交差点内及びその手前での車線変更(進路変更)は道路交通法上許されているのか?

交差点内及びその手前での車線変更をした場合,道路交通法違反となったり,その結果として交通事故賠償上過失責任を問われたりするのでしょうか。

交差点内やその手前では一切車線変更をしてはいけないかのような認識の方がおられますが,法律上そのような規制はなされていません。

法律上の規制についての結論を先に言うと,交差点内及びその手前30m以内での車線変更を直接的に規制する道路交通法の規定はありませんので,原則として,交差点内及びその手前30m以内での車線変更は法律違反にはなりません

例外的に,交差点内及びその手前での車線変更が,①追越し又は追抜きの形態で行う場合,②後続車への進路妨害となる場合,③交差点内及びその手前に黄色実線による車線境界線が存在している場所で行う場合に限って道路交通法違反となるのです。

以下,この結論に至る理由を説明します。 “交差点内及びその手前での車線変更(進路変更)は道路交通法上許されているのか?” の続きを読む

警察官ではない私的誘導員(警備員)の誘導によって交通事故が生じた場合の過失割合について

大型ショッピングセンターや工事現場などでは,その出入口付近に立ち,出入口からの出入り車と道路走行車との交通整理を誘導する誘導員をよく目にします。

この誘導員がいてくれるおかげで,ショッピングセンターや工事現場の出入口付近のスムーズな交通整理が行われ,また交通安全にも役立っています。

他方で,この誘導員は,ショッピングセンターや工事業者が使用している私人にすぎず,これらの者が公道上の交通整理を行うことが可能なのかという疑問も生じます。

本稿では,このような私的誘導員の見落とし等の過失によって交通事故が発生した場合の,関係当事者の過失割合がどのように判断されるのかについて考えてみたいと思います。 “警察官ではない私的誘導員(警備員)の誘導によって交通事故が生じた場合の過失割合について” の続きを読む

【交通事故による後遺障害】人体の各関節の平均的な運動領域である参考可動域角度について

交通事故の外傷により,人体のいずれかの関節の可動域に制限を残す後遺障害が残存してしまうことがあります。

この場合,原則として左右関節のうち,障害の存する側(患側)の関節可動域と,障害のない側(健側)の関節可動域の両方を測定し,両者を比較することにより各関節の機能障害の認定を行います。 “【交通事故による後遺障害】人体の各関節の平均的な運動領域である参考可動域角度について” の続きを読む

店舗・事務所建物に車両が突っ込んで来る交通事故被害に遭った場合の営業損害

交通事故は,必ずしも自動車,二輪車,自転車,歩行者の間において発生するわけではありません。

場合によっては,車両が,店舗や自宅に突っ込んでくることもあり得ます。

加害者が,交通事故により損壊された店舗・事務所自体の修理代の負担をしなければならないのは考えるまでもありません。

では,自動車等が店舗・事務所に突っ込んできたことにより,やむなく事業を休業しなければならなくなった場合(発生した交通事故によって店舗・事務所等が損傷して修理が必要となった場合等),営業を休止期間中の損害賠償はどのように扱われるでしょうか。 “店舗・事務所建物に車両が突っ込んで来る交通事故被害に遭った場合の営業損害” の続きを読む

【交通事故による後遺障害】下肢の機能障害(動揺関節)

交通事故被害に遭った場合に,不幸にも,下肢に動揺関節の後遺障害が残存する結果を残してしまう場合があります。

今回は,かかる交通事故による下肢の動揺関節の機能障害の場合の後遺障害について,検討します。 “【交通事故による後遺障害】下肢の機能障害(動揺関節)” の続きを読む

【交通事故による後遺障害】腱板断裂(腱板損傷)による肩関節の可動域制限・疼痛について

交通事故被害に遭い,肩に外力が加わった場合,腱板が断裂される場合があります。

腱板断裂は,肩関節に疼痛と機能障害を生じさせる運動器損傷の代表的な疾患の一つです。

もっとも,腱板断裂は,交通事故外傷のみならず,スポーツによる外力や加齢によっても発症することから,事故との相当因果関係が問題となりうる障害でもあります。

以下,交通事故に起因する腱板断裂について見ていきましょう。 “【交通事故による後遺障害】腱板断裂(腱板損傷)による肩関節の可動域制限・疼痛について” の続きを読む

【交通事故による後遺障害】まぶたの運動障害

交通事故被害に遭った場合に,まぶたに傷害を負い,その結果としてまぶたの運動障害が残ることがあります。

そこで,今回は,交通事故により不幸にもまぶたの運動障害が残った場合についての後遺障害等級について検討したいと思います。 “【交通事故による後遺障害】まぶたの運動障害” の続きを読む