【遅延損害金の計算方法】金銭請求訴訟で請求認容判決が出た場合に読んでください

金銭を請求する民事訴訟を経て,金銭請求を認容する判決を得た場合,通常元本に加えて,遅延損害金の認容もなされます。

具体的には,金銭請求の認容判決は,通常,「被告は,原告に対し,金〇〇円【元本】及びこれに対する平成〇〇年〇月〇日から支払済みまで年〇分の割合による金員【遅延損害金】を支払え。」という形式でなされます。

本稿では,この遅延損害金(前記赤字部分)の計算方法について,説明したいと思います。

なお,訴訟が,訴訟上の和解,又は和解に代わる決定・調停に代わる決定(17条決定)等により終了する場合には,通常遅延損害金の認定はされませんので,その場合には,本稿の内容は問題となりません。あくまでも判決言い渡しがあった場合の処理として参照ください。

遅延損害金額計算の手順

判決に基づく遅延損害金を計算する場合には,年単位分,年単位以下の端数分に分けてそれぞれ金額を算定し,これらを合算して積算するのが手順です。

具体的な計算手順は,以下のとおりです。

【年単位分と年単位以下の端数に分ける】

① まず支払日を決めることにより,判決で示された起算日と支払日を特定する。

② 判決で示された起算日から年単位で区切ることが出来る期間を特定する(なお,年単位分は,その年が閏年であったかなかったかは問題となりません。)。

【年単位分の遅延損害金を計算】

③ 年単位分につき,元本に利率と年数をかけて,年単位分の遅延損害金額を計算する。

【端数分の遅延損害金を計算】

④ 判決で示された起算日と支払日から,年単位で区切ることが出来る期間を控除し(①一②),年単位以下の端数日数を計算する(支払日も含めて日数計算をしてください。)。

⑤ ④で計算した端数日数分について,閏年に属する場合には分母を366日として,閏年に属さない場合には分母を365日として日割り計算をおこない,端数日数分の遅延損害金額を計算する。

【合算処理】

⑥ 年単位で計算した遅延損害金額(③)と,1年以下の端数日数で計算した遅延損害金額(⑤)を合計する。

⑦ 合算した遅延損害金額につき,円単位以下の端数が49銭未満の場合は円単位以下を切捨て,50銭以上の場合は円単位以下を切上げます(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律3条1項)。

具体的な遅延損害金計算例

遅延損害金の計算方法は,以上のとおりなのですが,一般論だけではわかりにくいかもしれませんので,適当な数字を入れた具体例を示して,以下のような判決があったと仮定して説明します。

【主文(例)】
被告は,原告に対し,金100万円及びこれに対する平成27年2月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  ↓
以上の判決に基づく金銭を,平成30年6月1日に支払うものとします。

前記の具体的な計算手順に従って計算していきます。

① 判決で示された起算日と支払日を特定する。

→起算点が平成27年2月1日,支払日が平成30年6月1日と特定します。

② 判決で示された起算日から年単位で区切ることが出来る期間を特定する。

→平成27年2月1日から平成30年1月31日までの3年間を区切ります。

③ 年単位分につき,元本に利率と年数をかけて,年単位分の遅延損害金額を計算する。

→前記②の3年分の遅延損害金を,元本100万円×5%×3年=15万円と計算します。

④ 年単位以下の端数日数を計算する。

→平成30年2月1日から平成30年6月1日=121日と特定します。

⑤ 端数日数分について,日割り計算をおこない,端数日数分の遅延損害金額を計算する(平成30年は閏年ではない。)。

→前記④の端数分の遅延損害金を,元本100万円×5%×121日/365日=1万6575.3425・・・円と計算します。

⑥ 年単位で計算した遅延損害金額(③)と,1年以下の端数日数で計算した遅延損害金額(⑤)を合計する。

年単位の遅延損害金15万円(③)+端数分の遅延損害金1万6575.3425・・・円を合計し,16万6575.3425・・・円と計算します。

⑦ 合算した遅延損害金額につき,円単位以下の端数が49銭未満の場合は円単位以下を切捨て,50銭以上の場合は円単位以下を切上げる。

→端数が49銭未満のため,円単位以下を切捨て,遅延損害金額を16万6575円と決定します。

以上が,具体的な遅延損害金額の計算でした。

実際には,このとおりに行って算出した遅延損害金16万6575円と元本100万円の合計額116万6575円が,上記具体例の事案における平成30年6月1日の判決金支払額となります。

なお,余談ですが,民法の債権関係の規定の全般的な見直しを目的とする民法の一部を改正する法律の施行により,令和2年4月1日以降,民法所定の法定利率が3%に変更されていますので(改正民法404条),遅延損害金もこれに伴って変更されています。注意してください。

“【遅延損害金の計算方法】金銭請求訴訟で請求認容判決が出た場合に読んでください” への2件の返信

  1. このケースと似た主文なのですが、最初に支払い期間が決まってなく、毎月1万円づつの支払いがされます。
    何か利息計算してくれる表がありませんか?

    1. 谷川 千秋 様

       判決主文に支払期間が決まっていないものはないと思いますので,まずは事実確認をお願いします。

       次に,月ごとに利息起算日が異なるものについては,面倒ですが,基本的には1月ごとに計算することをお勧めします。

       おそらく私を含めて,たいていの弁護士は自作又は有料の計算ソフトを使っていますが,著作権の関係もあって外部には出せません。
      ご容赦ください。

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