道路左端に設けられたスペースである路肩と路側帯の違いがわかりますか。
一見すると同じように感じられるかもしれませんが、法律的には全く別の規制に服しています。
路肩の中で,道路標示によって区画された「歩道が設けられていない道路または歩道と接していない側の道路」の路端の帯状のスペースを特に路側帯といい(道路交通法2条1項3号の4)、路肩は車道として扱われるのですが,路側帯は歩道として扱われるのでその意味は全く異なります。
本稿では,この紛らわしい路肩と路側帯の違いについて説明します。
【目次(タップ可)】
路肩とは
路肩の意義
イメージを持ちやすくするために誤りを恐れずに言うと,道路の左隅のスペースが路肩です。そのため,当然に路肩は車道であり,以下の目的のために道路に設置されたスペースです。
①混雑時における緊急自動車の通行
②駐車(車両の故障または緊急時において,後続車の追突を防ぐため)
③雨天時における歩行者への水しぶきの防止ないし緩和
④歩行者・自転車等の通行(通行が許可されている場合に限る)
⑤道路の舗装などの構造の保護(通行帯部分の舗装への雨水の浸透を抑止するほか,舗装の端部が壊れても通行可能となる)なお,舗装されていない部分を保護路肩といいます。
路肩の構造
路肩については,道路法により,構造は道路構造令に,通行は車両制限令にそれぞれ委任していますので,興味のある方は参照してください。
なお,路肩は車道として扱われるのですが,路肩の保護等のため,緊急時以外の路肩はみだし走行は禁止されています(車両制限令第9条)。
車両制限令第9条 歩道,自転車道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路を通行する自動車は,その車輪が路肩(路肩が明らかでない道路にあつては,路端から車道寄りの0.5m(トンネル,橋又は高架の道路にあつては,0.25m)の幅の道路の部分)にはみ出してはならない。
路側帯とは
路側帯とは,道路標示によって区画された「歩道が設けられていない道路または歩道と接していない側の道路」の路端に,歩行者用として設置された帯状のスペースをいいます(道路交通法2条1項3号の4)。
路側帯は,道路上に引かれた白い直線による道路標示で区画され,その種類として①一本実線のもの,②一本実線及び一本破線のもの,③二本実線のものがあり,それぞれにおいて通行及び駐停車のルールが異なります。
路側帯の通行ルール
路側帯として扱われると,その部分は歩行者・軽車両用の通行道路(歩道扱い)となるため,一般車両は,横断・駐車・停車などの例外を除き,路側帯を通行してはならなくなります(道路交通法17条1項)。
その上で,路側帯内を軽車両が通行できるかによりさらに路側帯の通行区分が2つに分けられます。
①普通の路側帯(1本実線)・②駐停車禁止路側帯(1本実線+1本破線)
一本実線で区分された路側帯の場合と,一本実線と一本破線で区分された路側帯の場合には,歩行者のみならず,軽車両も著しく歩行者の通行を妨げない場合には路側帯の通行を許されます。
もっとも,路側帯を通行できる場合であっても,軽車両の通行は道路の「左側」部分に設けられた路側帯に限られます(道路交通法17条の2第1項)。
③歩行者用路側帯(2本実線)
二本実線で区分された路側帯の場合には,歩行者の通行のみが許され,軽車両の通行は許されません。
路側帯の駐車ルール
また,路側帯には独自の駐車ルールが適用されます。
①普通の路側帯(1本実線)
一本実線で区分された路側帯の場合には横幅が0.75mを基準として駐車方法が変わり,路側帯の横幅が0.75m以下の場合には区分線から車道側に駐車することとなり(路側帯に入ってはいけません),他方,路側帯の横幅が0.75m以上の場合は車両を路側帯に入れて車の左側面が路端から0.75m離れた状態で駐車することとなります。
②駐停車禁止路側帯(1本実線+1本破線)
一本実線と一本破線で区分された路側帯の場合には,路側帯の横幅の程度にかかわらず路側帯に入れての駐車が禁止されますで,区分線から車道側に駐車することとなります(路側帯に入ってはいけません)。
③歩行者用路側帯(2本実線)
二本実線で区分された路側帯の場合には,路側帯の横幅の程度にかかわらず路側帯に入れての駐車が禁止されますで,区分線から車道側に駐車することとなります(路側帯に入ってはいけません)。
注意点(路側帯と間違えやすい路肩部分)
「歩道が設けられている道路」の路端に設置された帯状のスペースは路側帯とは扱われませんので注意が必要です。
また,左端区分線が破線の場合には「歩道が設けられていない道路または歩道と接していない側の道路」であっても,その内側は路側帯とはなりません。