今日では,誰でも簡単にインターネット上に文章・写真・動画等がアップできるようになりました。
その結果,法律に関する情報も,その他の情報と同じく,記事やブログを通じてインターネットに溢れるようになっています。
ネット上に溢れる法律記事の信用性
インターネットは,法律を調べようとする上でも非常に便利なもので,何らかの法律単語を検索してみると,それこそ何万件という記事が出てきます。
調べる側からすると多くの情報にアクセス出来ますので,それ自体はとてもいいことなんだと思います。
もっとも,ネット上に溢れる法律記事には誤った内容であるものが相当数混じっています。玉石混交です。
おそらくこのことは法律記事に限らず,どの記事にも当てはまるのでしょうが,私は弁護士ですので,法律記事の誤りに特に目が行きます。
一例を挙げれると,交差点で信号待ちしていたら後ろの車がヘッドライトを切らないから法律違反だとか,交差点内で進路変更をしたのは法律違反だと主張するものが相当数存在します(一度検索してみて下さい。)。
なお,以上が誤っている理由については,本稿の主題とは異なりますので,ここでは結論は適示せず問題提起に留めます(結論が気になる方は,交差点内及びその手前での車線変更(進路変更)は道路交通法上許されているのか?,夜間に交差点手前で信号待ち停車する自動車はヘッドライトを消さなけらばならないのか?をご参照下さい。)。
なぜこのような誤った法律情報が多数あるかというと,おそらく専門家ではない方が,どこかで聞いた記事を,根拠を調べたりすることなく自分に都合よく解釈してインターネット上にアップしてしまうからだと思います。私が見た酷いものとしては,知り合いの警察官が法律違反だと言っていたとして主張を展開している記事を見たことがあります。
また,アップした後,記事のリライトを行わないこともその理由の一つだとおもいます。
さらには,ネット上に存在する先行の誤った記事が他の人にパクられて後行記事が作成されることにより,複数の事実と異なる記事が出来上がることもあります。
一般の人からすると,何個も同じ内容が書いてある記事を見ると,その記事の記載内容が真実ではないのではないかと疑うのは困難です。
難しい問題です。
ネット上の法律記事の真偽をある程度見極める方法
もっとも,法律記事について言えば,完全にとは言いませんが,一般の方でもネット上の法律記事の内容が真実であるか否かを一定レベルでスクリーニングする方法があります。
とても簡単な方法ですが,相当な分別が可能です。
それは,記事に根拠が書いてあるか否かに注目することです。
日本は,法治主義ですので,何らかの事柄が問題・紛争となった場合には,通常,それを解決する法律・裁判所裁判例が存在します。法律・裁判例がない分野でも,ほとんどの場合,学者の論文が存在します。
そのため,ネット上の記事の主張部分に,・法・条であるとか,・・裁判所判例であるとかの法的根拠が書いてあれば,一般の方から見ても概ねその記事の信用性が認められると考えていいと思われます(もっとも,記事を書いた人の法解釈が誤っている可能性もありますのて,完全とまでは言えませんが…)。
一般の方が専門家レベルの解釈をすることは困難だと思いますので,上記を一応の目安としていただければ参考になるのではないでしょうか。