刑事手続きの基礎的な流れを弁護士が解説(初学者のための刑事事件の概略とは)

我が国の刑事手続きは,捜査機関が犯罪があったと考えた場合に(捜査の端緒),被疑者を発見・保全した上で,証拠を収集し(捜査),検察官が裁判所に対して訴え提起し(公訴提起),裁判手続き(公判手続き)を経て,判決の言い渡しがなされ(判決),上訴があればさらに上級審で争われた後(上訴),判決の確定後に,刑の執行がなされる(刑の執行),というのが一連の流れです。

そして,これらの1つ1つの手続きについて,詳細な法律の規定が置かれています。 “刑事手続きの基礎的な流れを弁護士が解説(初学者のための刑事事件の概略とは)” の続きを読む

職務質問は法律上任意のはずなのに事実上強制される理由

これまでに職務質問を受けたことはありますか。

職務質問というのは,警察官に,「お兄さん,ちょっといいですか?」と声をかけられる,あれのことです。

以下,なぜ職務質問を受けるか,職務質問は拒絶できるのかについて説明します。 “職務質問は法律上任意のはずなのに事実上強制される理由” の続きを読む

弁護士が犯罪者・犯人をも弁護する理由(被疑者のみならず国民全体の人権保障のために必要だから)

刑事弁護人をしていると,なぜ悪い人を弁護するのかと聞かれることがよくあります。時間の無駄だとか,被害者をさらに苦しめる行為だとか言われて,弁護士がバッシングを受けることさえあります。 “弁護士が犯罪者・犯人をも弁護する理由(被疑者のみならず国民全体の人権保障のために必要だから)” の続きを読む

捜査機関である警察と検察の違い(仕組み・階級・権限等)

刑事訴訟法上,司法警察職員が第1次的捜査を行い(刑事訴訟法189条2項),検察官が補充的に第2次捜査を行うとされています(刑事訴訟法191条)。

わかりやすく言うと,司法警察職員が,どこかで犯罪があったみたいだという情報を得て(捜査の端緒といいます。),捜査を開始し,証拠を固めて,記録(場合によってはあわせて被疑者の身柄を)を検察庁に送り,検察官の追加捜査を経て,起訴・不起訴の判断がなされるという手順がとられます。
以下,捜査機関としての警察及び検察について犯罪捜査に必要な範囲でその仕組みを見ていきましょう。 “捜査機関である警察と検察の違い(仕組み・階級・権限等)” の続きを読む

逮捕されてから起訴・不起訴判断がなされるまでの身体拘束期間が23日間を超えない理由

刑事訴訟手続きは,①捜査の端緒→②捜査→③公訴提起→④公判手続き→⑤判決(上訴)→⑥刑の執行,という一連の流れで行われます。

本稿では,このうち,捜査機関において犯罪を犯したと疑われる者が捜査機関から捜査(②)に必要として身体拘束を受ける場合(逮捕及び起訴前勾留)の期間制限についての説明をしたいと思います。なお,被疑者を拘束して捜査が行われる場合と,被疑者を拘束しないで捜査が行われる場合があります(被疑者を拘束しない場合は,在宅事件と呼ばれます。)が,本稿では身体拘束がある場合について検討します。

この点,結論からいうと,被疑者の身体拘束は,被疑者に重大な人権の制約を強いるものであるため,1つの事件について,逮捕から起訴・不起訴の判断がなされるまでの身体拘束期間は,最長で23日間を超えることは絶対にありません。 “逮捕されてから起訴・不起訴判断がなされるまでの身体拘束期間が23日間を超えない理由” の続きを読む

刑事公判手続きの流れ(初めての刑事裁判傍聴の前に概略をつかむ)

本稿は,初めて刑事裁判手続きを傍聴に行かれる方のために,刑事公判廷で何が行われているのかを事前に認識いただき,意味ある裁判傍聴としていただくために,簡潔に刑事公判手続きの基本的な流れを説明するものです(一応,通常裁判を念頭に置いていますが,裁判員裁判においても基本的な流れは同じです。)。

裁判傍聴の前に,一読いただければと思います。 “刑事公判手続きの流れ(初めての刑事裁判傍聴の前に概略をつかむ)” の続きを読む