2月29日生まれの人が4年に1度しか年を取らないというのは誤り(法律豆知識)

4年に1度ある閏年の2月29日に生まれた人は,4年に1度しか年を取らないと思いますか。

直感的にはそのような気がしないでもないですが,仮に4年に1度しか年を取らない人が出来てしまうと法律上大問題が生じます。

そのため,当然ですが,法律上は2月29日生まれた人の年齢についても調整がなされており,同日生まれの人も毎年年を取るように定められています。

以下,2月29日生まれの人が毎年年を取る理由について説明します。 “2月29日生まれの人が4年に1度しか年を取らないというのは誤り(法律豆知識)” の続きを読む

交通事故被害者の装備品は人損か物損か

交通事故に際し,被害者が身に着けていた物が既存・紛失した場合,物損として扱われるのか,それとも人損として扱えるのかが問題となります。

一見,加害者側負担しなければならないことに変わりがないため,どちらでもよさそうにも思えるが,人損として扱うことができれば,「身体」が害された場合における損害賠償を保障する自動車損害賠償保障法(自賠法)の適用を受け自賠責保険金の支払いを受けることができるためにその区別が問題となるのです(物損の場合には自賠法の適用はないため)。 “交通事故被害者の装備品は人損か物損か” の続きを読む

【介入権】借地権譲渡を争点とする借地非訟事件での地主の対抗手段

日本においては,土地と建物とが別の不動産として扱われているため,理論上は,土地と切り離して建物のみを譲渡することが可能です。

もっとも,土地使用権のない建物は土地不法占有物件として無価値物となりますので,借地上の建物を譲渡する場合には建物だけでなく土地賃借権(借地権)もあわせて譲渡する必要があります。

この点,土地賃借権譲渡については土地賃貸人(地主)の承諾が必要とされているところ,その承諾が得られない場合には裁判所の許可により土地賃貸人(地主・地主)の承諾に代えることが出来るという制度が設けられています(借地借家法19条1項)。

以上からすると,法は,土地賃借権(借地権)譲渡について土地賃貸人(地主)の承諾が必要であるとしながら裁判所の許可によりこれが不要とするという構造となっており,土地賃貸人(地主)の反論手段がほとんどない地主に不利益な構造となっています。

本稿では,この借地人による土地賃借権譲渡許可申請がなされた場合に土地賃貸人(地主)が取りうる数少ない反論手段の1つである介入権について簡単に説明したいと思います。 “【介入権】借地権譲渡を争点とする借地非訟事件での地主の対抗手段” の続きを読む

【起訴前鑑定留置】被疑者の精神鑑定目的で行われることが多い身体留置手続き

鑑定留置とは,被疑者または被告人の精神状態や身体についての「鑑定」をさせるために,必要により被疑者・被告人を病院などに「留置する」ことをいい(刑事訴訟法167条,同224条),一般的に起訴前に行われる鑑定留置を起訴前鑑定留置と呼んでいます。

鑑定留置(手段)は,鑑定(目的)のために行われるものですので鑑定と鑑定留置は別の手続きであり,起訴前鑑定留置は,検察官が起訴不起訴の判断を行うための鑑定を行うための時間的余裕を確保するために行われます。

無差別殺傷事件やセンセーショナルな事件の場合に行われることが多いために報道などで目にすることも多い手続きだと思いますが,意外とその詳細については説明されることがありません。

そこで,本稿ではこの起訴前鑑定留置について簡単に説明したいと思います。 “【起訴前鑑定留置】被疑者の精神鑑定目的で行われることが多い身体留置手続き” の続きを読む

ストライダーは道路交通法上は自転車・軽車両・歩行者のどれに該当するのか

最近,街中でストライダーに乗車している子供をよく目にします。

このストライダーは,基本的には,公園や広場などで使用されることが前提となっているはずなのですが,街中で乗られているということは,ストライダーに乗っている子供が交通事故に遭う可能性も出てきます。

では,このストライダーが道路上で交通事故に遭った場合,どういう基準で過失割合を決するのでしょうか。現在交通事故損害賠償実務において当たり前のように規範として使用されている別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)にストライダーの区分がなされていないため問題となります。 “ストライダーは道路交通法上は自転車・軽車両・歩行者のどれに該当するのか” の続きを読む

【損害拡大防止義務】交通事故被害者が被った損害のうち被害者負担となるものについて

交通事故被害に遭った場合,加害者側に損害賠償請求することができることはもちろんですが,被害者自身が加入している保険会社に対して保険金(人身傷害補償保険金・車両保険金など)の請求ができる場合があります。

もっとも,その交通事故被害者であっても,当事者間の損害の公平な分担という観点からむやみに損害を拡大させることがないようにする義務を負うと考えられ(損害拡大防止義務),被害者がある行動を取っていれば損害の拡大を容易に防止できたにもかかわらず,その行動を取らなかったことにより損害が拡大した場合にはその損害は被害者が負担すべきであると考えられています。

以下,どのような根拠で損害拡大防止義務が課されることとなり,具体的にどのような効果をもたらすかについて簡単に説明したいと思います。 “【損害拡大防止義務】交通事故被害者が被った損害のうち被害者負担となるものについて” の続きを読む

上司・部下・同僚が運転する車に乗車中の交通事故の場合には当該車両に付保された自動車保険契約対人保険金は支払われない

お仕事をされている方の中では,同じ会社に勤める上司・部下・同僚の運転する自動車で移動することがよくあると思います。

当然ですが,同じ会社に勤める人物の運転する自動車に乗車中にも一定の割合で交通事故が発生します。

もっとも,同じ会社に勤める人物の運転する自動車に乗車中に交通事故に遭った場合,「同じ会社に勤める人物の運転する自動車」の自動車保険契約に基づき対人保険金が支払われることはありません。

本稿では,なぜそのようなこととなっているか,その場合にどうしたらよいのかについて簡単に説明したいと思います。

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【使用貸借契約の終了原因】タダで貸した物を返してもらえるのはいつなのか

他人に物を無償で貸し付ける契約を使用貸借契約といいます(民法593条~)。

貸借の対価としてお金が発生する賃貸借契約と比べると特定の人的関係間で締結されることが多く,家族間や友人間で多用される契約形態です。

特に,不動産を有する方が死亡した場合に,1人の相続人が被相続人の有していた不動産に住み続ける場合(父【夫】が死亡した場合に,その妻と子が共同で自宅を相続するものの,妻【母】がそれまで通り自宅に住み続ける場合)などが典型例です。

もっとも,使用貸借契約当事者の関係が険悪になった場合,使用貸借契約の契約解約について問題となることが散見されます。

そこで,本稿では,このような場合に問題となりうる使用貸借契約の終了原因について説明したいと思います。 “【使用貸借契約の終了原因】タダで貸した物を返してもらえるのはいつなのか” の続きを読む

自動車の車幅とはどこからどこまでか(法律豆知識)

交通事故損害賠償実務を処理している際,事案を検討したりする際はもちろん,図面を引く際などにも車両の幅が問題となります。

例えば,4m道路において,149cmの169cm車両がすれ違う場合の位置関係を示す場合に問題となり得ます(わかっている人からすれば全く問題とはなりませんが・・)。

以下,わかっている人には当たり前の事項ですが,車幅の意義について簡単にその意義と法的根拠を説明したいと思います。 “自動車の車幅とはどこからどこまでか(法律豆知識)” の続きを読む

三輪車自動車の交通事故では別冊判例タイムズの単車と四輪車のどちらの基準を適用するのか

日本の道路では,単車(二輪車)・四輪車のみならず,三輪車自動車も多数走行しています。

そのため,当然ですが,三輪車自動車も一定の割合で交通事故に遭います。

では,三輪車自動車が交通事故に遭った場合,どういう基準で過失割合を決するのでしょうか。現在交通事故損害賠償実務において当たり前のように規範として使用されている別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)に三輪車自動車の区分がなされていないため問題となります。 “三輪車自動車の交通事故では別冊判例タイムズの単車と四輪車のどちらの基準を適用するのか” の続きを読む