4年に1度ある閏年の2月29日に生まれた人は,4年に1度しか年を取らないと思いますか。
直感的にはそのような気がしないでもないですが,仮に4年に1度しか年を取らない人が出来てしまうと法律上大問題が生じます。
そのため,当然ですが,法律上は2月29日生まれた人の年齢についても調整がなされており,同日生まれの人も毎年年を取るように定められています。
以下,2月29日生まれの人が毎年年を取る理由について説明します。
閏日・閏年とは
現在の日本では,明治改暦の結果、明治6年(1873年)1月1日からはグレゴリオ暦(太陽暦)が使われ現在に至っています。
この点,太陽暦では,1年(平年)を365日としているのですが,これと平均回帰年(365.242 189 44日≒365日5時間48分45.168秒)と間にずれがあるため,4年に1度だけ2月に1日追加し,この差をなるべく埋める努力がなされています。
この追加された日を閏日といい,閏日が挿入された年を閏年と呼んでいます。
この閏年は,400年間に97回あり,そのため,平年は28日間しかないはずの2月において,4年に1度だけ2月29日が生じることとなります。
法律上の年齢計算について
では,4年に1度しかない2月29日に生まれた人は,4年に1歳しか年を取らないのでしょうか。
実はそんなことはありません。
日本には,わずか54文字しかない「年齢計算ニ関スル法律」というものが制定されており,そこに,年齢は出生の日から起算し,その計算方法は民法第143条の規定を準用すると規定されているからです。
すなわち,2月29日に生まれた人は,同日に期間の起算を始め(年齢計算に関する法律1条),その起算日応当日(翌年の2月29日・実際は3月1日)の前日である2月28日(の24時)をもって1年が満了するとされることとなるからです(年齢計算に関する法律2条・民法143条2項)。
そのため,2月29日生まれの人は,法律上,2月29日に年を取るのではなく毎年2月28日の経過によって年を取ることとなるため,2月29日生まれの人も毎年1歳年を取ってしまうのです。
【年齢計算に関する法律(原文カタカナ)】 1 年齢は出生の日より之を起算す 2 民法第143条の規定は年齢計算に之を準用す 3 明治6年第36号布告は之を廃止す 【民法143条】 1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。 2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。