【裁判文書表記の基本ルール】裁判所に提出する文書の様式・書き方の基礎

裁判所が作成する文書には様々なルールがあります。

これらのルールはあくまでも裁判所のルールですので,弁護士や一般の方が裁判所に提出する書面をこのルールに従って作成する必要はありません。

もっとも,裁判官がこのルールで文書を作成するため,このルールと異なる書き方で書面を作ると読み手の裁判官に違和感とストレスを感じさせることとなるため,わずかな不利益を受けうることとなります。

そのため,通常の能力をもった弁護士は,この裁判所ルール(公用文作成ルール)に乗っ取って文書を作成します。

以下,裁判文書作成のルールのうち,基本的なものを抽出して紹介したいと思います。

裁判文書の様式

用紙の様式

裁判所作成文書の様式は,原則として,A4サイズ・縦置き・横書き・左綴りとされます。

そして,片面のみの使用とし,A3判を袋とじすることはしません。

文字の様式

そして,A4用紙のうち,余白として上端35mm・下端27mm・左端30mm・右端15~20mmをとり,その内側に12ポイントの文字サイズで1行37字・26行で記載します。

枚数が複数枚に亘る場合には,左端の綴じしろ部を2箇所でステープラー(ホッチキス)止めします(フッターにページ番号も入れます。)。

具体的な記載方法

項目の細別と配字

項目の細別については,公用文作成の要領に準拠し,文頭に,第1,1,(1),ア,(ア),a,(a)などの符号を付します。

そして,その順番は,「第1」→「1」→「(1)」→「ア」→「(ア)」→「a」→「(a)」とします。

項目の細別については,前項の符合の後に1文字分空けて書き,そこから符号が変わるごとに1文字分右にずらしていきます。

イメージは,以下のとおりです。

句読点の用い方

句読点については,公用文書作成の要領に準拠し,句点には「。」を,読点には「,」を用いるのを原則とします。

なお,2010年10月に政府の文化審議会小委員会が読点に「、」を用いるよう求める中間報告案が出されたようですので,将来的には「,」から「、」への変更がなされるかもしれません。

数字の書き方

数字の表記は原則としてアラビア数字を用い,原則として全角を使用します。もっとも,表中の数字は,半角を使用しても差し支えないとされます。

単位を記載するときは「・・・・万・・・・円」として「,」で区切ることはせず,単位を記載しない場合には,「・・,・・・,・・・円」などと三桁ごとに「,」で区切って標記します。なお,年号や事件番号には区切りや単位をつけないことを原則とします。

小数点には「.」を用い,「・」は用いません。

住所の書き方

住所の表記にあたっては,政令指定都市20市と地方裁判所本庁所在地の都市については道府県名の記載は不要とされています(ただし,東京都は23区内外を問わず東京都を含めて記載します。)。

また,住居表示上「・・丁目」は町名の一部とされていますので,漢数字を使用して「三丁目」などと記載することを原則としますが,アラビア数字を用いて表記されることもあります。

街区符号又は住居番号は, 「1番1号」のようにアラビア数字を用いて表記します。

以上から,例えを挙げると,「大阪府大阪市北区西天満1-12-5」に存在する大阪地方裁判所であれば,裁判書式では「大阪市北区西天満一丁目12番5号」と表記することとなります。

法令条文の書き方

法令上の条文を記載する場合,序数に「第」を付するのが原則です(例:民法第709条)。

もっとも,法令上の条文は引用が繰り返されることが多く,「第」が繰り返されると読みにくくなってしまうため,枝番が付されている場合を除いて「第」を引用する場合も多くあります(当職は,あえて最初から全て「第」を省略しています。)。

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