弁護士業をしていると,少なからず非行少年と関わります。少年事件を介してであることが多いのですが,一般民事事件の依頼者・相手方・関係者であることもあります。
自分と違う世界で生きてきたということもあり,非行少年と話をすると,色々考えさせられることがあります。
本稿では,自分の子供が非行に走ってしまった場合,親としてはどう対処すべきかについて,業務を通じて関与した一弁護士の立場から考察してみたいと思います。
【目次(タップ可)】
子供が非行に走るまで
子供の成長は人それぞれです。
非行に走る理由もそれぞれです。
個人的な素養のみならず,社会の問題もあるかもしれません。
実際,成長に従って,人との距離がつかめなくなったり,社会常識になじめなかったりする子が出てきます。
思い悩んで精神的に疲れてしまう子もいれば,イライラを爆発させ周りに迷惑をかけて存在を示そうとする子も出てきます。
家庭の外のみならず,家庭内で暴力をふるう結果につながる可能性あります。
私自身が非行に走ったことはなく,また,日常的に非行少年と接したり学術的な研究をする立場にあるわけではありませんので,そこに至る詳しい理由はわかりません。
もっとも,何らかの理由から非行に走った場合,それに対する対応は必要となります。
非行に走った子供との接し方について
では,理解が追い付かずに非行に走るなど,子供がもがき苦しんでいる時期に,親はどうするべきでしょうか。
答えは,1つしかありません。
子供には怒って・怒って・怒り怒りまくる。
他人や警察には,謝って・謝って・謝りまくる。
これを子供が自分で乗り越える時期に至るまで続ける。
これしかありません。
親は,子供がどれほど手に負えなくなっても諦めてはいけません。
子が手に負えなくなってしまった場合には一定の距離感を保つ必要があるかもしれません。母親であれば男の子を力で抑えることは困難です。
場合によっては他人の手を借りなければならないかもしれません。
ただ,諦めてはいけません。
もういいと思った時点で,子供の心は閉じてしまいます。
やんちゃな子供も,いつまでもやんちゃな子供ではありません。
16歳・17歳の非行少年は,いつまでも16歳・17歳の子供であるはずがありません。
働き始めたときか,20歳になったときか,あるいは自分にも子供ができたときなのか,時期は人によってさまざまかもしれませんが,やんちゃな子供もいつか大人になります。
いつか社会に適応します(大人になると言った方がいいかもしれません。)。
非行に走る時期は,ただ単に,成長過程で抱えてしまった問題点について,経験不足から処理できない,表現できないだけなのです。
親の愛情は,いずれ更生をする子供にとってのとっかかりです。
親が,子供に対する責任を諦めたら,子供にも当然伝わります。
子供にとっても見捨てられた思いは消えません。
子供に注いだ愛情は,子供の中に溜まっていきます。
親である以上,子供に対してはいつまでも叱り続け,迷惑をかけた他人や警察には謝り続け,裁判所に呼び出されたら裁判官に対して毎回自分が責任を持って更生させると言い続けなければならないのです。
大変ですが,親の責任です。
余談:大人になった元非行少年と話をして
弁護士業を長く続けていると,過去に少年事件で担当した子供が,大きくなって挨拶に来てくれることもあります。
子供を連れてきてくれたりすると嬉しいものです。
大きくなった元非行少年と話をすると,勉強させられることも多いです。
よく話を聞いてみると,かつて「あほ,ぼけ,カス」と親を罵倒していた子も,その時期でさえも親に対する申し訳なさを持っていたようです。
表現の仕方がわからないだけなのです。
元非行少年に更生のきっかけを聞いてみると,ほとんどの子が親の愛情と答えます。
やはり,親の愛情が一番です。
「親は,子供がどれほど荒れてしまっても決して諦めない。」
これしかありません。
今,大変な時期にある人もいると思います。綺麗事を言うなと叱られるかもしれません。
ただ,大切なことです。
参考にしてください。