弁護士を含めた士業の節税方法(プライベートカンパニー設立編)

本稿では,弁護士を含めた士業の方が,法人設立によって節税を行う方法について考えたいと思います。

なお,本稿にいう法人は,弁護士法人等の士業法人ではなく,プライベートカンパニー(いわゆる会社です。)。

個人所得税と法人所得税の税率の違い

わが国では,法人所得税の税率は,以下のとおり,個人所得税の税率に比べて,とても低い率となっています。

【個人所得税】

個人所得税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円~330万円以下 10% 97,500円
330万円~695万円以下 20% 427,500円
695万円~900万円以下 23% 636,000円
900万円~1800万円以下 33% 1,536,000円
1800万円~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

【法人税率】

平28.4.1以後
開始事業年度
平30.4.1以後
開始事業年度
資本金1億円以下の中小法人 年800万円以下 19%(15%) 19%(15%)
年800万円超 23.40% 23.20%
中小法人以外の普通法人

なぜ,個人所得税と法人税との間にこのような大きな税率の差が生じるかというと,答えは簡単です。

個人は,その国籍を有する国以外で営業活動を行うには厳しい制約があり(日本人がアメリカで業務を行うことを例にとると,就労ビザやグリーンカードが必要となります。),そう簡単に国籍を有する国以外の国で業務を行うことができません。

そのため,国が,個人の所得に高い税率をかけても,その個人は,簡単に他の国に営業の根拠を移して逃げ出すことができないため,高い税率が課されているのです。

ところが,法人は世界中のどこに根拠を置いてもその営業活動が可能であり,通常,業務を行うに際して,他国の登録等は必要となりません。

そのため,国が,法人の所得に高い税率をかけてしまうと,その法人は,その国から仕事とお金を引き上げて,他の国にそれを移してしまいます。

そのため,国は,法人の所得に高い税率をかけることができないため,法人税率は,個人所得税率に比べて,とても低い割合となっているのです。

この傾向は,今後も顕著となっていくものと考えます。

なぜなら,今日では,営業の本拠地の概念が,かつての産業時代のいわゆる場所から,インターネット上のサイバースペースに変わっており,営業の本拠地を海外に移転させることが,昔よりもさらに容易になっているからです。

以上を前提とした場合,節税の観点からみると,士業を含めた個人事業主の方が,一定額以上の所得を得ている場合には,プライベートカンパニーを設立し,個人の所得を,法人の所得に付けかえていくことが大事であることがわかります。

特に,一般的に所得が多いとされる弁護士を含む士業の方には,その効果は絶大です。

プライベートカンパニーを設立して節税する方法

士業の方がプライベートカンパニーを設立して節税する方法として,以下の2つが主たる目的ではないでしょうか。

①個人で請求する報酬を個人とプライベートカンパニーに分散させる(所得分散)

例えば,個人で4000万円の所得がある事業をされている方が,2000万円分を個人事業として,残りの2000万円分をプライベートカンパニーとして売上げると,個人所得を圧縮させることができ,相当額の節税となります。

これは,多くの税理士の方がされている節税方法で,税理士に税務申告を依頼すると,決算書類作成代として総額の半分程度を税理士口座に,帳簿作成料として残りの半分程度を税理士のプライベートカンパニー口座に分けて入金するよう指示されることが多いと思いますが,これが所得分散の代表例です。

②個人保有資産からの売上げをを法人の売上げにしてしまう方法(所得の付替え)

個人で所有していた不動産の賃貸収入等について,これをプライベートカンパニーに名義を移してしまえば,当然その売上げもプライベートカンパニーのものとなりますので,個人の所得圧縮でき,相当の節税となります。

なお,プライベートカンパニーの売上げから,年間65万の給与所得者控除を利用して従業員給与として個人に戻す,また個人の所得の少ない年に役員報酬として支払うなどすることも可能です。

なお,以上は一例です。

その他,プライベートカンパニー名義の不動産を個人事務所として借り受けたり,転貸をしたり,従業員を派遣型にするなどすることも考えられますが,あくまでも脱税にならないように注意をしてください。

節税はOKですが,脱税は絶対にNGです。

また,業態によって,とりうる手段ととりえない手段がありますので(弁護士の方は,前記のうち所得分散型での節税は基本的に許されません。),適法性について迷いがある場合は、税理士・弁護士に相談してみてください。

【参考まで】



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