交通事故加害者が被害車両の時価額全額を支払った場合当該車両の所有権を取得する理由

交通事故を起こし100%の過失割合によるとされた場合であり,かつ被害車両が全損と評価された場合には,交通事故を起こした加害者が被害車両の全損時価額の全額の支払いをした場合には(なお,双方に過失がある場合に過失分のみ支払ったにすぎない事案は除きます。),当該加害者が,被害車両の所有権を取得します。

加害者が被害車両の全損時価額全額の支払いをした場合の効果(被害車両の所有権の帰趨)

前記のとおり,交通事故を起こし100%の過失割合によるとされた場合であり,かつ被害車両が全損と評価された場合には,交通事故を起こした加害者が被害車両の全損時価額の全額の支払いをした場合には所有権が加害者に移転するのですが,その理由は,被害物につき,不法行為者がその被害物の価額全部を賠償した場合,民法422条類推適用により,不法行為者がその残存物の所有権を取得すると考えらるからです(通説。なお,権利について判例:大審院昭和14年12月23日判決,最平成元年4月7日判決・最判平成10年4月30日もこれを前提。)。

被害者に,二重取りをさせないという趣旨からみて,当然の結論ですね。

注意点

前記結論は当然として,このことから実務上どのような注意が必要になるかというと,交通事故被害者は,自分が運転していた車両が全損になったからといって,事故後に勝手に処分してはいけないということです。

このことは,保険会社の担当者や弁護士も意識していないことが多く,適当な回答をされる場合がありますが,被害者側において被害車両を勝手に処分すると,場合によっては,加害者側から賠償を受けた後,新たな損害賠償債務を負うことになりえますので注意が必要です。

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