駐車禁止場所とその範囲(道路交通法上当然の法定禁止場所と道路標識・道路標示による指定禁止場所について)

法律上,車両を駐車させてはいけない場所が存在しています。

この車両を駐車させてはいけない場所において,車両を駐車させると,道路交通法違反として切符を切られてしまいます。

また,交通事故損害賠償上も,大きな過失をとられてしまいます。

そこで,以下,駐車とは何か,駐車が禁止される場所(法定禁止場所・指定禁止場所)について見ていくこととします。

駐車とは何か

駐車禁止を考える上で,まずは,禁止される駐車とは何かを見ていきましょう。

道路交通法上,駐車とは,車両等が客待ち,荷待ち,貨物の積卸し,故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。),又は車両等が停止し,かつ,当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいうとされています(道路交通法2条1項18号)。

簡単に言うと,①継続的な停止と,②みなし駐車(運転者が離れた場合)が駐車です。なお,駐車以外の停止は,停車として,別に定義されています(道路交通法2条1項19号)。

駐車禁止場所でなければ,駐車をすること自体は禁止されません。

車両の駐車方法としては,道路上において,できる限り道路の左側に寄って,他の交通の妨げにならないような方法でしなければならないとされています(道路交通法47条2項)。なお,車道の左側端に接して路側帯が設けられている場所において,車両が駐車するときは,当該路側帯に入って,他の交通の妨害とならないようにしなければならないとされています(道路交通法47条3項)。

駐車禁止場所の区分

法定駐車禁止場所(道路交通法による一律駐車禁止場所)

乗合自動車又はトロリーバス以外の車両は,以下に掲げられた場所においては,法令の規定若しくは警察官の命令により,又は危険を防止するため一時停止する場合でない限り,法律上一律に駐車(及び停車)を禁止されています(道路交通法44条柱書)。

道路交通法上,日本中どこであっても当然に駐車が禁止される法定禁止場所であり,道路の構造によるものと,周辺構造物によるものとが存在しています。

なお,法定禁止場所においても,道路標識等により停車又は駐車をすることができることとされているときは駐停車可能とされています(道路交通法46条)。

(1)道路構造に起因する法定駐車禁止

① 交差点内(道路交通法44条1号),及び交差点の側端又は道路のまがりかどから5m以内の部分(道路交通法44条2号)

② 横断歩道内(道路交通法44条1号),及び横断歩道の前後の側端からそれぞれ前後に5m以内の部分(道路交通法44条3号)

③ 自転車横断帯内(道路交通法44条1号),及び自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に5m以内の部分(道路交通法44条3号)

④ 踏切(道路交通法44条1号),及び踏切の前後の側端からそれぞれ前後に10m以内の部分(道路交通法44条6号)

⑤ 軌道敷内(道路交通法44条1号)

⑥ 坂の頂上付近(道路交通法44条1号)

⑦ 勾配の急な坂(道路交通法44条1号)

⑧ トンネル(道路交通法44条1号)

⑨ 安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に10m以内の部分(道路交通法44条4号)

⑩ 乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から10m以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。道路交通法44条5号)

⑪ 駐車しようとしている車両の右側の道路上に3.5m(道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がない場所(ただし,貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき,若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき,又は傷病者の救護のためやむを得ないときは除く(道路交通法45条2項)
⑫ 道路の右側(道路交通法47条2項)

(2)周囲の構造物に起因する法定駐車禁止

① 火災報知機から1m以内の部分(道路交通法45条5号)

② 人の乗降,貨物の積卸し,駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から3m以内の部分(道路交通法45条1号)

バスターミナル,トラックターミナル,路外駐車場,自動車修理工場,個人用の車庫をいい(限定列挙),ガソリンスタンド等は含まれないとされています。

③ 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から5m以内の部分(道路交通法45条2号)

④ 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入口から5m以内の部分(道路交通法45条3号)

⑤ 消火栓,指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から5m以内の部分(道路交通法45条4号)

指定駐車禁止場所(標識・標示による個別駐車禁止場所)

前記の法定禁止場所の他でも,標識・標示がある場合には駐車が禁止されます(道路交通法45条柱書)。

これを指定駐車禁止場所といいます。

指定駐車は,法定駐車禁止場所以外の場所の中で特に必要とされる場所において個別に行われるため,終日の規制だけでなく,時間を区切って規制される場合もあります。

① 駐車禁止標識

② 駐停車禁止標識

③ 駐車禁止標示

④ 駐停車禁止標示
⑤ 指定無余地場所

補足(駐車許可)

以上に対し,駐車禁止場所であっても,訪問介護,引っ越し,配達等の理由により,一時的にどうして駐車させざるを得ない特別な事情がある場合があり得ます。

そこで,このようや一時的にやむを得ない事情によって一部の駐車禁止場所において,特別に駐車禁止を解除する制度が存在します。

駐車許可という制度です。

駐車許可については,本稿で開設すると長くなりますので,別稿:駐車許可証の効力とは?所轄警察署長の許可によってどこの駐車禁止が解除されるのかにて詳しく説明しますので,よろしければ,ご参照ください。

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