面会交流権は子供と分かれて暮らすことになった親の権利でもあり義務でもある

子供がいる男女が,訳あって一緒に生活が出来なくなった場合,通常は一方の親(母親の場合が多いと思います。)が,子供の親権・監護権を引き受けます。

この場合,他方の親は,一緒に生活していませんので,子供と会うためには,別途日程を調整した上で会う必要があります。

この子供と一緒に住んでいない親が子供と会うことを,法律的には「面会交流」と言います。

本稿では,面会交流が,子供と分かれて暮らすことになった親にとってどういう位置づけとなるのかについて考えてみたいと思います。。

面会交流における親の権利的側面

子供と分かれ暮らすこととなった親は,どういう感情で子供と会うと思いますか?

簡単です。

可愛い我が子と同じ時間を過ごしたいからです。

それまで,毎日当たり前のように見ていた子供の顔が恋しいからです。

面会交流とは,精神的に成熟過程にある子供にとって,情操教育上,「両親」に愛されていると感じて生活していくことは極めて大事なことですので,子供と一緒に暮らせなくなった親も,面会交流を通じて積極的に子供の成長に関わっていく必要があることから認められるものです。

そのため,面会交流は,この子供の情操教育上の必要性から,分かれて暮らす親にとっては,一方では権利であり,他方では義務でもあります。

もっとも,分かれて暮らす親も普通はそんなことまで考えが至ることはありません。

取り決めに従った面会交流が継続して行われている限り,そんなことを考える必要はなく,問題となることも通常はありません。

そのため,別れて暮らすこととなった直後の面会交流で問題となるのは,専ら面会交流のやり方についてです。なお,面会交流のやり方については,拙稿:面会交流に挑む親と送り出す親の双方が,子供に対してどう接するのが望ましいかをご覧ください。

ところが,子供と分かれ暮らすようになってしばらく時間が経ってくると,そもそも面会交流が行われるかどうかについて問題が生じてきます。

面会交流における親の義務的側面

前記のとおり,面会交流の取り決めをした場合,分かれて暮らすことになった親は,以降その取り決めに沿って時間を作り,子供に会い続けなければなりません。

子供と分かれて暮らすことになった直後の親からは,当たり前じゃないかと言われることが多いのですが,全然当たり前ではありません。

離婚をした夫婦には,離婚後それぞれ新たな生活がはじまります。
30歳で結婚し,40歳で離婚したとすると,別れた男女にはまだまだ倍以上の人生が残っています。

再婚をして新しい配偶者を得る可能性もあるでしょう。
その配偶者との間に子供が出来るかも知れません。

子供と分かれるに至った人が,前の配偶者の子供に会うということは,その時間・それに費やす費用(言い換えればその愛情)を今の配偶者との子供ではなく,前の配偶者の子供に捧げるということです。

分かれて暮らすことになった本人からすれば,どちらも自分の子供ですので当然の話ですが,新しい配偶者とその子供がこれを受け入れることができるかについては難しい問題が生じます。

場合によっては今の配偶者やその子供から止められるかもしれません。

もっとも,面会交流の取り決めをしたということは,この今の配偶者の制止を振り切ってでも,分かれて暮らすことになった子供と会う時間を作らなければならないということなのです。

分かれて暮らしていても,親の務めは簡単ではありません。

これが出来なかった場合,分かれて暮らすことになった子供が受ける精神的苦痛は計り知れません。

すなわち,新しい家族が出来たとたん会ってくれなくなった親が,自分よりも新しい子供を選択したんだと思い知らされる子供の感情はどうすればいいのでしょうか。

大人の感情で振り回された子供が可哀想すぎます。

終わりに

面会交流の取り決めは,今後の親子関係を左右する大事な取り決めです。

分かれて暮らすことになった親は,一旦会うと決めたら,何があってもその約束を守らなければならないのです。

親になるということは,一緒に暮らしているかどうかにかかわらず,子供の成長に責任を持たなければなりません。

簡単な役割ではないのです。

誰が言っているんだというツッコミは勘弁して下さいね。

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