交通事故の際の衝撃によって,大腸が損傷する場合があります。
交通事故によって大腸に損傷が生じた場合,損害賠償上はどのように扱われるのでしょうか。
以下,大腸とは何か,大腸の器質的障害についての後遺障害等級の順についてみていきましょう。
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大腸とは
大腸は,消化器である消化管の一部を構成する器官であり,盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸で構成されます。もっとも,自賠責後遺障害等級認定上は,肛門管も含まれます。
大腸の基本的機能は,水分の吸収と排便です。
盲腸及び結腸を亡失すると軽度の下痢を起こし,直腸を障害されると排便障害が生じます。
大腸の器質的障害についての後遺障害等級
大腸を大量に切除したもの
①結腸の全てを切除するなど大腸のほとんどを切除したもの:別表第二11級10号
永久人工肛門を造設したもの
①大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ,パウチ等の装着ができないもの:別表第二5級3号
②人工肛門を造設したもので前記①に該当しないもの:別表第二7級5号
大腸皮膚瘻を残すもの
①瘻孔から大腸内容の全部又は大部分が漏出するもので,大腸内容が漏出することにより大腸皮膚瘻に著しいびらんを生じ,パウチ等の装着ができないもの:別表第二5級3号
②瘻孔から大腸内容の全部又は大部分が漏出するもので,前記①に該当しないもの:別表第二7級5号
③瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもので,大腸内容が漏出することにより大腸皮膚瘻数編に著しいびらんを生じ,パウチ等の装着ができないもの:別表第二7級5号
④瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもので,前記③に該当しないもの:別表第二9級11号
⑤瘻孔から少量ではあるが明らかに大腸内容が漏出する程度のもの:別表第二11級10号
大腸の狭さくを残すもの
①大腸の狭さくが残存し,1か月に1回程度腹痛や腹部膨満感などの症状が認められ,単純レントゲン像において,貯留したガスにより結腸膨起像が相当区間認められるもの:別表第二11級10号
大腸の器質的障害についての後遺障害等級まとめ
切除 | 人工肛門造設 | 大腸皮膚瘻 | 大腸の狭窄 | |
5級3号 | ― | 大腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ,パウチ等の装着ができないもの | 瘻孔から大腸内容の全部又は大部分が漏出するもので,大腸内容が漏出することにより大腸皮膚瘻に著しいびらんを生じ,パウチ等の装着ができないもの | ― |
7級5号 | ― | 人工肛門を造設したもので5級3号に該当しないもの | ①瘻孔から大腸内容の全部又は大部分が漏出するもので,5級3号に該当しないもの、 又は ②瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもので,大腸内容が漏出することにより大腸皮膚瘻数編に著しいびらんを生じ,パウチ等のml装着ができないもの | ― |
9級11号 | ― | ― | 瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもので,7級5号に該当しないもの | ― |
11級10号 | 結腸の全てを切除するなど大腸のほとんどを切除したもの | ― | 瘻孔から少量ではあるが明らかに大腸内容が漏出する程度のもの | 大腸の狭さくが残存し,1か月に1回程度腹痛や腹部膨満感などの症状が認められ,単純レントゲン像において,貯留したガスにより結腸膨起像が相当区間認められるもの |