【反訴提起】反訴の意義・要件・提起方法とは

民事訴訟を提起された人(被告)は,裁判手続上,基本的には防衛目的のみの戦いとなります。

もっとも,これを徹底するとあまりに被告に不利益な手続きとなります。

そこで,係属中の民事訴訟(本訴)手続き内において,本訴被告から本訴原告を相手方として訴え返す手続きがあり,この手続きを反訴といいます。

本稿では,この反訴手続きについて,その意義・要件・反訴提起の方法等について簡単に説明したいと思います。

反訴とは

反訴の意義

反訴とは,係属中の民事訴訟(本訴)手続き内において,本訴被告から本訴原告を相手方として提起する訴えをいいます。

誤りを恐れず言うと,訴えられた人が同一手続き内で関連訴訟として訴え返す手続きです。

本訴請求に対して請求棄却を求めつつ,万一本訴請求が認容された場合(本訴被告敗訴の場合)に備えて「本訴の却下または棄却を解除条件として提起する反訴(予備的反訴)」も可能です。

反訴の趣旨

民事訴訟においては,原告に訴えの併合・変更が認められることから被告にも同一訴訟手続きの利用を認めることが公平である上,本訴請求と一定の関連性を有する請求を同一手続きで併合審理することによって審理の重複や裁判の不統一を回避することができるために認められた手続きです。

イメージしやすい例としては,双方に過失の認められる交通事故事案において,一方が自身の損害賠償を求めて他方を被告として訴え提起をした場合に,他方もまた自身の損害賠償を求めて一方を反訴被告として反訴提起する場合が考えられます。

反訴のやり方

もっとも,訴えられた被告が,腹いせに訴え返すということを認めてしまうと無用な訴訟が増えていたずらに審理が長期化・煩雑化する可能性があります。

また,法の趣旨から反訴を認めることが妥当でない場合も存在します。

そこで,反訴提起には一定の要件を充足する必要があるとされています。

反訴の要件

【公益的要件】

① 反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄に属しないこと

公益的要請から専属管轄が法定されている訴訟については,反訴が認められません(民事訴訟法146条1項1号)。

もっとも,当事者の意思に合意により専属管轄とした場合には公益的要請がないため,この場合には反訴も認められています(民事訴訟法146条1項1号)。

② 本訴が明文によって反訴が禁止されたものではないこと

少額訴訟(民事訴訟法369条),手形訴訟(民事訴訟法351条),小切手訴訟(民事訴訟法367条,351条)の場合には明分により反訴が禁止されています。

【関連性・手続的要件】

③ 反訴請求につき訴えの併合の一般的要件を具備していること

反訴提起がなされると,本訴と反訴が併合されることとなるため,反訴提起については訴えの併合の一般的要件を満たす必要があります。

なお,併合要件を欠いた反訴は終局判決によって却下されます(最判昭和41年11月10日・民集20巻9号1733頁)

④ 反訴請求が本訴請求又はこれに対する攻撃防御方法と関連すること

反訴が本訴請求と一定の関連性を有する請求を同一手続きで併合審理することによって審理の重複や裁判の不統一を回避する手続きであることから,反訴請求が本訴請求又はその攻撃防御方法と関連するもの【訴訟物たる権利の内容又は発生原因において共通性を有すること。】である必要があります(民事訴訟法146条1項柱書)。

【時期的要件】

⑤ 本訴が事実審口頭弁論終結前であること

反訴についても事実審理が必要となることから,反訴提起は事実審の口頭弁論終結前に限られています。

もっとも,本訴原告の審級の利益を保証するため,控訴審における反訴提起については本訴原告の同意・応訴を必要とされています(民事訴訟法300条)。なお,反訴請求について第一審で実質上審理がなされている場合には本訴原告の同意は不要とされています(最判昭和38年2月21日・民集17巻1号198頁)。

⑥ 著しく訴訟手続きを遅延させないこと

前記時間的要件(⑤)だけでは迅速な権利救済を求める本訴原告の利益が損なわれるおそれがあるため,反訴提起にも訴えの変更と同様の要件を加重しています(民事訴訟法146条1項2号)。

反訴提起の方法

反訴の提起は本訴に準じるとされていることから(民事訴訟法146条4項),本訴が係属している裁判所に対して反訴状を提出して行います(民事訴訟法133条1項)。

反訴提起後の審理方法

適法な反訴提起があった場合,原則として,反訴は本訴に併合され,本訴と併せて審理・判決言渡しがなされることとなります。

もっとも,必要があれば,予備的反訴の場合を除き,弁論の分離や一部判決をすることも許されています。

その他

なお,本訴取下げ後は,反訴の取下げに本訴原告(反訴被告)の同意を要しないとされています(民事訴訟法261条2項ただし書き)。

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