若い世代の方が親世代の方に投資の相談をしてはいけない理由

 

若い世代の方は,自身の親を手本とし,親と同じようなスタイルで生活をすれば,親のように生活に困ることはないだろうという潜在意識の中で生活していることが多いと思います。また,親に対する信頼があるために,お金や投資についての相談をする場合も,親にすることが多いのではないでしょうか。

 

もっとも,若い世代の方が,親世代の方に投資の相談をすると,多くの場合に,その判断を誤ります。

その理由は,親世代の方と若い世代の方では,生きている経済状況が全く異なっており,親世代の考え方は,現在では通用しないからです。

以下,若い世代の方が親にお金の相談をしてはいけない理由を説明したいと思います。

 

第1 親世代の投資についての考え方

親世代の方は,高度経済成長の時代を生きてこられました。

今の日本を作ってこられたという意味では,感謝をしなければいけない世代の方といえます。

他方,別の目線で見ると,親世代の方は,高度経済成長の恩恵を最も受けた世代ともいえます。

 

親世代の方は,物質に価値を置いていた時代に生きておられましたので,一旦企業に就職できればその企業での終身雇用が約束され,またそこでは年功序列(年をとればとるほどに知識・経験が蓄積され,会社にとって貴重な存在となる。)により給料の増額が約束されているのが当たり前でした。

さらには,増加する人口によって保障される安定した社会保険制度まで存在していました。

 

また,土地神話によって不動産価値が年々上昇していきましたので,無理してマイホームを購入しても,経済的に破たんすることはほぼ考えられませんでした(不動産価格が上衝していきますので,オーバーローンになることがありませんでした。)。

 

加えて,プラザ合意をきっかけとしたバブル景気によって,銀行預金の金利が年6%なんていう,今では信じられない利率で預金・積立保険が運用されている時代もありました。

 

安定した給与が得られ,将来の保証も万全,放っておいても自宅の価値は上がっていく,預けている銀行預金の金利は年率6%であり10年程度でその額は倍になる。

そんな時代に,親世代の方が,自身の老後を心配して,リスク資産を保有してインカムゲイン目的の投資をする必要は全くありませんでした。

この時代のもっとも適切な投資は,会社で働いて得た給与の一部を預貯金するとともに,ローンを組んでマイホームを購入するというものでした。

つまり,親世代では,特段何らかのリスク資産を取得しないことが,もっとも優れた投資手法だったのです。

 

第2 若い世代のあるべき投資についての考え方

ところが,若い世代の方は,親世代の方とは,生きている時代が違います。

今日は,高度情報化された世界であり,物質よりも情報の有無に価値が置かれた時代です(現在の,世界の時価総額トップ10の企業名を見ていただければ,インターネット系の企業が,メーカー等を駆逐してしまっていることは一目瞭然です。)。

情報については,年をとればとるほど遅れていくのが一般的あり,会社に就職した者は,年をとればとるほど会社にとって価値のない人間になってしまいますので,もはや今日では年功序列は崩れてしまっています。

 

また,人口減少時代の日本では,長期的目線で見た場合に,不動産の価格上昇は望めないですし,安定した社会保険制度も維持できません。

 

さらに,世界一の借金大国である日本は,もはや超低金利政策を止めることは不可能ですので(超低金利政策を止めるときは,大きなインフレが起こるときです。),今後,預金等の運用が高利率でなされる可能性は皆無です。

 

すなわち,若い世代にとっては,働いても安定的な収入が得られる保証はなく,また今後給料が上がっていく保証もない上,将来生活費を工面できるだけの年金を得られる可能性も少ない状況で生活していかなければならないのです。

がんばって不動産を買っても,不動産価格の上昇は望めず,また銀行に預貯金をしても得られる利子はほとんどない状況です。

 

こんな時代であるからこそ,若い世代の方が,自身の老後を心配するならば,多少のリスクを負っても,インカムゲインを生む資産を保有して,自身の生活費を補うことを考えていく必要があるはずです。
すなわち,若い世代(現代)のもっとも適切な投資は,会社で働いて得た給与の一部で少しずつリスク資産を購入し,得られるインカムゲインを増加させていくことにあるはずです。

 

第3 まとめ

以上をまとめると,親世代の方は,特別なリスク資産を取得しないことが最善の投資であった世代です。

ところが,若い世代の方は,リスク資産を取得して,得られるインカムゲインを増加させていくことが最善の投資である世代です。

 

すなわち,親世代の方と,若い世代の方の,最善の投資手法は全く異なるものなのです。

この状況下において,何かをしなければいけない若い世代の方が,何もしなくて良かった親世代の方に投資相談をすることが,いかに意味のない話であるかお分かりいただけるのではないでしょうか。

若い世代の方の投資判断は,自身の知識と経験をフル活用して,自身の判断で行うことがベターです。

 

なお,本稿はあくまでも一般論を述べているものですので,親世代の方の中にも,投資に対する適切なアドバイスをしていただけれう方が多数おられることを否定するつもりはありませんので,ご留意いただければ幸いです。



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