【起訴前鑑定留置】被疑者の精神鑑定目的で行われることが多い身体留置手続き

鑑定留置とは,被疑者または被告人の精神状態や身体についての「鑑定」をさせるために,必要により被疑者・被告人を病院などに「留置する」ことをいい(刑事訴訟法167条,同224条),一般的に起訴前に行われる鑑定留置を起訴前鑑定留置と呼んでいます。

鑑定留置(手段)は,鑑定(目的)のために行われるものですので鑑定と鑑定留置は別の手続きであり,起訴前鑑定留置は,検察官が起訴不起訴の判断を行うための鑑定を行うための時間的余裕を確保するために行われます。

無差別殺傷事件やセンセーショナルな事件の場合に行われることが多いために報道などで目にすることも多い手続きだと思いますが,意外とその詳細については説明されることがありません。

そこで,本稿ではこの起訴前鑑定留置について簡単に説明したいと思います。 “【起訴前鑑定留置】被疑者の精神鑑定目的で行われることが多い身体留置手続き” の続きを読む

取調べとは(法律上の意味,取調官は取調室でドラマで定番のカツ丼を出すのか等)

刑事もののテレビドラマを見ていると,よく「取調べ」のシーンが出てきます。「落としの某」などと,ベテラン取調官にスポットを当てた演出がなされたりもしているようです。

本稿では,知っているようで良くは知らない取調べの基礎について説明したいと思います。 “取調べとは(法律上の意味,取調官は取調室でドラマで定番のカツ丼を出すのか等)” の続きを読む

刑事手続きにおける検証とは(五官の作用によって対象物を確認し証拠化する手続き概略)

刑事手続きにおける「検証」という手続きをご存知ですか。

テレビドラマやマスコミ報道などでよく,捜査機関による現場検証という単語を聞くと思いますが,この現場検証も,いわゆる検証の1つです。

本稿では,なんとなく知っているようでよく知らない検証手続きについて,簡単に解説したいと思います。 “刑事手続きにおける検証とは(五官の作用によって対象物を確認し証拠化する手続き概略)” の続きを読む

捜索・差押え(ガサ入れ)の基礎。法律上の根拠や令状・許可状発布要件について

「捜索」・「差押え」という言葉を聞いたことがありますか?

テレビドラマなどで,警察官が,突然とある場所に踏み込んでいって,家探しした後,証拠品を段ボールに詰めて持ち去ってしまうという場面を見たことがあると思いますが,その手続きが捜索・差押えです。 “捜索・差押え(ガサ入れ)の基礎。法律上の根拠や令状・許可状発布要件について” の続きを読む

捜査機関である警察と検察の違い(仕組み・階級・権限等)

刑事訴訟法上,司法警察職員が第1次的捜査を行い(刑事訴訟法189条2項),検察官が補充的に第2次捜査を行うとされています(刑事訴訟法191条)。

わかりやすく言うと,司法警察職員が,どこかで犯罪があったみたいだという情報を得て(捜査の端緒といいます。),捜査を開始し,証拠を固めて,記録(場合によってはあわせて被疑者の身柄を)を検察庁に送り,検察官の追加捜査を経て,起訴・不起訴の判断がなされるという手順がとられます。
以下,捜査機関としての警察及び検察について犯罪捜査に必要な範囲でその仕組みを見ていきましょう。 “捜査機関である警察と検察の違い(仕組み・階級・権限等)” の続きを読む

逮捕されてから起訴・不起訴判断がなされるまでの身体拘束期間が23日間を超えない理由

刑事訴訟手続きは,①捜査の端緒→②捜査→③公訴提起→④公判手続き→⑤判決(上訴)→⑥刑の執行,という一連の流れで行われます。

本稿では,このうち,捜査機関において犯罪を犯したと疑われる者が捜査機関から捜査(②)に必要として身体拘束を受ける場合(逮捕及び起訴前勾留)の期間制限についての説明をしたいと思います。なお,被疑者を拘束して捜査が行われる場合と,被疑者を拘束しないで捜査が行われる場合があります(被疑者を拘束しない場合は,在宅事件と呼ばれます。)が,本稿では身体拘束がある場合について検討します。

この点,結論からいうと,被疑者の身体拘束は,被疑者に重大な人権の制約を強いるものであるため,1つの事件について,逮捕から起訴・不起訴の判断がなされるまでの身体拘束期間は,最長で23日間を超えることは絶対にありません。 “逮捕されてから起訴・不起訴判断がなされるまでの身体拘束期間が23日間を超えない理由” の続きを読む