車道の左端に白色の実線が引かれている道路をよく見かけると思います。
この白色実線から内側(中央線寄り)の部分が車道であることに争いはありません。
では,白色実線から外側の部分については,どういう法規制になっているのでしょうか(なお,この白色実線の種類として①一本実線のもの,②一本実線及び一本破線のもの,③二本実線のものがあり,それぞれにおいて通行及び駐停車のルールが異なるのですが,本稿では一本実線の場合に限定して説明します。)。
路側帯の種類別である①一本実線のもの,②一本実線及び一本破線のもの,③二本実線のものについての通行ルール・駐車ルールについては,別稿:路肩と路側帯の違いとそれぞれの通行ルール・駐車ルールをご参照ください。
【目次(タップ可)】
白色の実線の外側に歩道がない場合
外側に歩道がない場合の白色実線の外側の位置づけ
歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられている白色の実線で表示されるものは,「車道外側線」と呼ばれます(道路標識,区画線及び道路標示に関する命令7条)。
そして,その外側に歩道がない場合には,道路の路端と白色の実線(車道外側線)との間は,路側帯と評価されます(道路交通法2条3号の4)。
路側帯とされることによる法規制
外側に歩道がないために,車道外側線と評価された白色実線の外側が,路側帯とされると,道路交通法上,歩道と同様の評価をされますので,以下の規制に服することになります。
①一般車両は,横断・駐車・停車などの例外を除き,路側帯を通行してはならない(道路交通法17条)。
②軽車両は,道路左側部分にある路側帯(歩行者専用路側帯を除く)を,「著しく歩行者の通行を妨げる場合」を除いて通行することが認められている(道路交通法17条の2)。
参考:自転車の通行区分
③歩行者は,歩道等(歩道及び路側帯ある道路)については,横断・工事等やむを得ないときを除き,歩道等を通行しなければならない(道路交通法10条)。
白色の実線の外側に歩道がある場合
外側に歩道がある場合の白色実線の外側の位置づけ
他方,白色の実線の外側に歩道がある場合には,道路交通法上,特別な法的意味付けをしていませんので,この白色の実線は,端に寄り過ぎると危険なためこの線の右側を通る方が良いとの目安を示す区画線という意味を持つにすぎません。
そして,その外側に歩道ある場合には,道路の路端と白色の実線(区画線)との間は,単に路肩として評価されます。
路肩とされたことによる法規制
外側に歩道があるために,白色実線の外側が,単なる路肩とされた場合,道路交通法上は特別な法規制が存在せず,基本的には車道と評価されますので,歩行者の通行が禁止され,車両・軽車両が通行するための道路とされます。
もっとも,「道路標識,区画線及び道路標示に関する命令」第5条別表第3は,車道外側線を「車道の外側の縁線を示す必要がある区間の車道の外側」と定義し,道路交通法17条1項本文は「車両は,歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては車道を通行しなければならない。」旨の通行区分を規定し,さらに,同法2条1項3号は,車道について「車両の通行の用に供するため縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によって区画された道路の部分をいう。」旨定義していることからすると,車道外側線の左側部分を無条件に走行することは許されないものと解すべきであると考えられます(大阪高判平成14年1月25日参照)。
路側帯と車道とを画する白色実線部分(線の上)は車道か路側帯かについて、ご教示ください!根拠までお示しいただければ、なお助かります!
相良武雄 様
車道外側線の扱いは,単に道路にひかれたペイントに過ぎませんので,そこに道路交通法上の規定もありません。
そこで,これをどう解釈するかといる解釈論の問題となります(必要な範囲で解釈している裁判例はありますが,これを明確に定義している判例は存在しないように思えます。)。
この点,通常,車道外側線の外側を路側帯と評価しますので,車道外側線自体を路側帯と評価することは困難であると思料します。
そうすると,その反射効として,車道外側線については,これを車道と考えるのが理論的であると思料します。
もっとも,以上はあくまでも当職の見解ですので,異なる裁判例があるかもしれませんので,参考程度にとどめていただければ幸いです。