【代車の相当性】交通事故被害車両の代車は同等車とは限らない(特に外車・国産高級車の場合は要注意)

交通事故被害に遭った被害者は,被害車両の修理又は買換え期間中は,車両を使用することができません。

そのため,被害者が修理又は買換え期間中に代車を使用し,かつその期間中に代車を使用する必要性・相当性が認められれば,加害者に対して代車代の請求ができ得ます。

では,修理又は買換え期間中に使用した代車の使用料として,加害者に請求できる代車代の日額(代車のグレード)はどのようなものでしょうか。

 

第1 代車のグレードの基本的な考え方

交通事故被害者の方が,修理又は買換えの期間中の被害車両に代わる代車として要求されるのは,被害車両と同じか同程度のグレードのものであることがほとんどです。交通事故に遭わなければ,そのグレードの車に乗れていたのですから,ある意味当然の要求です。

この要求は,被害車両が,大衆車・商用車の場合には認められることが多く,裁判上も,大衆車・商用車の代車としては,被害車両と同程度のものの認定がなされる場合がほとんどです。

 

しかし,被害車両が高級車等であった場合には,必ずしもそうとは言い切れません。

代車費用が損害として認められるためには,代車使用の必要性の他に,「代車の相当性」が認められる必要があるからです。

代車の相当性が要求される理論的根拠は,事故車両を修理又は買換えのために使用することができないという比較的短期間の事態についてのいわば応急対応によるものですので,事故被害車両と必ずしも同一・同等の車種である必要はなく,事故被害車両の用途等に照らして,相応する車種の車両であれば足りると考えられるからです。

裁判例上も,代車の相当性について,「不法行為の被害者は,常に必ず事故に遭った被害車と同種又は同程度の代車代の賠償を求めうるものではなく,被害者としても信義則上損害の拡大を最小限度に抑えるべき義務があるものというべきであり,このような観点から相当性の認められる範囲で賠償を求めうるにとどまるものというべき」と判示しています(大阪地判昭和62年1月29日・交民集20巻1号154頁)。

そのため,事故被害車両が高級車である場合,そのことから直ちに高級車が代車として認められるものではなく,営業上の必要等,高級車を代車として認めなければならない具体的事情を立証することが必要となります(そうでなければ,グレードの落ちた車両の範囲でしか代車代の認定がなされません。)。

 

第2 高級外車の代車は国産車まで

この傾向は,被害車両が,高級「外車」である場合には,さらに顕著です。

「高級外車」が交通事故被害に遭った場合,裁判上では,ほとんどの場合,「高級国産車」の範囲まででしか代車代として認定されません。

 

一般に代車代日額が高額となる高級外車の場合には,前記裁判例(大阪地判昭和62年1月29日・交民集20巻1号154頁)のいう,被害者としても信義則上損害の拡大を最小限度に抑えるべき義務が,さらに強く働くため,高級「外車」を代車として認めなければならない具体的事情が認められることが難しいからです。

この高級外車を代車として認めなければならない具体的事情には,以下の事情は該当しないと判断されることが多いといえます。

①取引先の信用は認めない(京都地判平成5年10月27日)

②営業の必要性は認めない(東京地判平成7年3月17日・交民集28巻2号417頁)

 

第3 まとめ

以上をまとめると,交通事故被害に遭い,被害車両の修理又は買換えの期間中,代車を使用したとして,加害者に請求出来る代車代の限度(代車のグレード)は,被害車両を使用していた者の使用状況を個別・具体的に検討した上で,その者が,そのグレードの車両を使用する必要があると認められる具体的事情を立証できた範囲にとどまることとなります。

交通事故被害者の方には,使える代車のグレードが,事故被害車両と同等車種とは限らないことに留意をして代車のグレードの選択をされることをお勧めします(加害者に断りなく,自己の判断のみで被害車両と同等車種の代車を借りると,代車代を回収できずに,自己負担となる可能性がありますので,注意してください。)。

 

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