弁護士の顧客・仕事獲得方法(新規開拓ができない・仕事がないと悩んでストレスを感じる前にすべきこと)

先日,後輩弁護士から,時間を作ってくれと言われ,相談を受けました。

要は,事件委任をしてくれる依頼者が少ないのだが,つても何もなくいため,新規のお客様をどうやって獲得したらいいのか教えてほしいとのこと。色々な会合に出ているが効果がないらしいのです。

弁護士増員時代の共通の悩みです。

事件受任を求めて新規顧客の開拓を試みる営業スタイルの誤り

事件依頼が増やすために新規の依頼者をどうやって探したらいいのかと悩んでいる弁護士の多くは,基本的な考え方が間違っています。

弁護士の事件受任は,過去の依頼者,過去に獲得した顧問先,事件で関わった関係者からの紹介によるものが圧倒的に多いはずです。

一見の依頼者から事件を受けることはそれほど多くありません(インターネット等で集客している弁護士は除きます。)。少なくとも,私は紹介者のいない一見の方からの事件受任はしていません。

すなわち,事件を受任数を増やしたいのであれば,新規の依頼者を探すのではなく,事件を紹介してくれる人の信頼を得るのが一番の早道のはずです。

事件を委任してくれる可能性を考えた場合,見ず知らずの人と,かつて依頼をしてくれた過去の依頼者等では,どちらが次の顧客候補者かは考えなくてもわかります。

受任事件を増やしたいのであれば,新規の見込み客ではなく,今ある依頼者の信頼を得て,その信頼関係を維持することが大切です。

むやみに新規顧客を開拓しようとしても,受任事件は増えません。

事件を紹介してくれる過去の依頼者,過去に獲得した顧問先,事件で関わった関係者がいないから困っていると言われそうですが,弁護士として業務に携わっている以上,これまでに事件受任をした過去の依頼者や,現在の事件委任中の依頼者がいないはずがありません。

この悩みを持っている人の多くは,新規顧客の開拓ができないのが問題ないのではなく,過去の依頼者,過去に獲得した顧問先,事件で関わった関係者の信頼が獲得できていないことが問題なのです。

そして,そのことに気が付いていないのが問題なのです。

弁護士の知り合いがいる人は,世の中にそれほど多くはいません。

そのため,一度弁護士と知り合いとなった人は,次に何らかの法的問題が生じた場合,通常,まずはその弁護士に相談します。

また,誰かから法的問題があることを聞いた場合,通常は,その弁護士を紹介します。

一般の人からすれば,見ず知らずの弁護士にいきなり相談するのは勇気がいりますので,知り合いの弁護士を頼るのは自然な感覚です。

それにもかかわらず,過去の依頼者,過去に獲得した顧問先,事件で関わった関係者が事件を紹介してくれないということは,その人が,その弁護士に事件を委任できない何らかの問題点を感じているからです。

すなわち,冒頭の悩みを感じている弁護士は,新規顧客の獲得ができないと悩む前に,なぜ過去の依頼者,過去に獲得した顧問先,事件で関わった関係者が,自分に事件を紹介してくれないのかについて悩むべきです。

単に弁護士経験が浅くて法的知識が不足しているのか,弁護士として事件の見立てを見極める力がないのか,書面作成能力が不足しているのか,法廷技術が不足しているのか,示談交渉術が拙いのか,社会経験が不足しているのか,依頼者に対するきちんとした説明ができていないのか,はたまた人間性に難があるのか理由はわかりませんが,依頼者の信頼を得られない何らかの理由があるはずです。

まずは,その問題点を解消するべきです。

弁護士として1つ1つの事件に全力を尽くすことが次の事件受任につながるということ

弁護士業務は,今いる依頼者等の関係者,かつての依頼者,そしてその紹介を受けた方へと繋がっていくから成り立つのです。

この観点からすると,今いる依頼者が,別の人を紹介してくれるという業務形態が前提となりますので,現在の事件に真摯に取り組み,顧客の最大利益を図る活動ができるはずです。

1つ1つの事件に真摯に取り組み,その都度顧客等の信頼を勝ち得ていくことが,その弁護士の信頼につながり,また結果として弁護士全体の信頼にも寄与していきます。

今いる弁護士は,先輩弁護士たちが得てきたこの信頼にも依拠して業務を行っているのです。

この理は,おそらく弁護士業だけの話ではないと思います。

多かれ少なかれ,ほぼ全ての仕事は,この信頼関係と,顧客の紹介がその経済的基盤となっているはずです。いわゆる固定客というものです。

事件依頼が増やすために新規の依頼者をどうやって探したらいいのかと悩んでいる弁護士の方は,一度,事件処理方針を見直して見るべきだと思います。

偉そうな記事を書いてしまいましたが,自分に対する戒めの意味もあります。

気を悪くされたらすみません。

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