エステサロンを開業するのに行政への届出・許可申請も特別な国家資格も必要ありません

自分の美的センスを生かせる仕事をしたい。独立をして,自分の思い通りの仕事がしたい。そんな想いを持って,エステサロンを開業したいと考えられる方も多いのではないでしょうか。

実際,繁華街にある大きなビルのテナントのみならず,住宅街や雑居ビルの一室,自宅の一部などでエステサロンを開業されている方も多く,注意して見れば街中のあらゆるところでエステサロンを見かけます。

ある種,花形職業と言えるかもしれません。

では,これからエステサロンを開業しようとする場合,どんな資格・手続きが必要なのでしょうか?

エステ業を行うこと自体に届出・許可・資格は不要

結論から先に述べると,エステサービス業を開業してエステ業務を行おうとするに際して,何らかの届出・許可申請や特別な資格は必要ありません

現在の日本において,エステサービス業そのものを規制する法律がないからです。

規制する法律がないため,エステサロンの開設・運営について,行政機関への届出等も要求されません。また,エステサロン経営についての衛生基準を定める法律もありません。

この点が,理容師法・美容師法により資格の取得と保健所への届け出が必要とされる理髪店・美容院と異なります。
また,資格は必要としないものの,平成22年9月15日付厚生労働省健康局長通達であるネイルサロンにおける衛生管理に関する指針によって,保健所による監督が実施されることとなったネイルサロンとも異なります。

さらには,エステティシャンについても,法律上の特別の資格は存在せず,誰がエステティシャンを名乗っても,直接何らかの規制の対象になることはありません(エステの業界団体が,独自の民間資格制度を定めて,エステティシャンの技量の確保を図っていますが,私的団体による制度にとどまるため,何らの法的根拠があるものではありません。)。

極論を言うと,完全な素人が,エステティシャンを名乗って,完全独学の独自の施術を行うエステサロンを開いても法律上問題となることはないのです。

個別の施術については特別な資格が必要なものがある

もっとも,法律の直接の規制がないからといって,エステサロンにおいて,いかなる施術でも無制限に行っていいというわけではありません。

エステ業やエステティシャンについて直接規制する法律はありませんが,法律で定められた資格を有するものでしかできない行為がありますので,かかる個別の規制行為については所定の資格を有する者しか施術を行えないことはもちろんです。

一例を挙げると,以下のものがあります。

① 医師法による規制

医療行為については医師でなければこれを行うことはできないとされていますので(医師法17条),レーザー脱毛やアートメイクを行うためには医師免許が必要です。

② 理容師法・美容師法による規制

理容を業とするためには理容師免許が,美容を業とするためには美容師免許が必要とされます(理容師法1条の2,6条,美容師法2条,6条)。

そこで,まつ毛エクステを行うためには美容師免許が必要です。

また,フェイシャルエステについても,当該施設が容姿を整え,又は美しくするために化粧品又は医薬部外品を用いる等業を行うに当たって公衆衛生上一定の知識を必要とするような場合には,理容師・美容師免許が必要です。

③ あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師に関する法律による規制

施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当の強さをもって行うなど人体に危害を及ぼし,又は及ぼす恐れのあるマッサージについてはあん摩マッサージ指圧師免許が必要です。この点については,はり師,きゅう師についても同様です。

終わりに

前記のとおり,個別の施術について一定の規制がなされることはありますが,エステ業自体・エステティシャン自体についての直接の規制がありませんので,わが国では,女性の美意識の高まり等もあって,無制限に市場が拡大しています。

他方で,市場の拡大に伴って,また規制の不備も相まって,エステサロンでの施術による健康被害等の様々なトラブルが発生しています。

また,エステ契約を巡る契約上のトラブルも散見されています。

エステ業についての規制の要否について,現在のままで問題ないのかについて,広く議論が必要となる時期に来ているのではないでしょうか。


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