年末調整で処理されるサラリーマンの税金・社会保険料の負担が,自ら確定申告をする個人事業主・自営業者よりも高い額となる理由

我が国のサラリーマンの方は,自営業者の方と比べると,収入比で圧倒的に高額の税金・社会保険料を払っています(本来は払うではなく,納めるというべきでしょうが,ここではあえて払うと表記します。)。

サラリーマンと自営業者の徴税意識の違い

我が国のサラリーマンの方は,給与明細に明記されているにもかかわらず,自身が納めている税金額を正確に答えられる方はそれほど多くないと思います。ましてや,社会保険料に至っては,その認識すらされていないことも多いかもしれません。

サラリーマンの方が,給与明細を見て興味を示すのは手取り額。これに尽きるのではないでしょうか。

この点,自営業者は違います。

おそらく,自営業者のほとんどは,自身が負担する税額・社会保険料のいずれについても,円単位とはいわないまでも,それに近い数字まで把握しています。

では,サラリーマンと自営業者では,なぜこのような違いが出るのでしょうか。

また,このことがどのような違いを生み出しているのでしょうか。

サラリーマンと自営業者の徴税意識が違う理由

サラリーマンが税金や社会保険料に興味を示さない理由の最たるものは,サラリーマンの税金及び社会保険の支払いが,給与額に応じて勤務先会社において自動的に源泉徴収による天引きと年末調整による清算でなされてしまうためです。

自動的に徴税されるものであるため,サラリーマンが税金や社会保険料に知恵を絞ってもその支払いが減額されることはなく,無意味なのです。

その結果,サラリーマンは,納税に対する抵抗感を失ってしまうのです(納税意識が希薄であるため,税金の使われ方についても,また意識が希薄といえます。)。

ところが,自営業者は違います。

自営業者は,収入や経費を,比較的自由に設定できることから,所得額もある程度自由に決められます。結果として,必然的に自らの意志で税額及び社会保険料納付額をある程度決定することができます。

また,自営業者は,税金及び社会保険料の納付行為自体も,自分自身で確定申告を行った上,自ら行うこととなるため,支払いに対する抵抗感も給与からあらかじめ天引きされるサラリーマンとは段違いです。

そのため,自営業者は,納める税額・社会保険料をできる限り減らすべく,知恵を絞り,また節税のためのあらゆる手段を駆使します。

この徴税方法の違が,サラリーマンと自営業者とでは,税金・社会保険料納付についての大きな認識の違いを生んでいます。

サラリーマンと自営業者の徴税意識の違いがもたらす結果

では,かかるサラリーマンと自営業者の税金・社会保険料納付についての認識の違いが,どういう結果を生み出すのでしょうか。

日本には多くの公務員が存在し,また多くの公共サービスが行われていることからも,日本という国を機能的に動かしていくためには,当然一定額の税収が必要となります。また,人は老い,病気にかかるので社会保険制度も必要です。

この点,かかる税・社会保険負担強化を自営業者に求めると,もともと支払に抵抗感のある彼らは極めて強い反発を示します。

この反発は,ひいては選挙における自営業者からの獲得票を減少させることにつながりますので,国会議員は,自営業者に対する税負担強化(自営業者に対する負担強化のための税法変更)については,極めて消極的です。

これに対し,サラリーマンは,前記のとおり税に対する意識が希薄であるため,自身に対する税負担強化が求められても,自営業者ほどの反発を示しません。せいぜい,飲みに行った際に仲間内で手取りが減ったと愚痴をこぼすくらいです。

また,サラリーマンの納税は,源泉徴収により勤務先会社によって行われるため,徴税が極めて容易ですので,国がとりっぱぐれる危険も少ないのです。

そのため,国が税・社会保険料の徴収強化を図る場合,その矛先は,真っ先にサラリーマンに対して向けられることとなるのです(真っ先とは言い過ぎかもしれませんが,それに近いレベルで行われます。)。

この点は,社会保険料についても同様で,社会保険制度の破綻を避けるため,構造的にサラリーマンが搾取されていくことにつながるのです。

おわりに

以上が,サラリーマンの税金・社会保険料の負担が自営業者よりも多い理由です。

自動的に源泉徴収による天引きと年末調整による清算による徴税方式が,サラリーマンの税金・社会保険に対する意識の希薄さを生み,これがサラリーマンに対する課税強化につながっているのです。

自らの利益を守るため,サラリーマンの方々も,もっと声を上げるべきだと思います。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です