外国人が日本で交通事故に遭った場合の準拠法と裁判管轄

特別永住者・中長期在留者を始め,観光客なども含めると,日本には多くの外国人の方が居住・滞在しておられます。

居住・滞在されている外国人の方も,日本にいる以上,一定の確率で交通事故に遭う可能性があります。

では,外国人の方が日本で交通事故に遭った場合,どこの法律が適用され,紛争が発展した場合にはどこの裁判所で審理されるのでしょうか。

結論から先に言うと,原則として日本の法律が適用され日本の裁判所で審理されるのですが,いずれも例外があります。

そこで,以下,外国人が日本で交通事故を起こした場合の準拠法と裁判管轄について,その根拠を踏まえて簡単に説明します。 “外国人が日本で交通事故に遭った場合の準拠法と裁判管轄” の続きを読む

共同不法行為者間の求償権の性質とその消滅時効期間について

複数の加害者の共同行為により被害者に損害を与えてしまった場合,共同不法行為者はどのような責任を負うかわかりますか。

また,共同不法行為者の1人が被害者に損害賠償をした場合,他方の共同不法行為者に対して行う求償権行使はどのようになるのでしょうか。

本稿では,共同不法行為者間の求償権について,その権利の性質と消滅時効についての考え方について説明します。 “共同不法行為者間の求償権の性質とその消滅時効期間について” の続きを読む

近親者固有の慰謝料請求権について(交通事故被害者の親族は被害者本人の損害とは別に自身の精神的損害の賠償請求ができるか)

交通事故に起因する損害賠償は,被害者が被った損害の賠償を加害者に対して請求するものですので,原則として,請求権者は損害を被った被害者本人に限定されるはずです(民法709条参照)。

もっとも,交通事故によってその被害者が死亡したり重度の後遺障害を負ったりした場合には,交通事故被害者本人のみならずその家族・親族も大きな精神的苦痛を被ることが容易に想像ができます。

そこで,法は,この被害者の親族自身が被る精神的損害についても一定の填補を得ることができるとしています。いわゆる近親者固有の慰謝料です。 “近親者固有の慰謝料請求権について(交通事故被害者の親族は被害者本人の損害とは別に自身の精神的損害の賠償請求ができるか)” の続きを読む

従業員がマイカー通勤中に加害交通事故を起こした場合,勤務先会社も被害者に対する損害賠償義務を負うのか(使用者責任・運行供用者責任の有無)

従業員が通勤に自動車,二輪車,自転車を利用している場合,当該従業員が通勤中に交通事故を起こすことがあり得ます。

では,この場合,当該従業員を雇用する勤務先会社は,交通事故被害者に対する損害賠償義務を負うのでしょうか。 “従業員がマイカー通勤中に加害交通事故を起こした場合,勤務先会社も被害者に対する損害賠償義務を負うのか(使用者責任・運行供用者責任の有無)” の続きを読む

従業員がマイカー通勤・退勤途中に交通事故を起こした場合,勤務先会社は使用者責任として損害賠償義務を負うのか?

従業員のマイカー通勤を許可したり,場合によってはマイカー通勤に通勤交通費の支給をしている会社があります。

この場合に,マイカー通勤をしている従業員が,通勤又は退勤途中に交通事故加害事故を起こした場合,その勤務先会社は,損害賠償義務を負担するのでしょうか。 “従業員がマイカー通勤・退勤途中に交通事故を起こした場合,勤務先会社は使用者責任として損害賠償義務を負うのか?” の続きを読む

【直接請求権】交通事故被害者が加害車側保険会社に対して直接損害賠償請求ができる理由

交通事故加害車両に自動車保険が付保されているにもかかわらず,加害者側が保険を使わないなどと言って,保険対応をしてくれない場合があります。 “【直接請求権】交通事故被害者が加害車側保険会社に対して直接損害賠償請求ができる理由” の続きを読む

交通事故を起こした運転者に加えてその雇用主・勤務先会社も責任を負う場合

交通事故を起こしてしまった加害車両運転者が,被害者に対して,被害者が被った損害についての損害賠償義務を負うことは当然です(民法709条)。

ところが,加害車両運転者に加えて,加害車両運転者の雇用主・勤務先会社も賠償義務を負う場合があります。

以下,雇用主・勤務先会社が賠償義務を負う場合について検討したいと思います。 “交通事故を起こした運転者に加えてその雇用主・勤務先会社も責任を負う場合” の続きを読む