを撤去しようという方向性に違いがないからです。

この場合には,費用について居住者の親族の方に協力を求めるとか,居住者の方の生活の本拠地を行政に相談するなどの方法により,解決方法を探っていくことになります。

他方で,ゴミ屋敷の発生原因が,精神的疾患等によって居住者にゴミの撤去という概念がない場合や,居住者ではない者がゴミを放置していった場合は,話が異なります。

この場合には,居住者と協力して,ゴミを撤去することができず,他人がゴミを撤去することはとても困難となります。

なぜ,居住者の協力がない場合に居住者以外の者がゴミを撤去できないかというと,居住者以外の者が,ゴミ屋敷に溜まった物をゴミかゴミでないかの区別ができないことから,ゴミでないかもしれない他人の所有物を勝手に処分する法律上の根拠がないからです。

財産権は,憲法上も保障されており(憲法29条1項),ゴミでないかもしれない他人の所有物を勝手に処分することは違法行為となってしまいますので,ゴミを処分することにより損害賠償責任を負担することになり得ます(民法709条)。

憲法29条1項
財産権は、これを侵してはならない。

民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

この点については,条例を制定してゴミ屋敷に対する対応をするという自治体も増えていますが,まだ完全ではありません。

ゴミ屋敷に対する法的救済方法

ゴミ屋敷の居住者は,地域社会において孤立して自身の問題点に対応することができなくなって,ゴミの撤去を求める周辺住民とのトラブルになることが一般的です。

そこで,まずは周辺住民ではなく,自治体が主体となって,粘り強くゴミの撤去を働きかけることが大事になります。交渉術に長けていない周辺住民が感情に任せて直接交渉をすると,居住者の態度が硬化し,状況がさらに悪化することも考えられますので注意が必要です。

話し合いでの解決が難しい場合には,自治体による代執行や,悪臭発生,小動物・害虫発生,有害物質流出等の具体的な被害事実の発生を立証し,これを根拠に差止め請求,不法行為に基づく損害賠償請求を検討することになります。

なお,ゴミが敷地外にはみ出している場合には,事務管理(民法697条)による処分も考えられます。

おわりに

ゴミ屋敷に対する対応として法的強制力を用いた場合には,居住者の意思に反してゴミの撤去が行われることとなりますので,居住者の態度がさらに硬化し,以降再びゴミが集積されることになりかねないことから,問題の抜本的な解決につながらない可能性があります。

そのため,ゴミ屋敷問題の解決方法としては,困難ではあるものの,行政とともに粘り強く話し合いを続け,居住者によってゴミの撤去がなされるよう求めることが重要となります。

疑問点があれば,お近くの弁護士にご相談ください。



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