【交通事故による後遺障害】交通事故損害賠償上必要となる骨折の知識

交通事故被害(特に歩行車対自動車の事故の場合)に遭われた場合,不幸にも骨折を伴う怪我をされることがあります。

以下,交通事故損害賠償上の観点から,交通事故処理を行う上で必要となる範囲での骨折の賠償上の位置づけを説明します(なお,医学的知見については,本稿では扱いません。)。

骨折による傷害

骨折をした場合,通常強い痛みを感じます。

骨が折れると痛いのです。

もっとも,これは,骨が折れたことにより生じた痛みではありません。

骨自体には知覚神経が存在しないため,骨折の態様いかんにかかわらず,骨折したことのみによって痛みを感じることはないからです。

骨折により痛みを感じる理由は,大きく分けると次の2つの理由によります。

① 骨折したことによって,骨を包み込んでいる骨膜(骨膜には血管や神経が張り巡らされています。)が損傷するため。

② 骨折に伴い,骨の周辺に存在する筋肉や人体といった軟部組織が損傷するため。

骨折の治療経過

骨折をした場合,骨折部の接合・固定及び十分な血流があることを前提に,通常以下の経過を経て,自己再生が生じます。これは手術をした場合であったも同様です(骨折の手術は,あくまでも骨折部を固定して以下のサイクルが起こりやすくするためのものであり,折れた部分をくっつけるものではありません。)。

①炎症期

骨折により,骨髄・骨皮質・骨膜等の血管から出血が生じた後,出血による血腫が形成され,その後壊死細胞の吸収と血管新生が生じる。

②修復期

繊維性骨を主とした軟性仮骨で連携され,この類骨組織にカルシウムなどが沈着し骨化が進み,硬性仮骨となる。

③リモデリング期

形成された繊維性骨がより好個な層板骨へと置換され,破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成とを繰り返し,元の骨構造へ復元していく。

骨癒合までのおおよその目安

骨の治療過程ののおおよその目安期間は以下のとおりとされています。

グールトコールドウウェル(累計)
仮骨出現骨癒合機能回復
指骨2週2~3週3~6週6週
中手骨2週2~3週3~6週6週
中足骨2週2~3週3~6週6週
肋骨3週
橈・尺骨骨幹部5週3週6~8週10~12週
肘関節内5週3週5週12~14週
手関節内5週3週6週7~8週
鎖骨4週
上腕骨遠位部2~4週6週8週
骨幹部6週2~4週6週8週
近位部7週2~4週6週8~12週
骨盤4週8週8~16週
大腿骨頚部12週12週24週60週
転子間部4週12週16週
骨幹部8週6週12週14週
顆上部6週12週14週
膝蓋骨6週6週6~12週
脛・腓骨膝関節内7~8週6週6週14週
骨幹部7~8週4週6週12週
足関節内7~8週6週6週12週
踵骨6週8週12~14週

骨折による後遺障害

骨折に起因する骨自体の障害(短縮・変形・不完全癒合・偽関節など)

骨折に起因して,骨自体が,事故前の状態に復元しなかった場合,骨の障害として後遺障害認定がなされえます。詳細は,最下段のリンク先ページから該当する骨についての後遺障害を参照ください。

骨折に起因する周辺組織の障害(関節可動域制限・神経症状・疼痛など)

骨自体は事故前の状態に復元したが(又は,骨自体が事故前の状態に復元しなかったのと合わさって),骨折に起因して,骨折部の周辺組織に障害が生じた場合にも,その障害に応じた後遺障害認定がなされえます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です