不倫相手の配偶者から不貞行為の慰謝料請求された場合の反論(否認・抗弁事由と慰謝料相場まで)

不倫相手の配偶者から慰謝料請求された場合,これを拒絶する理由としてどのようなものがあるのでしょうか。

また,仮に不貞慰謝料請求を拒絶できなくなった場合,どこまで値切れるのでしょうか。

以下,不貞慰謝料請求についての言い訳と,慰謝料相場について説明します。

慰謝料請求の原因たる「不貞」の概念

配偶者が不貞行為に及んだ場合,当該配偶者のみならず,不貞の相手方に対しても慰謝料請求(損害賠償請求)が認められます(最判昭和54年3月30日・民集33巻2号303頁,判タ383号46ページ)。

この慰謝料請求の原因行為である「不貞」は,離婚原因の1つである民法770条1項1号にいう「不貞」(同条項号にいう「不貞」とは,肉体関係を意味します。)とは異なる概念です。

なぜなら,「不貞」行為が,他方配偶者に対する不法行為となるのは,その行為が夫婦間共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するためとされることから(最判平成8年3月26日・民集50巻4号993頁,判タ908号284頁),これを肉体関係に限定する必要がないからです。

したがって,類型的に夫婦間の婚姻共同生活の平和を侵害する蓋然性のある行為であれば,肉体関係がなかったとしても,慰謝料請求の原因行為としての「不貞」となりえます。

不貞慰謝料請求に対す反論

では,配偶者のある相手と,同人に配偶者がいることを知りつつ不貞行為に及んだ場合,必ず慰謝料支払い義務を負うかというと必ずしもそうではありません。

以下のいずれかの主張が認められた場合には,配偶者のある相手と,同人に配偶者がいることを知りつつ不貞行為に及んだ場合であっても慰謝料請求は否定されます。

① 相手方が結婚しているとは知らなかった(否認)

慰謝料請求権は,法律的にいうと不法行為に基づく損害賠償請求権であるところ(民法709条),民法709条に基づく請求をする場合には,不法行為者に故意・過失が必要となります。

そのため,不法行為者に故意・過失がない場合は,損害賠償請求は否定されます。

この点については,不貞慰謝料請求の場合も同様であり,不貞行為者が,真実は配偶者がいる相手と行為に及んだ場合であったとしても,同人が隠していた等の理由により,同人に配偶者が存在することを知らなかった場合(結婚していることを知らなかった場合)には,行為者に対する慰謝料請求は否定されます。

② 不貞行為時に相手方の婚姻関係が既に破綻していた(抗弁)

不貞行為が不法行為となるのは,それが婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為といえるからであり,夫婦間の婚姻関係が既に破綻していた場合には,この権利又は保護に値する利益がないため(最判平成8年3月26日・民集50巻4号993頁,判タ908号284頁),不貞行為時に婚姻関係が破たんしていた場合には,行為者に対する慰謝料請求は否定されます。

この反論は,一般的には,破綻の抗弁と言われています。

③ 不貞行為時に相手方の婚姻関係が破綻している過失なく誤信した(抗弁)

不貞行為時に相手方の婚姻関係が既に破綻していたことが抗弁事由となる以上,不貞行為時に相手方の婚姻関係が既に破綻していたと過失なく信じていたことについてもまた抗弁となります。

もっとも,この抗弁は,相手方既婚者であること自体は知っていることが前提ですので,安易に不貞関係を生み出さないという価値判断が働くとともに,配偶者のある相手方が歓心を引くための誘い文句として婚姻関係が破たんしていると嘘をつくことも多いため,この抗弁を認めるためには,単に当該配偶者の言葉を信用したということだけでは足りず(裁判所は,肉体関係を持ちたいがためだけに,うちの夫婦もう駄目なんだよと言う男はたくさんいると考えているのです。),これを裏付ける根拠が必要とされています。

④ その他(抗弁)

以上の他にも,慰謝料請求権の時効消滅,不貞配偶者の弁済(他方配偶者との関係では,不貞配偶者と不貞行為者は共同不法行為として不真正連帯債務となりますので,どちらかが債権を満足させる行為をした場合は,双方とも債務を免れます。)が認められた場合も,慰謝料請求は否定されます。

慰謝料額

前記反論が通らずに,慰謝料請求が認められる場合,その額はいくら位になるのでしょうか。

不貞慰謝料の金額は,概念的には,結果としての夫婦の別居や離婚の有無,不貞の内容,子ども有無や経済的な事情などで変わってくると言われていますが,一般には50万円から300万円の間が相場と言われています。

もっとも,私の実務感覚でいうと,認容される慰謝料額のほとんどは,150万円から250万円の間であると感じます(夫婦が離婚した場合には200万円から250万円に近付き,離婚しなかった場合は200万円から150万円に近付くイメージです。)。

参考にしてください。なお,[不貞行為の事実やその程度については,携帯電話の電話番号からひも解いて調査をされることが多い]ので注意してください。



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