日本には資産形成に適した投資信託が存在しない?

本稿では,士業の方の人生設計を考える上で,投資先として有力候補となるであろう投資信託について考えたいと思います。

第1 投資信託とは

1 投資信託とは

投資信託は,多くの投資家から資金を集め,その資金を世界中の資産に分散投資をすることによって,リターンを確保する金融商品です。

投資信託を始めるのは1万円程度から可能であり,長い時間をかけて少しずつ市場に投資をして,また長い時間をかけてそのリターンを回収することに意味があります。

また,分散ポートフォリオに投資しているだけで,リスクヘッジができる上,ただ単に保有しているだけで一定のリターンを実現できるという極めて優れた投資商品です。

分散投資をしているため,どんな資産が上がったり下がったりしても趨勢に影響はなく,専門家が運用・管理をしてくれるため,また銘柄の選定や売り買いのタイミングに悩んだりする必要もありません。

その意味で,長期投資ができる優良な投資信託を選定し,その後はその投資信託に積立投資を選択するだけで,放っておいても資産形成ができていきますので,忙しい方にも向いている投資手法といえます。

2 アメリカにおける投資信託

実際,投資信託先進国であるアメリカでは,何十年もの歴史があるファンドが多く存在しており,また数十年間の平均利回りが10%を超えるような化け物ファンドまで存在していたりします。

 

第2 日本の投資信託の実情と問題点

1 日本における投資信託の実情

ところが,日本における投資信託は,本来の目的とはかけ離れた運用がなされています。

その問題点の最大のものは,投資信託が金融機関の窓口で売られていることによるものです。

では,なぜ投資信託が金融機関の窓口で売られることが問題なのでしょうか。

2 日本の投資信託の問題点

日本国内で設定されている多くの投資信託は,投資信託運用会社,受託銀行,販売金融機関の三者構造で運用されています。

すなわち,多くの場合,投資信託運用会社(金融機関の子会社の場合と,完全独立会社の場合があります。)がファンドと呼ばれる投資信託商品を企画したうえで,業務自体を信託銀行を受託銀行とし,投資信託運用会社のファンドマネージャーが,銘柄選定等の指示を受託銀行に行い,投資信託自体の販売や代金決済が販売金融機関(ほぼ全ての銀行で行われている。)の窓口を通じて行われることとなっています。

そのため,日本における投資信託のほとんどは,当初の販売の時点から,代金決済に至るまで,販売金融機関たる銀行の手数料ビジネスとされているのです。

投資信託が販売金融機関の手数料ビジネスである以上,販売金融機関としては,投資信託を何度も売買してもらったほうが儲かりますので,投資信託を販売する金融機関は,その時々のブームに応じた個人に食いつきのよさそうな投資信託をお勧めとして販売し,そのお勧めのブームが終わって基準価額が下がり始めると,次の投資信託に乗り換えを勧めてくるのです。

当然,そこに顧客の利益などといった発想はありませんので,お勧め商品とは,客が資産運営をする上でお勧めの商品ではなく,販売金融機関が高額の手数料を受領できる販売金融機関にとってお勧めの商品なのです。

結果として,日本においては1つ1つのファンドが大きく育つことが少なく,金融機関において投資信託の乗り換えが頻繁に発生することから,日本において販売されている投資信託の個人の投資信託保有平均期間は2~3年という,長期投資の利点など微塵も存在していない意味のないファンドが乱立する状態となってしまっているのです。

 

第3 投資信託にかかるコストについて

次に,日本の多くの投資信託に要するコストについて考えたいと思います。

投資信託に要するコストは,以下のとおりです。

①購入時

投資信託を購入する際,販売金融機関に支払う手数料であり,預り金の0~5%であることが多いといえます。

この点,購入手数料を必要としない場合には,投資信託運用会社から販売金融機関へ支払われる代行手数料が高額に設定されることで調整されています。

②運用・管理時

投資信託を購入してから売却するまでの間,販売金融機関・投資信託運用会社・受託銀行に対してその業務の対価として支払う手数料であり,年率預り金の0.4~3%であることが多いといえます。

なお,運用管理費用率の高さと,運用実績の高さとは相関関係はありません。

③売却時

ファンド解約時に要する手数料であり,手数料率はファンドによりまちまちです。

なお,この費用は,解約者の基準価額から差し引かれて信託財産に留保されます。

 

以上を見ると,ファンドを運用する投資信託運用会社ではなく,単に投資信託を販売するだけの販売金融機関が相当の報酬を受領していることがお分かりいただけると思います。

また,販売時に手数料を引かれていますので,運用開始時点で,その手数料分のビハインドを負担していることになります。

そのため,投資信託の運用に関与しない販売金融機関に支払う費用はないに限るのではないでしょうか。

 

また,運用管理費用率の高さと,運用実績の高さとは相関関係はありませんので,運用管理費用はできる限り低率のものを選ぶべきといえます(アクティブ運用・インデックス運用の別の中で,より低額のものを選ぶべきです。)。

 

第4 投資信託を選定する際の視点

以上を踏まえて,長期投資の資産形成という投資信託の本質の下,リスクを抑えて高いパフォーマンスを期待するのであれば,①信託期間無制限,②分配金を再投資に回し,③購入時手数料が不要・運用管理費用率が低く,④運用資金が増えていっているものの中から,選別した上で購入を決定するべき考えます。

間違っても,銀行の窓口に行って,「投資信託を買いたいんですけど何かいいのありますか?」などという,カモネギな質問はやめましょう。



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