【交通事故による後遺障害】すい臓(膵臓)の障害

交通事故の際,バイクのハンドルや,車のハンドル・ダッシュボードなどで腹部を強打することによって,すい臓の機能に障害が生じる場合があります(もっとも,事故直後に,すい臓の傷害を診断することは困難であり,通常は傷害によってすい液が腹腔内に漏れ出し激しい腹痛を訴えるようになってから判明することが多い障害といえます。)。

交通事故によるすい臓の機能障害が残存した場合,交通事故賠償上はどのように扱われるのでしょうか。

以下,すい臓とは何か,すい臓の機能障害についての後遺障害等級の順についてみていきましょう。

 

第1 すい臓とは

 

すい臓は,後腹膜腔(胃の裏側)にある,横径10~15cm,縦径約5cmの細長い実質臓器です。

すい臓は,オタマジャクシのような形をしており,頭にあたる十二指腸に囲まれた太い部分を「膵頭部」,左側の細い部分を「膵尾部」,その間を「膵体部」と呼びます。

すい蔵の主な役割は2つです。

1つは,食べ物(脂肪・蛋白・炭水化物)を分解するための消化酵素を含んだ「すい液」という消化液を分泌して十二指腸に送り出す外分泌機能であり,もう1つは,糖・脂質代謝に重要な機能を果たすインスリンやホルモンを分泌し血糖値を一定にコントロールする内分泌機能です。

 

第2 すい臓の障害の後遺障害等級

1 等級認定の考え方

すい臓の障害は,すい臓の主な2つの働きである,外分泌機能と内分泌機能の障害の有無により,後遺障害等級の認定がなされます。

2 すい臓の機能障害の後遺障害等級

(1)すい臓の機能障害による後遺障害等級

① 外分泌機能の障害と内分泌機能の障害の両方が認められるもの:別表第二9級11号

② 外分泌機能の障害又は内分泌機能の障害のいずれかが認められるもの:別表第二11級10号

(2)外分泌機能の障害とは

外分泌機能の障害とは,上腹部痛・脂肪便(常食摂取で1日ふん便中脂肪が6g以上であるもの),頻回の下痢などの外分泌機能の低下による症状が認めれられ,かつ次のいずれかに該当するものをいいます。

①すい臓を一部切除したこと

②BT-PABA(PFD)試験で異常低値(70%未満)を示すこと

③ふん便中キモトリプシン活性で異常低値(24U/g未満)を示すこと

④アミラーゼ又はエラスターゼの異常低値を認められるもの

(3)内分泌機能の障害とは

内分泌機能の障害とは,次のいずれにも該当するものをいいます。

①異なる日に行った経口糖負荷試験によって,境界型又は糖尿病型であることが2回以上確認されること

②空腹時血漿のC-ペプチド(CPR)が0.5ng/ml(インスリン以上低値)であること

③Ⅱ型糖尿病に該当しないこと

(4)補足

すい液は,消化酵素を含んだ液体であるため,皮膚と接触すると難治性の皮膚のびらんとなり,皮膚に痛みなどが生じることになりますので,軽微なすい液瘻を残したために皮膚に疼痛などを生じるものは,局部の神経症状としてその程度に応じて別表第二12級13号又は別表第二14級9号の後遺障害等級等級認定がなされます。

3 すい臓の障害の後遺障害等級まとめ

以上をまとめると,すい臓の障害についての後遺障害等級は以下のとおりとなります。

すい臓の機能障害 軽微なすい液瘻
9級11号 内分泌機能及び外分泌機能の両方の機能障害
11級10号 内分泌機能又は外分泌機能のいずれかの機能障害障害
12級13号 軽微なすい液瘻により局部に頑固な神経症状を残す
14級9号 軽微なすい液瘻により局部に神経症状を残す

 

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