【交通事故による後遺障害】心臓の器質的障害

交通事故の衝撃によって,心臓に器質的損害が生じることがあります。

本稿では,以下,交通事故によって心臓に器質的障害が生じた場合の後遺障害等級について見ていきます。

 

第1 心臓とは

心臓は,縦隔の下部,体の中心線から少し左に傾いて位置する,おおむねこぶし大の主として筋肉からなる中空状の臓器で,重さは成人で約300gであり,その重量は体重の薬200分の1といわれています。

心臓は,循環器系の中心臓器で,血液を送り出すポンプの働きをしており,心筋繊維が,意志に関係なく一定のリズムで自動的に収縮と弛緩を繰り返すことにより,成人で,1回約70mlの排出量があり,1分間に約70回の拍出を行っています。

心臓は,中央の隔壁(中隔)によって左右に分けられ,左右それぞれ2つの心房及び心室に分かれています。なお,左右の心房の間には心房中隔,左右の心室の間には心室中隔があります。

各心房と心室とは大きく連絡しており,右心房と右心室の間には3枚の弁膜からなる三尖弁が,左心房と左心室の間には2枚の弁膜からなる僧房弁があり,それぞれ心室から心房への血液の逆流を防止する役割を果たします。

右心室からでる肺動脈には肺動脈弁が,左心房から出る大動脈には大動脈弁があり,いずれも3枚の半月弁からなります。

 

第2 心臓の器質的障害の場合の後遺障害等級

心臓の器質的障害の場合の後遺障害等級については,除細動器又はペースメーカーを植え込んだもの,房室弁又は大動脈弁を置換したものの2つについて定めがあり,それぞれ以下の格付けがなされています。

除細動器又はペースメーカーを植え込んだもの 心臓の弁(房室弁又は大動脈弁)を置換したもの
7級5号 除細動器を植え込んだもの  -
9級11号 ペースメーカーを植え込んだもの 心臓の弁を置換し、継続的に抗凝血薬療法を行うもの
11級10号  - 心臓の弁を置換し、9級11号に該当しないもの

心臓の弁を機械弁に置換した場合,血栓が形成されやすくなりますので,脳塞栓や弁の機能不全が生じることが予想されます。

そこで,これらを防止するために抗凝血薬療法が継続される場合がありますが,抗凝血薬療法の継続中に出血すると,血液が凝固しにくく,重篤な事態に至る可能性があり日常生活が相当に制限されることになりますので,心臓の弁を置換し,抗凝血薬療法が行われる場合には,行われない場合に比べて高い等級が認定されています。



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