捜査機関である警察と検察の違い(仕組み・階級・権限等)

刑事訴訟法上,司法警察職員が第1次的捜査を行い(刑事訴訟法189条2項),検察官が補充的に第2次捜査を行うとされています(刑事訴訟法191条)。

わかりやすく言うと,司法警察職員が,どこかで犯罪があったみたいだという情報を得て(捜査の端緒といいます。),捜査を開始し,証拠を固めて,記録(場合によってはあわせて被疑者の身柄を)を検察庁に送り,検察官の追加捜査を経て,起訴・不起訴の判断がなされるという手順がとられます。
以下,捜査機関としての警察及び検察について犯罪捜査に必要な範囲でその仕組みを見ていきましょう。

警察について

まずは,1次的捜査を行う司法警察職員(警察)について見ていきます。

警察には,全国に存在する地方警察行政機関である都道府県警(都道府県警は,通常,・・県警といいますが,東京都警察本部のみ,東京都警といわず,警視庁と呼ばれています。)と,都道府県警を指揮監督する国家警察行政機関である警察庁が存在しています。

国家警察行政機関である警察庁の職員は国家公務員であり,その職員のごく一部はキャリア官僚です。他方で,地方警察行政機関である都道府県警の職員は地方公務員です。

警察官の階級は,以下のとおりとなります(警察法62条)。なお,以下のうち巡査長は,警察法62条で定められた正式な階級ではなく,巡査長に関する規則に規定された階級的職位であり,厳密にいうと巡査に属しています。

司法警察員 警視総監(1人)
警視監
警視長
警視正
警視
警部
警部補
巡査部長
司法巡査 巡査長(階級章を与えられた巡査,巡査長巡査)
巡査

階級の位置づけは,自衛官でいうと,警視総監は別格として,警視監・警視長・警視正が将官,警視・警部・警部補が士官,巡査部長,巡査(及び巡査長)が下士官のイメージです。また,民間企業でいうと,警視監・警視長・警視正が役員,警視・警部・警部補が中間管理職,巡査部長,巡査(及び巡査長)が平社員のイメージです。

キャリア官僚は,採用後すぐに警部補(民間企業でいえば係長クラス,自衛官でいうと少尉クラス)となり,そのまま階級を駆け上っていきます。なお,警部補といえば,テレビドラマにおける古畑任三郎の階級です。

他方で,ノンキャリアの階級上昇は極めて遅く,特に警部補と警部との間には分厚い壁があり,ノンキャリアで警部以上に昇進するのはまれといわれています

警察官の職務は,大きく分けて,行政警察活動と司法警察活動に分けられます。

行政警察活動とは,いわゆる一般的な警察行政行為一般を含む活動であり,治安維持活動,道案内等が挙げられます。

司法警察活動とは,刑事訴訟法上の犯罪捜査活動をいいます。

刑事訴訟実務において問題となるのは,これら2つの警察活動の内,司法警察活動です。

司法警察活動を行う警察官を,刑事訴訟法では,司法警察職員又は司法巡査といい,単なる警察官という用語は使用しません。

司法警察員と司法巡査では,捜査権限の範囲に違いがあり,司法警察員は,逮捕状請求(刑事訴訟法199条2項),捜索・差押検証令状請求(刑事訴訟法218条3項),検察官への事件送致(刑事訴訟246条本文)等の権限を有しますが,司法巡査はこれを有していないととされています。

検察について

続いて,2次的捜査を行う検察官(検察)について見ていきます。

法律上,検察官は,必要と認めるときは,自ら捜査をすることができる(刑事訴訟法191条1項)とされ,法律上は,検察官の捜査は補充的・2次的なものとされています。

検察庁には,最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁・区検察庁があり(検察庁法1条2項),検察官は,いずれかの検察庁に所属します。

検察庁は,検察官の行う事務を統括する機関とされていますが(検察庁法1条1項),検察権自体を検察庁が有するのではなく,個々の検察官が,検察権を行使する権限を有しており,それぞれが独立性を有しています(一般に,検察官は独任制官庁といわれます。)。

もっとも,検察官は検察行政機関の一員であることから,上命下服の世界でもあり,上司による決裁制度が存在しています。

検察官の階級は,以下のとおりとなります(検察庁法3条)。

検事 検事総長
次長検事
検事長
検事
副検事 副検事

検事は,司法試験合格者である必要がありますが,副検事は,一定の司法・行政事務に一定期間携わった者に資格が与えられることとされており(検察庁法施行令2条),そのほとんどが検察事務官経験者です。

検察官の職務は,公訴提起を行い,公判を維持し,裁判の執行を請求するなどの公益の代表者としての業務であるとされています(検察庁法4条)。

その最たるものは,公訴提起です。

日本で公訴提起をする権限を有するのは,検察官だけであり(国家起訴独占主義,刑事訴訟法247条),しかも,検察官は,被疑者が犯罪を犯したとする十分な疑いがある場合でも,起訴するかしないかについての自由な裁量まで有しています(起訴便宜主義,刑事訴訟法248条)。

結び

以上が,警察及び検察の仕組みの簡単な説明でした。

警察と検察の違いがよくわからないという人のための概要ですので,細かい点は割愛しております。ご容赦ください。



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