【交通事故による後遺障害】肝臓の障害(肝損傷の程度ではなく機能障害の程度で判断)

交通事故の際の衝撃によって,肝臓が損傷する場合があります。
本稿では,交通事故によって肝臓が損傷した場合,後遺障害等級認定上どのように扱われるのかについて見ていきましょう。

肝臓について

肝臓の役割

肝臓は,右葉と左葉で構成される,横隔膜の下部に存する体内最大の臓器です。

重さは,成人で1200~1400gもあります

肝臓の機能は,大きく分けると①胆汁の生成及び分泌,②炭水化物・脂肪・蛋白・ビタミンの代謝・合成・分泌,貯蔵,③胃・腸管から血液中に侵入した細菌や異物の捕捉,④薬物等の生体異物の代謝の4機能を有しています。

肝損傷の分類

(1)Ⅰ型 被膜下損傷(肝被膜の連続性が保たれ,腹腔内の出血を伴わないもの)

(2)Ⅱ型 表在性損傷(深さ3cm以内の損傷であり,深部の太い血管や胆管の損傷はなく,死腔を残さず縫合が可能なもの)

(3)Ⅲ型 深在性損傷(深さ3cm以上の深部に達している損傷であり,単純型では組織挫滅が少なく組織の壊死を伴わず,複雑型では挫滅・壊死が認められ循環動態の不安定を伴う)

肝臓の特殊性

肝臓は,胸腹部臓器の中で唯一,その大部分を切除しても,元の大きさに戻るという復元力を有する稀有な臓器です。

肝損傷があっても,損傷部分の切除・縫合が適切に行われれば,一旦相当部分を亡失したとしても,短期間で再生します。

そのため,交通事故により肝損傷が生じ,それに伴って一旦肝機能が低下したとしても,症状固定段階では,肝臓の復元にあわせて,肝機能も正常に回復します。

したがって,交通事故の直接外力による肝損傷自体では,後遺障害等級認定はなされません

肝臓の後遺障害等級について

交通事故による肝臓の後遺障害については,認定基準上,器質的な損傷ではなく,肝硬変と慢性肝炎による肝機能低下を基準として以下のとおりの後遺障害等級認定がなされます(もっとも,肝臓の摘出量や復元性,肝機能低下に伴う日常生活・就労状況等から,より上位等級が認定されることもあり得ます。)ので,注意が必要です。

①別表第二9級11号

肝硬変(ウイルスの持続感染が認められ,かつ肝機能検査値であるAST(GOT)・ALT(GPT)が持続的に低値であるもの。

②別表第二11級10号

慢性肝炎(ウイルスの持続感染が認められ,かつ肝機能検査値であるAST(GOT)・ALT(GPT)が持続的に低値であるもの。



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