幼い子供を100%株主とする会社を設立して相続税を節税する方法

現在,亡くなった方の遺産にかかる相続税の基礎控除額は,3000万円+600万円×法定相続人の数とされていますので(相続税法15条1項),資産家の方のみならず,一般の方に対しても相続税の手が及んでいます。都心に家を持っている方などでは,軒並み相続税の脅威にさらされています。

この相続税賦課に対する防衛手段として,節税スキームがいくつか存在してており,有名なところでは,基礎控除内の贈与の活用であるとか,孫養子などが挙げられます。

本稿では,これらのスキームよりは少し難易度が上がりますが,より効果的なものとして,子供を100%株主とする会社を設立し,その会社を成長させるというスキームを紹介します。

先祖代々の資産家の方にとっては,次世代が産まれたときから保有資産の引継ぎが開始されると思うのですが,子供が小さいうち(できれば,子供が産まれたすぐの段階)からこの方法を採ると,将来的に相当額の相続税を節約することができますので,特に資産家の方には魅力的なスキームとなると思いますので紹介します。

子供を100%株主とする会社が相続税節税スキームとなる理由

まず,なぜ子供を100%株主とする会社を設立し,その会社を成長させることが相続税の節税となるのかについてから説明します。

当然の話ですが,相続税が賦課されるのは,亡くなった人が亡くなったときに有している財産(遺産)についてです。亡くなった人が多くの財産を有していれば有しているほど高額の相続税がかかります。

そのため,相続税を節税しようと考えれば,亡くなった人(実際にはなくなるであろう人)の財産を目減りさせることが肝要です。

財産を目減りさせるためには,評価を下げる方法もあれば,その額を増やさないという方法もあります。

財産を目減りさせるといっても,損をするのであれば意味がありませんので,実際には,家族全体としての財産を減らすことなく,亡くなるであろう人の財産のみを減らすことが肝要です。

この点,子供を法人の株主とし,被相続人となる親が法人の役員又は従業員とした場合,役員又は従業員の営利行為によって上げた法人に計上される利益は,株主たる子供のものとなります。

すなわち,親の才覚で利益を上げても,親の財産とはならずに子供の財産となりますので,子供よりも先に亡くなるであろう親の相続税評価の対象となる財産が増えないために,結果的に相続税節税となるのです。

親が法人に無利息で金銭を貸し付け,法人において収益物件や株式を購入して賃料や配当を得るという方法によって法人の利益計上が可能かもしれません。

親が自身の名で賃料や配当を得れば,それは相続税評価対象となる財産となりますが,子供が株主である法人が賃料や配当を得れば,それは相続税評価対象財産とはなりません。賃料や配当を法人で一定の利益を得た後,元本のみを親に返済すれば,貸付金として相続財産として残ることもありません。

資産家の方にとっては,魅力的なスキームではないでしょうか。

15歳未満の子供を発起人として会社を設立することはできない

もっとも,子供が100%の株主とする会社を作るといっても,産まれてすぐの子供をいきなり株主(発起人)として会社を設立することはできません

なぜなら,法律上は,株主の資格に年齢制限はないため,産まれたての子供であっても株主になることに制限はないのですが,会社を設立するに際して必要となる定款認証に印鑑証明書の添付が必要となり,この印鑑証明書の発行の前提となる印鑑登録が,自治省からの通達によって各市区町村が15歳以上の者との制限されているからです。

そこで,実務上は,子供を発起人として会社を設立するためには,子供が15歳になりまで待たなければならないこととなります。

そのため,子供を発起人として会社を設立する方法では,産まれてから15歳になるまでの15年もの間の節税効果が失われてしまいます。

とてももったいない話です。

そこで,産まれてすぐの子供であっても,子供が100%株主となる法人を作り,この15年の節税効果をも獲得できるスキームとして,以下の方法をとるべきと考えます。

15歳未満の子供(産まれてすぐの子供)を100%株主とする会社を作る方法

前記のとおり,産まれてすぐの子供が発起人となって会社を設立することはできませんが,産まれてすぐの子供であってもその子を100%株主となる法人を作り出すことはできます。

一見複雑なように思えますが,実は,このスキームはとても簡単です。

単に,親が発起人となって会社を設立し,会社登記が終わった直後の株式評価が低い段階で,会社の発行済み株式の全てを子供に贈与してしまえばいいのです。

会社は資本金1円でも設立できますので,贈与税基礎控除内で資本金を設定してしまえば,設立直後に株式を全部譲渡しても贈与税はかかりません。

資本金1円で設立した会社の価値は1円しかありませんので(設立費用の評価は省略します。),贈与した1円の価値の物に贈与税はかかりません。

この方法によって,産まれてすぐの子供であっても,会社の100%株主となることができます。

あとは,子供を100%株主とした会社を太らせていけばいいのです。

やってみると意外と簡単なスキームです。

終わりに

なお,余談ですが,本稿に書いたような合法的な節税スキームはどれだけ行っていただいても結構ですが,くれぐれも脱税だけはしないでください。

迷った場合は,お近くの税理士さんに相談されることをお勧めいたします。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です