【介入権】借地権譲渡を争点とする借地非訟事件での地主の対抗手段

日本においては,土地と建物とが別の不動産として扱われているため,理論上は,土地と切り離して建物のみを譲渡することが可能です。

もっとも,土地使用権のない建物は土地不法占有物件として無価値物となりますので,借地上の建物を譲渡する場合には建物だけでなく土地賃借権(借地権)もあわせて譲渡する必要があります。

この点,土地賃借権譲渡については土地賃貸人(地主)の承諾が必要とされているところ,その承諾が得られない場合には裁判所の許可により土地賃貸人(地主・地主)の承諾に代えることが出来るという制度が設けられています(借地借家法19条1項)。

以上からすると,法は,土地賃借権(借地権)譲渡について土地賃貸人(地主)の承諾が必要であるとしながら裁判所の許可によりこれが不要とするという構造となっており,土地賃貸人(地主)の反論手段がほとんどない地主に不利益な構造となっています。

本稿では,この借地人による土地賃借権譲渡許可申請がなされた場合に土地賃貸人(地主)が取りうる数少ない反論手段の1つである介入権について簡単に説明したいと思います。 “【介入権】借地権譲渡を争点とする借地非訟事件での地主の対抗手段” の続きを読む

建物所有目的借地権の存続期間が契約締結時期が平成4年8月1日の前後で異なる理由とは

建物所有を目的として締結される借地契約における契約存続期間については,その契約締結時期によって,その契約期間に違いが出ます。

知っている人からするとシンプルな話なのですが,意外と知られていない内容でもあるため,以下,できる限りわかりやすく説明したいと思います。 “建物所有目的借地権の存続期間が契約締結時期が平成4年8月1日の前後で異なる理由とは” の続きを読む

建物収去土地明渡認容判決を得た地主がこれを実現するための強制執行手続きの流れ

自分の土地上に建物を所有している人に対し,その建物を収去して出て行ってもらいたいという請求があります。建物収去・土地明渡請求といわれるものです。

では,この建物収去・土地明渡請求が裁判上認容されたにもかかわらず,債務者(建物所有者)が任意にこれを履行してくれない場合,法律上,どのようにこれを実現するのか説明します。 “建物収去土地明渡認容判決を得た地主がこれを実現するための強制執行手続きの流れ” の続きを読む

マイホーム購入は一点賭けの不動産投資である(資産形成・資産運用者が家を買うデメリットとは)

弁護士業務をしていると,必然的に,他人の考えを聞くことが多く,また他人の一生に触れる機会が多く発生します。

そんな中で,私が感じるのは,日本人のマネーリテラシーの低さです。

マイホームを買って家族を住まわせて一人前だとか,もしものときのために保険には入っておかなければならないなどと考えておられる方が相当数おられますが,全く理由がありません。

以下,憧れのマイホームの経済的な意味について説明します。
“マイホーム購入は一点賭けの不動産投資である(資産形成・資産運用者が家を買うデメリットとは)” の続きを読む

台風で飛んだ屋根瓦が隣の家や車を損壊した場合その修理代の支払義務を負うのか(損害賠償責任と保険適用について)

夏になると,日本列島をいくつも台風が通過していきます。夏の風物詩です。

この台風通過の際に,民家の瓦を吹き飛ばしていく被害が全国で多発します。 “台風で飛んだ屋根瓦が隣の家や車を損壊した場合その修理代の支払義務を負うのか(損害賠償責任と保険適用について)” の続きを読む

面積の単位である坪とは?その意味と㎡(平米)からの換算(変換)計算の方法

現在では,面積の単位は平方メートル(以下,「㎡」と表記します。)であらわします。
ところが,不動産売買の際に,土地の面積を表す場合には,一般に,坪でその単位を表します。

なぜ,そんなことになっているのか,坪数は具体的にどのように計算して算出するのかについて,以下説明したいと思います。 “面積の単位である坪とは?その意味と㎡(平米)からの換算(変換)計算の方法” の続きを読む

【地主の承諾書】借地上の建物に担保(抵当権)設定する際に銀行等の金融機関がこれを要求する本当の理由

借地上の建物(借地権付建物)を所有している人が,これを担保に供して金融機関から融資を受けようとした場合,当該金融機関から,担保設定についての地主の承諾書を取り付けるよう求められるのが一般的です。 “【地主の承諾書】借地上の建物に担保(抵当権)設定する際に銀行等の金融機関がこれを要求する本当の理由” の続きを読む

老朽化した建物の賃貸借契約を賃貸人側から終了させる方法(当然終了主張・解約申入れ・更新拒絶)

我が国では,建物に瑕疵があることにより,第三者に損害を与えた場合には,まずは占有者が過失責任を負い,占有者に過失がないときは所有者が無過失責任を負うとされていれています(民法717条,工作物責任)。 “老朽化した建物の賃貸借契約を賃貸人側から終了させる方法(当然終了主張・解約申入れ・更新拒絶)” の続きを読む

生活保護受給者に賃貸している大家さんが生活保護費から直接家賃を回収する方法(住宅扶助の代理納付制度)

賃貸アパート経営をしておられる大家さんの中には,生活保護を受給されている方に部屋を賃貸されている方も多くおられると思います。

生活保護を受給されている方は,生活費に困っていることが通常ですので,住宅扶助を受けていても他の生活費等に流用し,家賃を滞納する場合があります。住宅扶助を受けているからといって,必ずしも住宅扶助で家賃を支払ってくれるとは限りません。 “生活保護受給者に賃貸している大家さんが生活保護費から直接家賃を回収する方法(住宅扶助の代理納付制度)” の続きを読む

賃貸借契約更新の際に請求される更新料って何?更新料の発生条件・適正額等について

マンション等を借りて一定の期間(契約時に定めた期間)が経過した場合に,賃貸人から更新料の請求がなされる場合があります。

賃借人は,請求された更新料を支払わなければならないのでしょうか。また,支払わなければなら場合にはその適正額はいくらなのでしょうか。 “賃貸借契約更新の際に請求される更新料って何?更新料の発生条件・適正額等について” の続きを読む