仮眠時間は労働時間か(不活動時間分の賃金請求の可否)

長距離ドライバー,宿直を伴う警備員・医療従事者などの場合,労働契約上,実作業に従事しない不活動仮眠時間が設定されている場合があります。

実際の労働契約においては,この仮眠時間については,労働時間外として賃金支払計算から除外されていることがほとんどだと思われます。

では,この仮眠時間はすべて労働時間ではないとして賃金の支払いを要しないのでしょうか。

業務内容によっては,仮眠時間であってもすぐに業務に戻らなければならない場合もあり得ますので,一律に考えるべきではないでしょう。

そこで,以下,仮眠時間が労働時間と言えるかについて検討したいと思います。 “仮眠時間は労働時間か(不活動時間分の賃金請求の可否)” の続きを読む

採用内定取消しの法律上の位置づけ(意義・要件・効果等)について

世間では,新型コロナウイルスの蔓延によって政府より自粛要請が出された結果,日本における経済活動が縮小して多くの企業・経営者の業績が悪化しています。

そして,業績悪化に伴い,多くの企業において採用予定であった者の採用取消しがが行われているようです。

では,この企業の業績悪化に伴う採用取消しがなされた場合,採用内定者はどうすればよいのでしょうか。

以下,採用内定の法的性質,内定取消しの要件,内定取消無効の効果の順に,できるだけわかりやすく採用内定取消しの意義について説明します。 “採用内定取消しの法律上の位置づけ(意義・要件・効果等)について” の続きを読む

労働者が伝染病に感染した場合に労災保険金を受給できるか

本稿を書いている時点で,大都市を中心として日本中で新型コロナウイルスが蔓延しています。毎日のように,「新たに何名が感染しました」などというニュースが紙面をにぎわしている状況です。

もはや,他人ごとではなく,自分も新型コロナウイルス等の伝染病に罹患する可能性が高いのだということを前提として,日常生活を送る必要があります。

そこで,本稿では,不幸にも新型コロナウイルス等の伝染病に感染し,やむなく仕事を休まざるを得なくなった場合に,その補償として労災保険金の給付を受けることができるのかについて,労災保険金の給付要件,新型コロナウイルス等の伝染病罹患の場合のかかる要件充足の可否について検討したいと思います。 “労働者が伝染病に感染した場合に労災保険金を受給できるか” の続きを読む

伝染病蔓延の影響で休業に至った労働者の賃金減額の有無について

本稿を書いている時点では,大都市を中心として日本中で新型コロナウイルスが蔓延しています。

そのため,政府,地方自治体から非常事態宣言・自粛要請が出され,日本各地で,対象となる業種での営業停止・縮小が相次いでいます。

では,このような新型コロナウイルスをはじめとする伝染病の蔓延により従業員が休業するに至った場合,当該従業員の給与はどうなるのかについて,以下,場合分けして検討します。 “伝染病蔓延の影響で休業に至った労働者の賃金減額の有無について” の続きを読む

解雇予告手当は,普通解雇・懲戒解雇のいずれの場合でも認められるのか(労働基準法上の原則と労働基準監督署署長による除外認定について)

労働者が,使用者から解雇される場合,突然に即日解雇がなされたとすると,直ちに生活に困窮してしまう事態が発生し得ます。

そこで,法は,突然の解雇による労働者の生活の破綻・混乱を避けるため,使用者が労働者を解雇しようとする場合,使用者に,労働者に対する解雇予告義務・解雇予告手当支払義務を課しています。

では,この解雇予告義務・解雇予告手当支払義務は,どのような解雇形態であっても生じうるのでしょうか。 “解雇予告手当は,普通解雇・懲戒解雇のいずれの場合でも認められるのか(労働基準法上の原則と労働基準監督署署長による除外認定について)” の続きを読む

1日の労働時間は秒単位・分単位で計算するものであり時間の切り捨ては賃金未払となる

従前,労働基準法にいう労働時間は,原則として日単位で計算するのであり,週単位・月単位・年単位ではないということを説明しました。
本稿では,この日単位の計算についてより具体化し,1日あたりの労働時間をどのようにとらえるのかについて,実社会においてよく見られる労働時間切り捨ての合法性の検討を基礎として説明したいと思います。 “1日の労働時間は秒単位・分単位で計算するものであり時間の切り捨ては賃金未払となる” の続きを読む

労働基準法にいう労働時間は原則として日単位で計算する(未払賃金請求訴訟提起の前提知識)

残業や休日出勤をしているにもかかわらず,これに対する対価が勤務先から支払われない場合,未払いの賃金を勤務先に請求することが出来ます。

では,ここでいう残業や休日出勤とはどのようなものをいうのでしょうか。

以下,残業や休日出勤について理解するため,その前提となる労働時間の基本的な考え方を説明します。 “労働基準法にいう労働時間は原則として日単位で計算する(未払賃金請求訴訟提起の前提知識)” の続きを読む

地震・台風等の自然災害によって勤務先に出勤できず休業に至った従業員に給与は支払われるのか

日本は,諸外国と比べると,圧倒的に自然災害が発生しやすい国だといえます。

地震,津波,噴火,台風,大雨,洪水,土砂災害など数え出したらきりがありません。

世界で起こるマグニチュード6以上の地震の2割が日本で起きるとも言われており,このリスクは今後も減ることはありません。

では,このような自然災害の発生によって勤務先に出勤することが出来なかった場合,従業員の給与はどうなってしまうのでしょうか。 “地震・台風等の自然災害によって勤務先に出勤できず休業に至った従業員に給与は支払われるのか” の続きを読む

誤って勤務先会社の備品等を壊してしまった場合,従業員は全額弁償の必要があるか

どこかの会社に所属して仕事をする場合,必然的に会社の備品等を使用しますので,これを損壊してしまうことがあり得ます。

とりわけ運送業の場合には一定の割合で交通事故が事故が発生しますので,その発生頻度も高くなります。

では,従業員が勤務先会社の所有物を損壊してしまった場合,当該従業員は会社の損害を弁償する義務を負うのでしょうか。 “誤って勤務先会社の備品等を壊してしまった場合,従業員は全額弁償の必要があるか” の続きを読む

職場で部下に対してセクハラ行為をした加害者上司が負う3つの法的責任

勤務先において上司から部下に対する部下の意に反する性的言動があった場合(以下,「セクハラ行為」といいます。),かかるセクハラ行為をした上司は,責任追及をされたり,制裁を課されたりすることになり得ます。

では,セクハラ行為をした加害者である上司は,誰から,どの様な責任追及をされ又は制裁を課されるのでしょうか。 “職場で部下に対してセクハラ行為をした加害者上司が負う3つの法的責任” の続きを読む