【起訴前鑑定留置】被疑者の精神鑑定目的で行われることが多い身体留置手続き

鑑定留置とは,被疑者または被告人の精神状態や身体についての「鑑定」をさせるために,必要により被疑者・被告人を病院などに「留置する」ことをいい(刑事訴訟法167条,同224条),一般的に起訴前に行われる鑑定留置を起訴前鑑定留置と呼んでいます。

鑑定留置(手段)は,鑑定(目的)のために行われるものですので鑑定と鑑定留置は別の手続きであり,起訴前鑑定留置は,検察官が起訴不起訴の判断を行うための鑑定を行うための時間的余裕を確保するために行われます。

無差別殺傷事件やセンセーショナルな事件の場合に行われることが多いために報道などで目にすることも多い手続きだと思いますが,意外とその詳細については説明されることがありません。

そこで,本稿ではこの起訴前鑑定留置について簡単に説明したいと思います。 “【起訴前鑑定留置】被疑者の精神鑑定目的で行われることが多い身体留置手続き” の続きを読む

オービスの手前に速度取締機設置という告知看板が掲示されている理由とは

オービス(自動速度取締装置)が設置されている道路では,その直前に,「自動速度取締機設置区間」などという看板が設置され,車両運転車にその先にオービスが設置されていることが分かるようになっています。

速度違反を取り締まるためには,事前に取り締まりがある旨を明らかにしていれば意味がないのではないかと疑問に思いませんか。

ところが,法律上は,この告知看板には重大な意味があります。

どういうことか,以下説明します。 “オービスの手前に速度取締機設置という告知看板が掲示されている理由とは” の続きを読む

保釈とは(制度趣旨,保釈金,問題点等について)

保釈という制度を知っていますか。

ニュースで頻繁に出てくる言葉ですので,何となく身柄拘束されている人が判決前に仮に釈放されることみたいな漠然としたイメージがあるのではないかと思います。

本稿ではそんな保釈という制度の概略について,弁護士の立場から,できるだけ分かりやすく説明したいと思います。

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私人逮捕(一般人による現行犯逮捕)が認められる理由と誤認私人逮捕の責任とは

私人逮捕という言葉をご存知ですか。

私人逮捕という単語は,法律に記載されたものではないため,法律用語という訳ではありませんが,世間ではこの呼び方が一般的と思いますので,本稿でもあえてこの用語に乗っかって説明します。
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取調べとは(法律上の意味,取調官は取調室でドラマで定番のカツ丼を出すのか等)

刑事もののテレビドラマを見ていると,よく「取調べ」のシーンが出てきます。「落としの某」などと,ベテラン取調官にスポットを当てた演出がなされたりもしているようです。

本稿では,知っているようで良くは知らない取調べの基礎について説明したいと思います。 “取調べとは(法律上の意味,取調官は取調室でドラマで定番のカツ丼を出すのか等)” の続きを読む

検視とは何か(法律上の根拠・意味,手続き等について)

「検視」という言葉を聞いたことがありますか。

検死と表記される場合がありますが誤りであり,法律上の呼び方は「検視」です。

イメージをつかんでいただくために誤解を恐れずに思い切って言うと,テレビドラマ等で,青い服を着てマスクをした警察官と思しき方が,死体発見現場において,死体に向かって合掌をした後,ごそごそやっている場面を目にすることがあるかと思いますが,あれのことです。 “検視とは何か(法律上の根拠・意味,手続き等について)” の続きを読む

刑事手続きにおける検証とは(五官の作用によって対象物を確認し証拠化する手続き概略)

刑事手続きにおける「検証」という手続きをご存知ですか。

テレビドラマやマスコミ報道などでよく,捜査機関による現場検証という単語を聞くと思いますが,この現場検証も,いわゆる検証の1つです。

本稿では,なんとなく知っているようでよく知らない検証手続きについて,簡単に解説したいと思います。 “刑事手続きにおける検証とは(五官の作用によって対象物を確認し証拠化する手続き概略)” の続きを読む

捜索・差押え(ガサ入れ)の基礎。法律上の根拠や令状・許可状発布要件について

「捜索」・「差押え」という言葉を聞いたことがありますか?

テレビドラマなどで,警察官が,突然とある場所に踏み込んでいって,家探しした後,証拠品を段ボールに詰めて持ち去ってしまうという場面を見たことがあると思いますが,その手続きが捜索・差押えです。 “捜索・差押え(ガサ入れ)の基礎。法律上の根拠や令状・許可状発布要件について” の続きを読む

刑罰を科されるとはどういうことか(刑法等の刑罰法規に反したことを刑事訴訟法に基づく刑事裁判手続きで認定されてはじめて刑事罰を受けることになる意味)

ある人が犯罪を犯した場合,警察・検察という捜査機関が集めた証拠を基に,裁判所の判断がなされてはじめて刑罰が科されます。例外はありません。

すなわち,刑罰権は国家において独占されており,国民による私的制裁は禁止されています。

では,この刑事罰を受けるという意味について,この刑罰権の行使についての基本的な考え方・問題点の順に簡単に説明します。 “刑罰を科されるとはどういうことか(刑法等の刑罰法規に反したことを刑事訴訟法に基づく刑事裁判手続きで認定されてはじめて刑事罰を受けることになる意味)” の続きを読む