皆さんは,会社の究極的な目的は何だと思いますか?
売上でしょうか?利益でしょうか?はたまた,世間の評価でしょうか?
いずれも短期的には間違っていないと思いますが,長期的な目線で見ると違います。
会社の究極的な目的は,存続し続けることです。つぶれてなくならないことです。
会社がつぶれてしまえば,その名はもちろん,その会社が持っている技術・ノウハウが消えてしまい,結果として社会的価値を失ってしまうからです。
では,会社が消えてなくならないためには,どうすればいいのでしょうか?
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会社の存続・維持のために必要なこと
当然の話ですが,ある会社が現時点で提供している商品・サービスが,未来永劫そのまま変化をすることなく稼ぎ続けることはあり得ません。
マーケット上では,技術革新や,人々の努力によってより良くより安価な商品・サービスがどんどん提供されてくるからです。また,人の趣味・嗜好はうつろいやすく,新しいものに興味が移っていくからです。
そのため,商品・サービスを提供する会社も,マーケットの変化に応じて変化をしていかなけば必ず衰退します。
このことは,BtoBの会社でも,BtoCの会社でも違いはありません。
今どれだけ利益が上がっていても,また今どれだけ優れた商品・サービスを提供できていたとしても,そのままの形を続ければ,将来的にはどこかの時点で必ず陳腐化します。
変化がなければ,いずれマーケットから弾き出されますので,会社は,常にチャレンジし続けなければ存続できないのです。
このことについて,島田紳助氏が,2007年3月にNSCで漫才師を目指す若手向けに行った授業で端的にわかりやすく説明していましたので,紹介したいと思います。なお,島田紳助氏は,社会的に色々問題となった人ですが,話術もビジネスセンスもずば抜けた人であり,ためになる書籍も複数出版されています。特に,このDVDに収められた講義は,漫才師を目指す人のためになされたものですが,ビジネスの世界で生きている我々にとってもとても参考になる内容が満載です。
本稿に関連する内容は,このDVD内に収められた講義のうち,「XとYの分析」と題するテーマです。
このテーマは,一発屋芸人がなぜ一瞬だけ爆発的に売れてすぐに消えていくのかを説明するものであり,簡単に要約すると,自分自身の強み(同氏は,これをXと説明しています。)が,世の中のトレンド(同氏は,これをYと説明しています。)が合致した場合に,爆発的に売れるのだが,Yは常に移り変わっていくので,YがXとズレた時点で,一発屋芸人が消えていくことになるというものです。
要は,X(自分の売り)を,Y(世の中のトレンド)に常に合わせて追いかけていける人が売れっ子芸人で,Yに合わせることができずに残されていく人が一発屋芸人であるということでした。なお,私が説明するよりもDVDを見る方が100倍わかりやすいと思いますので参考にしてください。
この理は,ビジネスの世界でも同様です。
人の欲望はとどまることがありませんので,マーケットでは,常により良い商品・サービスが求められています。
この傾向は,インターネットが普及した現在では特に顕著です。
新しい商品・サービスは,インターネットを通じて,すぐに全世界に拡散されるため,いい商品・サービスもすぐにパクられ,たちどころに陳腐化,すぐに飽きられていきます。
そのため,会社が商品・サービスを売り続けようと思ったら,X(自社の売り)を,Y(世の中のトレンド)に常に合わせていかなければならないのです。
良くも悪くも,会社としては,常に新しいチャレンジをし,商品を開発していかなければ,マーケットで生きていけないのです(研究開発費,宣伝広告費等を考えると,恐ろしい話ですが。)。
会社におけるチャレンジの困難性
ところが,会社において,チャレンジを行うのはそう簡単ではありません。
これを,経営者・中間管理職の立場で見てみます。成功体験がある会社であればあるほど,今ある成功体験から離れて行くことには,勇気がいります。
特に,会社の規模が大きくなればなるほど難しくなります。
別段,現在の状況を変えていかなくても大きく売り上げ下がる訳でもない反面,新しいことをして失敗すると責任追及されるため,過去の失敗事例が足かせとなり,また過去の成功者が抵抗勢力ともなります。
他方,従業員の立場で見ても,困難さがついて回ります。
新しいアイデアを会社で本格的に採用してもらうためには,直属の上司から順に究極的には役員に至るまでの決済が必要となるため,多くの場合,どこかの段階で握りつぶされてしまいます。
従業員1人1人が,勤務する会社の経営者としてものを考え,センス・オブ・オーナーシップの考え方で勤務をするようにと求められることが多いですが,実際の会社では,この通りの考え方をしても,評価が得られるものでないことが多いのです。
会社経営者は,先代から引き継いだものを次世代へ引き継ぐとともに,その会社から得た利益を享受するために,また従業員は,自身の生活のために,会社が,永続し,かつ儲かる会社であって欲しいと思っているはずですので,求める方向は一緒であるはずですが,必ずしもいい方向に向かっている会社ばかりではありません。
結びに代えて
会社を維持・存続するために,経営者・従業員がそれぞれ何をすべきなのかについて私がわかっているわけではないので,どうすべきを説明することはできません。
実際には,その会社や・業界によっても異なるんだろうと思います。
もっとも,実際に,時代時代に応じたチャレンジの結果,永遠とは言わないまでも,相当の長期間存続している会社は多く存在していますので,そのような会社から,色々学べることは多いのだろうと思います。
皆様も,一度考えてみてください。