交通事故により死亡した被害者の遺族が受領した損害賠償金は相続税の課税対象となるか

かつて別稿にて交通事故被害者が受領した損害賠償金・保険金が原則非課税となる理由について説明をしましたが,本稿では,これを一歩進め,交通事故により死亡した被害者たる被相続人の遺族が,加害者から損害賠償金を受け取った場合,この受領金額が課税対象となるかについて検討したいと思います。

なお,交通事故により被害者たる被相続人が死亡して遺族が損害賠償金を受領する場合としては,①賠償金の支払いを受けてから被相続人が死亡した場合,②支払いを受ける賠償金額が確定したが支払いを受ける前に被相続人が死亡した場合,③支払いや賠償金額が確定する前に被相続人が死亡した場合,の3パターンが考えられますので,それぞれの場合に場合分けして考えていきます。

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大阪府下の一般道路上で遭った交通事故を110番通報する際に警察官に最も簡単に事故場所を伝える方法


法律上,交通事故に遭った場合には警察に報告することが義務付けられています。

そのため,交通事故に遭われた方は,事故後に携帯電話を使って事故現場から警察に電話をかけるのが一般的だと思います。

警察に電話をかけると,必ず事故場所を聞かれます。事故処理のために警察官を派遣しなければならないので当然です。 “大阪府下の一般道路上で遭った交通事故を110番通報する際に警察官に最も簡単に事故場所を伝える方法” の続きを読む

交通事故加害者が被害者の高圧的態度に屈して意に反する示談書・念書等にサインをした場合にその効力を覆せるか

交通事故を起こしてしまった加害者が,被害者側から高圧的な態度をとられて,無理矢理全過失を認めるとか,高額の損害賠償をするという内容の念書・誓約書・示談書等にサインをさせられてしまうことが散見されます。 “交通事故加害者が被害者の高圧的態度に屈して意に反する示談書・念書等にサインをした場合にその効力を覆せるか” の続きを読む

【当事者の協議による時効の完成猶予】猶予合意書の無料ダウンロード可能

令和2年(2020年)改正前民法の下では,時効の「中断」と「停止」についての規定を設けていたものの,当事者間における協議はこれに該当せず,当事者間で協議が進んでいる場合であっても,時効完成が近づいてきた場合,時効中断のために調停申立てなどの法的手続きを取らざるを得ませんでした。

この時効完成直前の訴え提起,調停申立て等の法的手続きの強制性を弱めるため,令和2年(2020年)民法改正により,当事者間において,協議を行う旨の書面による合意があった場合に時効の完成を猶予する旨の条文が新設されたため(改正民法151条),令和2年(2020年)4月1日以降に発生した交通事故は,改正民法に従って処理されることとなりました。

そこで,本稿では,交通事故処理に必要となる協議を行う旨の合意による時効の完成猶予制度の概略と,合意を行う際に締結する必要となる書面の参考書式(無料ダウンロード版)を紹介します。 “【当事者の協議による時効の完成猶予】猶予合意書の無料ダウンロード可能” の続きを読む

人身事故と物損事故の違いが民事・刑事・行政責任に与える影響(警察での変更・切り替え手続きや期限についても)

交通事故被害に遭って怪我をした場合,加害者から人身事故にしないで欲しいとお願いされることがよくあります。

このお願いには,どういう意味があるのでしょうか。

以下,人身事故・物損事故の定義,人身事故と物損事故の違いが民事責任・刑事責任・行政責任にどのように影響をするのか見ていきたいと思います。 “人身事故と物損事故の違いが民事・刑事・行政責任に与える影響(警察での変更・切り替え手続きや期限についても)” の続きを読む

生活保護受給者が交通事故被害者となった場合に生じる加害者側・被害者側の各問題点

生活保護を受給されている方が交通事故に遭う場合もあります。

では,生活保護受給者が交通事故被害に遭った場合,被害者が生活保護を受給されていない方が交通事故被害に遭った場合と,何か違いが生じるのでしょうか。

以下,被害者が生活保護受給者である交通事故が発生した場合に,加害者側に生じる問題点,被害者側に生じる問題点を順に検討してみましょう。

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交通事故加害者が負う3つの法的責任と道義的責任について

交通事故を起こした加害者は,被害者に対して,民事上の交通事故損害賠償責任(被害者に対して金銭賠償をする責任)を負うことはもちろんですが,この民事上の責任の他に,事故の内容やその程度によっては,刑事責任や行政責任を負う場合があります。

交通事故被害者は費やした弁護士費用を加害者に請求できるか(保険代位による求償請求との比較)

交通事故被害に遭い,弁護士に事件委任をした場合,要した弁護士費用を加害者側に請求できるのでしょうか。

請求できるとすると,その額はいくらになるのでしょうか。

以下,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟の場合と,保険代位による求償金請求訴訟の場合について,順に検討していきます。 “交通事故被害者は費やした弁護士費用を加害者に請求できるか(保険代位による求償請求との比較)” の続きを読む