交通事故加害者は被害者からの工場代車代の支払請求に応じる必要がない(レンタカーとは違います)

交通事故加害事故を起こした場合,被害者から,被害者運転車両の修理期間中,修理工場から代車を借りたので,工場代車代を支払うようにと請求されることがあります。

もっとも,交通事故の相手方による工場代車代に応じる必要はありません。

法律上,交通事故加害者は,相手方からの工場代車代の支払請求に応じる必要がないからです。

自動車を有償で貸し出すためには法律に基づく許可がいる

わが国には,道路運送法という法律があり,同法80条1項により,誰かが自動車を有償で貸し出すためには,道路運送法80条1項に定める許可が必要であるとされています(レンタカー事業許可というものです。)。

道路運送法80条1項本文
自家用自動車は,国土交通大臣の許可を受けなければ,業として有償で貸し渡してはならない。

すなわち,法律上,レンタカー事業許可を受けていない者は,有償で他人に自動車を貸し渡すことができないのです。

当然,修理工場もこの法律に服することになりますので,修理工場が,被害者に対して,被害車両の修理中に工場代車を提供したとしても,レンタカー事業許可を受けていなければ,修理工場が被害者に対して工場代車代請求権を取得することはありません。

被害者が工場代車代支払い義務を負いませんので,当然に加害者がかかる工場代車代の支払い義務を負うこともありません(このことは,仮に被害者と修理業者との間で,工場代車代の支払い約束がなされていたとしても変わりはなく,加害者が同支払い義務を負わないことに変わりはありません。)。

工場代車代支払いについての実務上の運用

これに対して,実務上は,レンタカー事業許可を受けていない修理工場が工場代車を提供した場合,加害車両付保保険会社が日額3000円の限度で工場代車代の支払いをすることが多くみられます。

もっとも,実はこれは,工場代車代の支払ではないのです。

加害車両付保保険会社が,工場代車代の支払いをすると違法行為の黙認となってしまいますのでその支払いはできないものの,他方で,加害車両付保保険会社が修理工場に対して工場代車代の支払いを全くしないとすると,工場代車代の支払いについて新たな紛争が生じてしまう可能性があるため(加害者が,被害者に責められる可能性がある。),保険会社において工場代車代についてあえてあいまいな解釈をして,慣習的に「謝礼金名目で日額3000円の支払いがなされる」実務運用がなされています。

実務上,以上を理解しない修理工場が,[代車の相当性]の観点から工場代車代が3000円というのはレンタカー代と比較して安すぎるので相当額の支払いをしろとクレームを入れてくることがありますが,法律を理解しない無茶苦茶な主張ですので,それに対して対応する必要はありません(そればかりか,法的手続きに至った場合には,1円たりとも支払う必要はありません。)。



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