ETCレーンでの追突事故における過失割合について

ETC車線では,走行路を塞ぐ形状で開閉棒が設置されているため,何らかの原因で開閉棒が開かなかった場合,走行車両が急制動をすることあります。

このETC車線での先行車両の急制動により,後続車両が先行車両に追突した場合,両車両の過失割合はどのように考えるべきなのでしょうか。

以下,ETC車線の通行方法を踏まえ,先行車両の急停止理由の別に過失割合を考えたいと思います。

ETC車線の通行方法について

法律の規定について

当然の話ですが,ETC車線も車線ですので,そこを通行しようとする車両の運転手には,前方注視義務が課されます。

また,これに加えて,道路整備特別措置法24条3項により,高速道路会社は,料金所付近の車両の通行法を定めることができるとされ,以下の規制がなされています。

道路整備特別措置法24条3項
会社等又は有料道路管理者は,この法律の規定により料金を徴収することができる道路について,料金の徴収を確実に行うため,国土交通省令で定めるところにより,国土交通大臣の認可を受けて,料金の徴収施設及びその付近における車両の一時停止その他の車両の通行方法を定めることができる。この場合において,第一項本文の規定により料金を徴収される自動車その他の車両は,当該通行方法に従つて,道路を通行しなければならない。

各高速道路会社による規制について

前記法律の委任を受けて,各高速道路会社は,約款・規則を作成し,ETC車線の通行方法を定めています。

もっとも,各高速道路会社の約款・規則は,ほとんど違いがなく,ETC車線に侵入する際は時速20km以下に減速すること,ETC車線内は徐行すること,先行車両との間に必要な車間距離を保持すること等が定められています。

ETCシステムの故障により開閉棒が開かなかったために先行車両が急停止したことにより追突事故が発生した場合の過失割合

裁判例

① 名古屋地判平成19年4月20日・交民集40巻2号561頁

先行車両過失0%:後続追突車両過失100%

基本的過失割合まとめ

後続車両運転者には,運転者車両につき,先行車両に続いてETC車線に進入させようとする際には,何らかの不具合により開閉棒が開かず,そのために先行車両が停止を余儀なくされる事態もありうることを予見した上で,後続車両を減速させ,かつ先行車両との車間距離を保持する義務があるとされています。

他方で,ETCシステムの故障による先行車両の急停止は,「危険を防止するためやむを得ない場合」(道路交通法24条)に該当するため,先行車両の運転者には急停止に過失を問わないことが一般的です。

そのため,ETCシステムの故障により開閉棒が開かなかったために先行車両が急停止し,後続車両が先行車両に追突した場合には,先行車両過失0%,後続追突車両過失100%としている事例がほとんどです。

先行車両のETCカード挿入漏れにより開閉棒が開かなかったために先行車両が急停止したことにより追突事故が発生した場合の過失割合

裁判例

① 横浜地判平成20年8月12日

先行車両過失10%:後続追突車両過失90%

基本的過失割合まとめ

開閉棒が開かなかった原因が,先行車両の運転手のETCカード挿入漏れであっても,後続車両が先行車両に追突した場合には,後続車両運転者に前方注視義務違反や車間保持義務違反等の過失が認められることに変わりはないといえます。

もっとも,ETC車線を通行しようとする際には,ETCカードを挿入して通行しなければならないとする規定(ETCシステム利用規程6条)に反した先行車両の運転者に過失を認めないとするのも公平に反します。

そこで,両車両の過失を検討するに,一般道路であれば,理由のない急停止は先行車両に30%程度の過失を認めることを前提として,ETC車線が,後続車両に一般道路と比べてより厳格な減速義務・車間保持義務を課される場所であることに鑑みて前記過失を若干調整し,先行車両過失10~20%,後続追突車両過失90~80%程度が妥当なラインといえるのではないでしょうか。

以上検討した点については,必ずしも議論が出尽くした争点とはいえませんので,今後の裁判例の集積が待たれます。



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