確定日付とは(必要な理由や取り方をわかりやすく解説します)

「確定日付」を知っていますか?

法律的にいうと,私文書の作成日(実際には存在日)につき法律上完全な証拠力を認める押印のことです。

簡単にいうと,作成された書面が,確実にその日に存在した(その日までに作成された)ことを証明するハンコです。

以下,確定日付がなぜ必要となる場合があるのか,どのようなものが確定日付となるのか,確定日付はどのように取得するのかの順に簡単に説明しましょう。

確定日付がなぜ必要なのか

確定日付によって紛争が防止できる場合

私人が作成する文書は,書類作成日の設定が自由に出来ます。データ上の日付を打ちこんでプリントアウトするだけです。

そのため,一般的に,私人が作成した文書については,その記載内容はもちろん,作成日についてもその証明力は高くないと考えられています。

そこで,何らかの書面があったとしても,記載内容に加えてその作成日が問題となることが散見されます。

この私人作成文書の証明力の乏しさをカバーするものとして確定日付があり,確定日付がある書面については,「書面存在日」については完全な証明がなされたとされますので,少なくともその日にその書面があったという点については紛争を回避することができるという意義があります。なお,確定日付は書面作成日の証明とはなりますが,書面記載内容の証拠とはなりませんので注意が必要です。

例えば,契約解除の意思表示を行った日が問題となりうる事例において,解除の意思表示について,確定日付の1つである内容証明郵便で行っていれば,解除の意思表示を行った日については裁判上完全な証明力を認められますので,いつ解除の意思表示を行ったのかという論点はなくなります。

家族経営企業において,各種規定や議事録について確定日付を得ておくと,税務署を説得しやすくなるかもしれません。

確定日付が法律上の要件となっている場合

また,確定日付の存在が,法律上の要件となっている場合があります。

例えば,民法467条2項では,債権の二重譲渡がなされた場合に,債権者・債務者・第二譲受人が通謀し,第二譲渡の日付を遡及させて第一譲受人より先にあったと仮装することを防止する趣旨で,確定日付を債権譲渡通知の第三者対抗要件としています。

どのようなものが確定日付となるのか

前記を読んでいただくと確定日付の重要性がお分かりいただけたかと思います。

では,どのようなものが確定日付と認められるのでしょうか。

確定日付として認められるは,民法施行法5条1項各号によって例示列挙されており,以下の私文書であるとされています(公文書は確定日付を得られません。)。なお,電磁的記録についても,指定公証人が設けた公証人役場において請求に基づき電磁的記録に記録された情報に日付情報を電磁的方式により付したときは,当該電磁的記録に記録された情報は確定日付ある証書とみなされ,日付情報の日付をもって確定日付とされます(民法施行法5条2項3項)。

①公正証書

②法務局又は公証人役場でなされた押印

③私署証書の署名者中に死亡したるものあるとき

④確定日付ある証書中に私署証書を引用している場合

⑤官公署において私署証書に記載を行い,これに日付を記載したとき

⑥内容証明郵便

確定日付の取得方法

意思表示の相手方がいる場合には,内容証明(前記⑥)を使うのが簡便です。

様式を整えた書面を3通と封筒を持っていく(押印と費用も)だけで,あとは郵便局がやってくれます。

他方,意思表示の相手方がいない場合には郵便を出すということになりませんので,内容証明ではなく,法務局か公証人役場で認証してもらうのが簡便です。

私は,業務上法務局を頻繁に利用しますので,私が確定日付を得る際は,主に法務局で処理しています(値段は700円,混んでいると待たされます…)。

参考にしてください。

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