弁護士・医師に対する「先生」という呼び方・呼称は敬称ではない

先日,裁判所で,20代と思しき若手弁護士が,50代と思しき依頼者を叱りつけている現場を目撃しました。

そこに至る理由はわかりませんが,若手弁護士の態度は,人生の先輩に対する配慮の見られない見苦しいものでした。

一般社会では,20代の若造が,50代の大人にそのような態度を取るなど通常考えられませんが,弁護士業界では結構目にする光景でもあります。

なぜ,このようなことが起きるのでしょうか。

弁護士・医師が「先生」と呼ばれる理由

弁護士が前記の態度に出るのは,多くは弁護士側の人的成長度の低さが原因です。

どういうことかというと,弁護士になると,多くの場合,周りの人から「先生」と呼ばれます。

これは,弁護士だけの話ででなく,税理士・会計士・司法書士等の士業の方も同様です。医者も同じです。

この「先生」という呼び方は,その人が偉い人だからそう呼ばれているわけではありません。

「先生」とは,前記の肩書・資格持った人の単なるあだ名にすぎません。昔からそう呼ばれていたことの延長として,今もそのように呼ばれているだけです。

「先生」と呼べば,弁護士・医師に対して,その人の名前を覚えることなく会話が出来るため,名前を覚えなくても専門家と話ができる便利なツールとして現在も使われているにすぎません(病院で診察を受けるときに,医師に向かって「先生」と言っている場面を想像していただければ,その言葉の便利さがお分かりいただけると思います。)。

「先生」という呼び方は,社会生活上のありふれた呼び方である「ご主人」・「奥様」や,会社内での「主任」・「課長」・「部長」といった呼び方と何ら変わりがないものです。

ところが,残念なことに,「先生」と呼ばれることによって,自身が偉くなったと勘違いをする弁護士が多く存在します。

その結果,自分が偉い人なんだと勘違いし,相手方のみならず,依頼者や相談者に対しても,ろくに話も聞かずに偉そうに説教したりする人が出来てしまうのです。

多くの弁護士が,一般企業等に勤めることなく,そのために上司から怒られた経験が少ないということが,この状況を助長しています。

弁護士・医師の自戒を求めて

「先生」とは,本来は,人を教え導くことができる人を意味することが多いと思われます。

弁護士や医師というだけで一律に人を教え導くことができるほどの偉い人であるはずがありません。

弁護士であれば法分野が,医師であれば医学的分野が,一般の方よりも詳しいだけで,弁護士も医師も単なる一般人です。

弁護士・医師の中にも偉い人はいるのでしょうが,突き詰めて言えば,弁護士・医師というのは,単に,各種試験に合格しただけの人にすぎませんので,本来であれば一律に「先生」と呼ぶのは適切ではないはずです。

弁護士や医師は,クライアントから「先生」と呼ばれて喜んでいるような人にはなってはいけないと自戒をしなければなりません。

「先生」と呼ばれるのは偉くなったからではなく,名前を憶えられていないからと考えるべきです。勘違いをしてはいけません。

若手弁護士に対する,少しだけ先輩の中年弁護士からの忠告でした。

私自身に対する戒めの意味もあります。

偉そうな話をして,すみません。



2 Replies to “弁護士・医師に対する「先生」という呼び方・呼称は敬称ではない”

  1. ブログを拝見して、交通関係に精通された弁護士さんだと
    思いますが、他の弁護士さんと異なり、事務証明含めて
    プロフィールなどが書かれておりませんので、万一を踏まえ
    匿名と、架空のメールアドレスをお許し下さい。

    さて、私は事業を営んでおり、何名かの弁護士の
    お世話になったり、世間の話を聞いて思うに、実際は「先生」
    「宜しくお願い致します。」「誠にありがとうございました。」
    と三顧の礼ならず「三度の礼」で頭を下げないと対応が変わる
    弁護士が多数派に思います。

    行政主催で無料相談の年配の弁護士先生数名もですし、
    数名を抱える地元の弁護士事務所の30代弁護士さん
    もそうですし、同じく数名を抱える弁護士法人さんの
    40代の弁護士さんetc…。

    皆、一応にクライアントは「客」ではなく「教えを乞うてきた人」
    のような接し方であり「教えてやっている」とまで偉そうでは無いものの
    やはり、「わかってる俺(先生)」と「無知な人」という接し方でした。

    毅然とした態度や受け答えは「信頼」に繋がりますが、
    毅然と傲慢は違いますし、法律知識は無くても、その
    対応や空気ぐらいはバカなクライアントでも感じます。

    こちらが遜っていないと、わかってないくせに喋るなよ
    ぐらいのため息交じりの答えをする先生もいらっしゃいました。

    正直なところ、弁護士や医師に限らず、もし人に
    尊敬をされたいのであれば、尊敬される振る舞いを
    したほうが良いのにな。と感じます。

    弁護士に限らず、年長者や先輩に置き換えればわかりますが、
    「自分は上だ」と言った態度を取る年長者と、驕ることなく、
    自身より年が下の人へも「○○さん」と話し、真摯に対応する。
    そういった人は、職業に貴賎なしで私は尊敬します。
    (私にはまだ人生修行が足りていないと痛感さえします。)

    丁寧で「対等」な話し方での先生を残念ながら見た事が
    ありませんので(どうかすると補助者や事務の方まで
    「偉い」「クライアントは脳が無いから泣きついてきた」
    ぐらいに勘違いしている事務所もありました。)
    お書きになられている通り、便利なツールとして先生と
    呼んでおります。

    実際弁護士事務所を出ると「この人は尊敬できないな」と思う
    弁護士にも「先生」とペコペコしていたわけで、最早「先生」は
    尊敬から言うでは無く、更には「気分を害されてはいけない」という
    感情さえも無く、それを通り越して『自分が偉いと勘違いしたオッサン※
    が感情論で物を言ってきたリ、ぞんざいに処理されても面倒なので
    とりあえず「センセイ」と言っておくか。名前より字数も少ないし、
    名前も覚えなくて済むからね』ぐらいの蔑称ではないかとさえ思います。
    ※私もまもなく40歳を迎えるもうオッサンですが…。

    私も一度は法学部へ進み法の道を目指した身。
    今は「社長」と呼ばれますが「距離を感じますね(笑)
    「さん」で呼んでもらえたほうが嬉しいですね。
    あ、勿論呼びやすい方で良いですよ。」と取引先様の
    新入社員さんにも言っております。

    脱線しますが、社長は誰も守ってくれませんが、弁護士と医師は
    弁護士法と医師法で守られているのも一つの理由かもしれませんね。
    医師は「物理的」に仕方ないとして、弁護士法はどうでしょうかね…。

    友人の相談で法律の知識を教えて、「弁護士や、(ケースによっては)
    書士さんに頼めば良いよ~」ぐらいの話をして、ファミレスで
    ハンバーグ定食680円、その後にまた相談されてケーキセット
    480円をご馳走されるのも非弁になります。

    友人に「相談がある」と、弁護士に行けと伝えたものの、知っている
    知識が正しいかどうかは弁護士に聞けと言いつつ、それはこう
    じゃないのかなぁ。ぐらい教えても、ビビりな私は相手方が
    「今日は私が払うよ」と言われても「アカンねん。法律的な
    話をした後に、なにか貰うとかは事前事後関わらず違法やねん。
    この件で御礼とかしないで。」と言い「ほぇー、法学部へ行くような
    奴はやっぱり堅物やなぁ」と言われたりします。

    冷静に考えたら非弁活動のガイドラインを思うに、
    少し大きな怪我した友人に、自分にある医療知識を使い
    病院までの間の応急処置をするのも違法みたいな感じですよね…。

    勿論趣旨にある「専門家の正しい見解ではない」事を野放しに
    してしまうのはいけませんが、相談でメシを御馳走になる。
    そんなのも司法試験を通り、弁護士登録をした方しか
    出来ないわけです。要はライバルや競業がいない。
    なので、法さえ守れば年上の人を怒鳴りつけようが
    なにしようが、営業力があれば、受任事件も選べる。
    そりゃ、勘違いしてしまいます。仕方ないと思いますね。

    ただ、googlemap等で既に事務所が評価されて
    いたりしますし、法を使って削除はさせているでしょうけど
    その内ネットで評価できるサイト等が出来たらうかうか
    してられなくなるでしょうね。でも正しい事をされている
    弁護士ならば、寧ろそういった比較サイトがあったほうが
    良い結果になると思います。オウム事件のある弁護士
    含めて、司法試験は受かったけれど…。という弁護士
    先生が淘汰され、頑張っている弁護士が評価されますから…。

    めちゃくちゃ長文書いて失礼しました。
    皮肉にも見えますね。ごめんなさい。

    1. 匿名希望様

      コメントありがとうございます。
      当ブログについては,万が一にも依頼者の個人情報につながる記載があってはいけませんので,匿名にさせていただいております。ご容赦ください。

      さて,ご指摘いただきましたとおり,残念な話ですが,上から目線で話をする弁護士は数多く存在しています。
      なりたての頃は,丁寧に話をしている若手弁護士も,年次を経るに従って,だんだん話し方が偉そうになっていったりもします。
      ベテランになって,誰からも否定的な意見を受けなくなったら,これがますます加速し,お山の大将状態になることも多いです。
      自分も含めて反省をしないといけないと強く思います(私も,依頼者からは,偉そうだと思われているのではないかと思います。)。

      弁護士が増員され,他方で事件数が減少している今日においては,前記のような弁護士は淘汰されていくことになるのでしょうが,その過渡期ともいえる現在でもなお,人間としての当たり前の行動が出来ない者に対しては,一定の指導が必要かもしれませんね。

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