交差点進入車両に徐行義務が課される場合と,これが免除される場合の注意義務とは

車両を運転して交差点に進入しようとする際,①手前で一時停止をしなければならない場合,②交差点進入時に徐行をしなければならない場合,③一時停止も徐行も必要ない場合があり得ます。

交差点の手前で一時停止をしなければならない場合(①)については,以前紹介をしましたので,今回は,交差点進入時に徐行をしなければならない場合について説明したいと思います。

交差点進入時の徐行義務の有無

法律上,車両を運転して,見通しのきかない交差点に進入しようとする場合,双方の道路幅に関係なく,原則として(交通規制がある場合と優先道路の場合を除いて)徐行義務が課されています(道路交通法42条1号)。

もっとも,以下の場合には,左右の見通しの有無に関係なく,交差点進入時に徐行義務は免除されます。

① (信号機による)交通整理がないが左右の見通しがきく交差点の場合で,他方道路より明らかに狭い道路を通行しているのではない場合

② (信号機による)交通整理が行われている場合

③ 優先道路を走行している場合

優先道路とは,「道路標識等によって優先道路として指定されているもの、交差点において車両通行を規制する道路標識等による中央線または車両通行帯が設けられている道路」(道路交通法36条2項)をいいますので,明らかに広い側の道路を通行している場合であっても,他方道路に一時停止規制がある場合であっても優先道路に該当しない場合には,徐行義務は免除されません。

道路交通法36条3項
車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。

道路交通法42条
車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
一 左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき(当該交差点において交通整理が行なわれている場合及び優先道路を通行している場合を除く。)。

徐行義務がない場合の交差点進入時の注意義務

前記「第1」①~③に該当するために交差点に進入する際に徐行義務が課されない場合であっても,無配慮に交差点に進入してもいいというわけではありません。

法律上,交差点に進入する・しようとする車両は,当該交差点又はその直近に存する車両や歩行者に注意し,その通行を妨げてならないという法律上の義務があるからです(交通整理の行われている交差点では道路交通法36条4項,交通整理の行われていない交差点では道路交通法70条)。

そのため,見通しがきく交差点,信号機による交通規制のある交差点,優先道路を通行するため徐行しなくてもいい場合であっても,安全な速度と方法で交差点に進入しなければならないので注意が必要です。

道路交通法36条
車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。
4 車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。



4 Replies to “交差点進入車両に徐行義務が課される場合と,これが免除される場合の注意義務とは”

  1. 道路交通法36条には
    こう 記されて、
    いますよね?

    車両等は、
    “交通整理の行なわれていない交差点”
    においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。

    で、
    此の 内包する、
    4項が、
    信号あり交差点に 適応されるとは、
    どういった 根拠からですか?

    1. 能瀬正也 様

      貴重なコメントありがとうございます。

      非常にわかりにくい表現で申し訳ありませんでした。

      信号機が設置されている交差点であっても,①点滅信号表示の場合や,②歩行者専用の押しボタン信号機が設置され一方が常時青信号で,横断歩行者が歩行者専用の押しボタン信号機を設置した場合にのみ一方道路の信号が赤信号となる交差点ではその交差道路から交差点に入る車両に関する関係では,交通整理の行われていない交差点として評価されて道交法36条4項が適用されるため,「信号機がある交差点」でも,交通整理が行われていないとして同条項の適用がありうることを示した文言のつもりでした。

      おっしゃるとおり,信号機があり,その信号機によって交通規制が行われている場合であれば,同条項ではなく,一般条項としての同法70条による配慮義務が生じます。

      ご指摘ありがとうございました。

  2. 福岡県内に在住する者です。運転歴は60年以上、うち普通乗用車運転歴は53年を超えました。
    ①交差点は速やかに通過しなければならない。と頭の片隅に残っています。
    この記憶が正しいとすると、西鉄バスが交差点内で一時停車して安全確認するのは違法と思えるのですが。
    左折する際に最徐行して安全確認しながら通過するのは当然としても、比較的見通せる右折迄馬鹿丁寧に一旦停車して安全確認をする必要性があるのか、反対に追突事故を誘発するのではの懸念の方が先に立ちます。私のこの感覚は狂っているのでしょうか?
    ②福岡県内の交差点での時差信号の表示方法がバラバラなのが気になります。本来の時差信号表示は右折し難い交差点の右折を速やかにするために設置するものと考えます。(そうしないと、極端な例ですが、一生右折出来ない事になる。)
    ところが、福岡県ではその逆・優先して進行出来る方の信号の時差信号表示をしていました。この表示方法は47都道府県のうち、福岡県と沖縄県だけと認識しています。
    福岡県では、ここ数年逆表示の愚に気付いたのか、私に言わせるとまともな表示をする信号機も増えて来ました。
    しかし、信号機の両面に時差信号表示をしている交差点も見受けられます。これがバラバラという所以です。
    この取付方では、運転者を迷わせスムーズな通行を妨げてしまいます。また、公的資金を無駄に使っているとしか思えません。加えて他県の方に対して事故を誘発させかねません(既に、事故やトラブルが発生しているのではないかと推察しています)。一交差点の四つの信号機の両面に、計八つの時差信号表示をする、私に言わせると愚の骨頂です。私はこの表示は、福岡県民の恥、またこの現象は交通警察機構組織の統治機構の欠如だと思料しています。(警察庁から福岡県警に視察に来て、何処を見てどんな指導をしているのでしょうか?)
    近年はあまり通行しないので確認していませんが、香椎駅から3号線に降りる交差点に電飾で時差信号表示をしていましたが、まだやっているなら、県民として恥ずかしさ身が震える思いです。
    これも、古希を超えた私の思い込みでしょうか。

    1. 岩本隆志 様

      コメントありがとうございます。

      さて,まず,①の点ですが,
      交差点内にて安全に通行ができる場合には,速やかに通過すべきであることはもちろんです(もっとも,この義務は努力義務です。)。
      他方,安全確認が出来ていない場合には,交差点内においても停止して安全確認を行う義務があります。
      その時々において状況が異なりますが,交差点通過時は,通行上の便宜よりも,安全が優先しますので,安全確認をし過ぎて非難されることはありません。

      次に,②の点ですが,
      私は関西地方にて居住・勤務をしておりますので,福岡県内の信号規制については詳しくありませんので,回答は差し控えさせていただきます。

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