【自賠基準の休業損害】交通事故被害者が自賠責保険に休業損害を請求する際に知っておきたい基本的事項とは


交通事故被害に遭われてケガをされた方が,通院等のために休業を余儀なくされた場合,被った休業損害について,加害者本人に対しても請求できますが,加害車両に付保されている自賠責保険会社に対してもその請求ができます。

本稿では,前記のうち,自賠責保険に対する休業損害請求の基本について検討したいと思います。

自賠責保険における休業損害認定総論

自賠責保険は,被害者救済の観点から,加害者が負担すべき人的損害賠償金の一部を,簡易・迅速な手続きで支払いをすることを目的としています。

そのため,自賠責保険金は,一般に加害者本人に請求し得る金額(任意保険基準・裁判基準)よりも低額ではあるものの,要件充足さえすれば自賠責保険の基準によって計算された金額が速やかに支払われます。

そして,自賠責保険では,簡易・迅速な被害者保護の観点から,要件の認定は,基本的には面談等ではなく提出された立証資料を基に書面審査によって簡易・迅速に行われます。

このことは,休業損害の審査についても同様で,提出された資料を基に自賠責保険の支払基準(いわゆる自賠基準)に従って,休業損害=休業損害日額×日数という計算式に従って積算された金額の支払いがなされます。

では,自賠責保険に休業損害の請求をするためには,いかなる立証をしなければならなず,また立証が奏功した場合,どの範囲で支払いがなされるのでしょうか。

自賠責保険で休業損害認定を得るための立証事項と認定範囲

前記のとおり,自賠責保険では,基本的に書面審査によってその判断がなされるところ,休業損害の支払いを受けるためには,主に以下の4点について,信憑性のある資料をもって立証することが必要となります。

職業・就労の事実

事故前に所得を得ていなかった者に休業損害を認定する余地はありませんので,まずは職業又は就労の事実が認められることが必要です。

損害発生

また,休業損害は,損害てん補ですので,休業による収入の減少又は有給休暇の使用が認められることが必要です。

この2つが認められると,いよいよ認定休業損害額の検討がなされます。

休業損害日額

就労の事実と休業損害の発生の事実は確認できるものの,休業損害日額に関する立証がなされていない場合には,日額5700円とされます(支払基準)。

他方,休業損害日額に関する立証資料によって,5700円を超えることが明らかとなった場合には,1万9000円/1契約を上限として,円未満の端数は四捨五入した上で実額認定がなされます(自賠法施行令3条の2)。なお,実額の算出は,所得税控除前の所得金額に基づいてなされます。加害者本人に対する請求については,休業損害日額に上限はありませんが,自賠責保険基準ではかかる上限が設けられているのです。

以上から,責保険での休業損害日額は,5700円~1万9000円のいずれかの金額で決定されることになります。

支払基準
(1)休業損害は,休業による収入の減少があった場合又は有給休暇を使用した場合に1日につき原則として5700円とする。ただし,家事従事者については,休業による収入の減少があったとみなす。
(3)立証資料とにより1日につき5700円を超えることが明らかな場合は,自動車損害賠償保障法施行令第3条の2に定める金額を限度として,その実額とする。

休業日数

傷害の部位・態様・治療に要した日数・職種等の諸事情を総合的に考慮して,被害者が実際に稼働できなかった休業日数のうち,治療期間(事故日~最終治療日)を超えない範囲で決定されます

そのため,休業損害証明書に記載された休業日数が直ちにそのまま認定されるわけではなく,妥当と認められる範囲での個別判断がなされます。

支払基準
(2)休業損害の対象となる日数は,実休業日数を基準とし,被害者の傷害の態様,実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内とする。

実施要領
(1)治療期間とは,事故日から治療最終日までをいう。

まとめ

以上のとおり,自賠基準による休業損害は,提出された資料を基に信憑性が認められた事実に基づき,自賠責保険の支払基準(いわゆる自賠基準)に従って,休業損害=休業損害日額(5700円~1万9000円)×日数(治療期間を超えない範囲での妥当な日数)で認定されることになります。

参考にしてください。

なお、本稿は,自賠責保険における支払い基準の基礎について説明するものですので,実施要領上の細かい事項についての説明は別稿に委ねたいと思います。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です