【交通事故による後遺障害】下肢の機能障害(動揺関節)

交通事故被害に遭った場合に,不幸にも,下肢に動揺関節の後遺障害が残存する結果を残してしまう場合があります。

今回は,かかる交通事故による下肢の動揺関節の機能障害の場合の後遺障害について,検討します。

交通事故損害賠償上の下肢の3大関節

交通事故に起因する後遺障害等級認定において,下肢とは,股関節からリスフラン関節までの部分をいい,動揺関節を検討する上で問題となるのは,この範囲にある股関節・ひざ関節・足関節です。

下肢の機能障害(動揺関節)の認定基準

動揺関節とは

動揺関節とは,関節の安定性が損なわれることにより,関節の可動域が正常の場合(参考可動域角度)以上に運動が可能,又は異常な方向に運動が可能となったものをいいます。

下肢の機能障害(動揺関節)の判断基準

上肢の機能障害(動揺関節)として後遺障害等級認定がなされるためには,股関節・ひざ関節・足関節の下肢の3大関節のいずれかが,動揺関節となり,その原因が,神経性・靭帯性・骨性という器質的なものによる必要があります。

なお,靭帯損傷を原因として異常な関節運動が生じている場合については,関節不安定性と呼ばれています。

検査方法

動揺関節における検査方法としては,一般に,ストレスレントゲン写真(関節に負荷をかけた状態で撮影されたレントゲン写真)による画像検査,ひざ膝関節については前方引出しテスト,後方引出しテスト,ラックスマンテスト等の徒手的検査等によって判断されます。

下肢の機能障害(動揺関節)の後遺障害等級

動揺関節については,後遺障害等級認定表に該当する箇所はないものの,以下の基準で認定されます。

なお,自動運動であるか,他動運動であるかを区別されずに認定されます。

別表第二8級7号の用を廃したものに準じる

①常に硬性補装具を必要とするもの

別表第二10級11号の著しい機能障害に準じる

①時々硬性補装具を必要とするもの

別表第二12級7号の(単なる)機能障害に準じる

①重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの

②習慣性脱臼

③弾発膝

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