片手傘差し運転自転車が交通事故に遭った場合の過失割合(道路交通法の基本原則と裁判例の紹介)

雨の日に,街なかで片手で傘を差しながら走行している自転車を見かけたことはありませんか。

ビニール傘ならまだしも,布地の傘だと前が見えにくく,とても危険です。また,前が見えていても自転車を片手で操作しているため不安定なため,危険であることに変わりありません。この自転車の傘差し運転は法律上どのような問題があるのでしょうか。以下,法律上の扱いきら順に検討していきましょう。

傘差し運転自転車の法的扱い

道路交通法上,自転車は軽車両と定義されていますので(道交法2条1項11号),自転車は車両として扱われることになります(道交法2条1項8号)。

したがって,自転車は,法律に例外規定がある場合を除いて,道路交通法における車両を対象とする規制に服することとなります。

ところが,道路交通法には,自転車の傘差し運転を直接規制する文言はありません。

そのため,一見,自転車の傘差し運転は規制されていないかのように思えますが,そうではありません。

道路交通法71条4項7号が,各自治体の公安委員会に道路交通法に規定のない行為を規制する権限を委ねていることから,各自治体でこれを規制する取り決めがある場合には,自転車の傘差し運転は許されないこととなります。

道路交通法71条4項
何人も次の各号に掲げる行為は,してはならない。
7  前各号に掲げるもののほか,道路又は交通の状況により,公安委員会が,道路における交通の危険を生じさせ,又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為

例えば,大阪では,自転車の傘差し運転は,道路交通法71条7号からの授権を受けた大阪府道路交通規則13条2項によって禁止されます。

したがって,傘差し運転が禁止される自治体にて,これを行なって交通事故を起こした場合には,傘差し運転が過失の不利益修正材料として扱われます。

なお,自転車の傘差し運転は,そもそも禁止されている自治体が多いものの,禁止されていない自治体もありますので,当該自治体では自転車の傘差し運転は適法行為であり,これが全国一律に禁止される訳ではないことに注意する必要があります。

裁判例の紹介

以下,傘差し運転自転車との交通事故の過失割合についての裁判例を紹介したいと思います。

①大阪地判平成30年6月29日・自保ジャーナル2030号158頁

64歳女性による傘差し片手運転自転車が,夜間青色点滅信号横断歩道に進入した際,対向右折自動車と衝突した事故につき,傘差し運転の事実をも考慮して,自転車に40%の過失を認定した。


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