【交通事故による後遺障害】上肢の醜状障害

交通事故被害に遭い,不幸にも上肢の醜状障害を残ってしまった場合,後遺障害等級はどのように判断されるのでしょうか。

上肢の醜状障害とは

醜状障害とは

醜状とは,一般に,瘢痕・線状痕等(外傷・火傷などの傷痕等)などが身体に残った状態をいいます。

ここでいう醜状には,交通事故による外傷から直接生じたものだけでなく,手術などの交通事故後の処置などにより間接的に生じたものも含まれます。

認定対象部位

上肢の醜状障害について,後遺障害等級認定がなされるのは,上肢の露出面に生じている醜状障害に限定されます。

上肢の露出面とは,肩関節から手部までをいい,指については含まれないとされていることから,具体的には以下の図の矢印の範囲内です。

なお,労災では,上肢の醜状障害認定部位たる上肢の露出面とは,ひじ関節から手指までとされており,自賠責保険とは認定範囲が異なりますので注意が必要です。

上肢の醜状障害の後遺障害等級

早見表

上肢の醜状障害については,早見表において別表第二14級4号に,上肢の露出面に,てのひらの大きさの醜いあとを残すものと1つのみの規定があります。

ここでいう「てのひらの大きさ」とは指を除いた部分をいいます(てのひらの大きさには個人差がありますので,通常は,被害者本人のてのひらの大きさを基準にします。)。

なお,複数の瘢痕・線状痕等が残った場合には,それらの面積を合計して,大きさを判断します。

別表第二備考6の適用

前項に加え,てのひらの大きさの3倍程度以上の瘢痕を残した場合には,別表第二備考6を適用して,別表第二第12級相当と認定されることとなります。

上肢の醜状障害まとめ

以上をまとめると,上肢の醜状障害についての等級認定は,以下のとおりとなります。

12級相当上肢の露出面にてのひらの大きさの3倍程度以上の醜いあとを残すもの
14級4号上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

補足

上肢に限られるものではないですが,醜状障害は,それ自体によっては身体機能に制約を及ぼす障害ではないため,醜状障害による後遺障害認定がなされた場合には,等級そのものではなく,労働能力の喪失を伴わないことを理由として後遺症逸失利益率が争われることが多いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です