高速道路・自動車専用道路における進路変更(車線変更)車両の道路交通法上の注意義務と過失割合について

高速道路上(自動車専用道路を含む)を走行していた車両と,進路変更車両との間で交通事故が発生した場合,その過失割合はどのように決められるのでしょうか。

以下,進路変更車両に,道路交通法上どのような注意義務が課されているかを一般道路での原則と高速道路での修正要素に分けて検討した上で,進路変更車両との間で交通事故が起きた場合の基本的過失割合について説明をします。

なお,進路変更とは,車線変更のほか,同一車線内において左右に方向を変えることをいいます。

進路変更といえる動きかどうかについては,車体の大きさ(幅)によって一概には言えないものの,四輪車の場合,従来の進路を大部分(半分以上)変えれば変更したとの見解があります(道路交通法執務研究会編著「13-2訂版執務資料動労交通法解説」p270,別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)p57)。

進路変更についての道路交通法上の規制

進路変更車両の一般的注意義務

一般道路は,人や車両の混在が当然に予定されていることから,道路交通法は,人と車両又は車両同士の接触回避という安全走行を優先する法規制がなされています。

具体的には,道路上を走行する車両は,進路変更禁止表示がある場所での進路変更が禁止されるのみならず(道交法26条の2第3項),進路変更自体が禁止されない場合であっても,無意味な進路変更は禁止され(道交法26条の2第1項),また他車の走行を妨害する場合も進路変更が禁止されています(道交法26条の2第2項)。

また,進路変更をする際は,進路変更を開始する3秒前にその旨の合図をする必要があります(道路交通法53条1項,同施行令21条)。

【参考論点】

高速道路における進路変更車両の注意義務

高速道路は,自動車のみの通行が予定されている道路ですので人と車両との接触回避を図る必要がないため,道路交通法上,一般道路とは異なって,安全を確保しつつも自動車の円滑な確保するよう法規制がなされています。

そのため,高速道路上の事故については,一般道路とは別の過失相殺率の基準場定められています。

【参考論点】

 

高速道路での車線変更車両と直進走行車両との本線上の交通事故の場合の基本的過失割合

四輪車同士の事故の場合

①走行車線走行先行進路変更車(四輪車)80%:追越車線走行後続直進車(四輪車)20%

追越車線を走行する車両は,走行車線を走行する車両よりも高速度であることが通常であるため,進路変更車両に,他の場合よりも高度の注意義務を課しています。

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【314図】参照

②その他の走行先行進路変更車(四輪車)70%:その他の走行後続直進車(四輪車)30%

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【315図】参照

四輪車と二輪車との事故の場合

①走行車線走行先行進路変更車(四輪車)90%:追越車線走行後続直進車(二輪車)10%

追越車線を走行する車両は,走行車線を走行する車両よりも高速度であることが通常であるため,進路変更車両に,他の場合よりも高度の注意義務を課しています。

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【316図】参照

②走行車線走行先行進路変更車(二輪車)70%:追越車線走行後続直進車(四輪車)30%

追越車線を走行する車両は,走行車線を走行する車両よりも高速度であることが通常であるため,進路変更車両に,他の場合よりも高度の注意義務を課しています。

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【317図】参照

③その他の走行先行進路変更車(四輪車)80%:その他の走行後続直進車(二輪車)20%

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【318図】参照

④その他の走行先行進路変更車(二輪車)60%:その他の走行後続直進車(四輪車)40%

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【319図】参照

高速道路での車線変更車両と直進走行車両との合流地点での交通事故の場合の基本的過失割合

四輪車同士の事故の場合

①合流車両(四輪車)70%:本線走行車両(四輪車)30%

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【311図】参照

四輪車と二輪車との事故の場合

①合流車両(四輪車)80%:本線走行車両(二輪車)20%

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【312図】参照

②合流車両(二輪車)60%:本線走行車両(四輪車)40%

別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【313図】参照



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です