道路に物を置くことの可否(使用・占有許可)と,道路に置かれた物が交通事故発生に寄与した場合の道路使用者・占有者の過失負担の有無・過失割合とは

工事業者などが,工事をするために必要となる車両や資材を道路上に置いて作業をしている現場をよく見かけます。

このような道路使用は,法律上許されているのでしょうか。

道路交通法上の道路使用の基本原則

道路の使用方法については,道路交通法がその定めを置いています。

道路交通法は,道路における危険防止と交通安全・円滑を図ることを目的としていますので(道路交通法1条),道路交通法にいう道路とは,これらを図る目的がある場所の全て,すなわち一般の交通の用に供する道・自動車専用道路のほか,私道等の不特定の人や車両が行き来する場所もこれに含まれることになります(道路交通法2条1項1号)。

そして,道路交通法上,道路には,物を「交通の妨害となるような方法」,かつ「みだりに置いてはならない」と規定されています(道路交通法76条3項)。

要するに,物を置いたことにより,車両や歩行者が,これにより視界が遮られたり,これを避けなければ通行できなくなる恐れがある場合には,正当な理由なく道路に物件を置くことが原則として禁止されるのです。

道路は,主に交通の用に用いるものであり,危険防止・交通安全・円滑化の見地から見ると,当然の帰結です。

道路交通法76条3項
何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

道路使用原則の例外

もっとも,これを徹底して道路を通行以外に使用することが絶対にできないこととすると,道路交通以外の経済的・文化的な活動が強度に制限されることとなり,社会実態に適さない場合があり得ます。

例えば,路外敷地に建物を建築しようとする際に,作業足場や作業用車両が道路にはみ出してしまうような場合に,道路を交通以外に一切使用できないとすると,路外に建物が建てられなくなってしまい,大きな経済的制約が生じてしまいます。

そこで,一定の場合に道路使用の基本原則を緩和し,所轄の警察署長の許可をもって通行以外の目的のために使用することが出来るとされています。

道路使用許可と呼ばれるものです(なお,一般に作業用車両を停車させる場合等の一過性の使用の場合は道路使用許可ですが,足場・仮囲い等の工事に関係する仮設物を設置する等ある程度の期間を予定する場合は,道路管理者である自治体に対して道路占有許可申請をすることになります。もっとも,本稿は手続きを説明するものではないため,理屈が同じである道路占有許可についての説明は割愛します。)。

具体的には,以下の行為を行おうとする人物が申請した場合,道路交通法77条2項に定められた基準に従って,道路使用許可が出され得ます(道路交通法77条1項)。

① 道路において工事・作業をする場合の請負人(工事等が道路外で行われる場合であっても,一部が道路上に突出される場合も含まれます。多くの道路使用許可はこの事例でなされます。)

② 道路に工作物を設置しようとする人

③ 道路に露店・屋台等の店を出そうとする人

④ その他のイベント企画者

なお,道路使用許可申請書については,それぞれの所轄警察署又は警察庁のwebサイトからダウンロードできます。

道路交通法77条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。
一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人
二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者

もっとも,経済的・文化的な理由から,前記各事項に該当する場合に例外的に本来目的外の道路使用を認める必要があったとしても,無条件に道路使用を認めてしまえば,道路交通法が守るべき道路の通行の安全が図れなくなってしまいます。

そこで,道路交通法77条1項に該当する場合であっても,所轄の警察署長は,交通の安全・円滑のために必要な条件を付することが出来るとされており(道路交通法77条3項),かかる条件によって交通の安全・円滑性と経済性・文化性が保たれると判断されて初めて,道路使用許可が出されることとされます。

通常は,前記の道路使用許可申請時に,申請書に別紙で条件を付して請求するのが一般的です。

例えば,道路において工事・作業をしようとする人が,道路上に作業車両や資材を置くことの許可を求めてきた場合には,当該作業車両等の両端に誘導員を設置し,その両端から通行してくる車両等の安全を確保することを条件とすることなどが挙げられます。

補足

以上が,道路使用許可についてのあらましです。

もっとも,本ブログは,このあらましを説明したかったのではありません。

本稿の目的は,交通事故賠償上,この道路使用許可条件が過失に影響しうるということを説明することです。

どういうことかというと,許可を得ずに道路使用をしていたり,許可を得ていた場合であっても許可条件を満たさない作業をしていた場合,交通事故の直接当事者のみならず,道路使用をしていた工事事業者もまた,交通事故について起因性ありとして賠償責任を負う可能性があるということです。

具体的には,道路使用がなされている場所の付近で交通事故が起きた場合に,事故車両両当事者に加え,道路使用者もまた,道路使用により交通事故惹起に寄与したとして交通事故に対する過失負担をすることがあり得るということです。

つまり,交通事故が,事故車両両当事者,道路使用者の三者による共同不法行為により生じたものであると判断され得ます。

この場合には,具体的過失割合については,両車両の過失割合ををまず検討し,その後,道路使用形態に問題のある道路使用者の過失割合を検討し,この道路使用者の過失割合を,両車両に按分負担させて決定することとなるのが一般的です。

参考にしてください。



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