民事裁判期日に出頭しないで訴訟上の和解と同じ効力を得る方法!和解に代わる決定・調停に代わる決定(17条決定)について

民事訴訟の終わり方は,判決だけではありません。

判決の他にも,訴訟上の和解でも訴訟は終了します(なお,他にも,訴えの取下げや,請求の認諾などがありますが,本稿の話題ではないので紹介は割愛します。)。

この訴訟上の和解は,通常当事者が期日に出頭して行われるものですが,当事者が期日に出頭することなく訴訟上の和解と同一の効力を生じさせる手続きがあります。

以下訴訟上の和解の原則を踏まえて,この当事者が期日に出頭することなく訴訟上の和解と同一の効力を生じさせる手続きを紹介します。

訴訟上の和解は当事者が期日に出頭して行われる

訴訟上の和解とは,訴訟継続中に,双方当事者(原告及び被告)が,双方譲歩して,口頭弁論期日等において,権利関係及び訴訟終了の合意をすることをいいます。

訴訟上の和解は,訴訟追行中のどの段階でも行うことは可能であり(民事訴訟法89条),和解調書の作成により確定判決と同様の効力を有することとなります(民事訴訟法267条)。

この訴訟上の和解は,裁判官の面前で,当事者双方が出席する期日(口頭弁論期日・弁論準備期日等)にて行われるのが原則です。

弁論準備手続きに附されて電話会議による場合であっても,当事者の一方は電話の方法で期日に不出頭とすることはできても,他方当事者は期日に出頭する必要があります。

もっとも,訴訟上の和解の期日は,通常和解条項を確認するだけの手続きであり(和解交渉は,和解の期日の前に行われているのが通常です。),遠方の裁判所の場合などでは,当事者がわざわざ和解を成立させるためだけに期日に出頭するのは面倒です。

そこで,この出頭の手間を排除するために,期日に出頭することなく訴訟上の和解と同様の効力を生じさせる手続きが存在します。

当事者が期日に出頭することなく訴訟上の和解と同様の効力を生じさせる訴訟の終わらせ方

簡易裁判所における金銭請求の場合:和解に代わる決定

簡易裁判所での金銭請求訴訟の場合(かつ分割支払いの定めをするときは5年を超えない範囲とする場合)には,裁判所は,決定を言い渡すことができるとされています(民事訴訟法275条の2第1項)。

この決定は,告知を受けた日から2週間以内に当事者が異議を申し立てなかった場合には,裁判上の和解と同一の効力を有するとされています(民事訴訟法275条の2第5項)。

そして,決定は,当事者が出頭する期日でなくても(そもそも期日を開くことなく),言い渡しをすることができますので,簡易裁判所での金銭請求訴訟の場合には,和解に代わる決定を裁判所に求めることによって,期日に出頭することなく訴訟上の和解と同様の効力を生じさせることができます。

簡易裁判所での金銭請求以外・地方裁判所・高等裁判所の場合:調停に代わる決定(17条決定)

もっとも,前項の和解に代わる決定は,簡易裁判所における金銭請求以外の場合では使えません。

そこで,地方裁判所・高等裁判所・簡易裁判所における金銭請求以外の場合には,当事者が期日に出頭することなく訴訟上の和解と同一の効力を得るのは,通常,以下の手続きによることとなります。

民事訴訟においては,受訴裁判所は,事件を調停に付すことができるとされています(民事調停法20条1項)。

すなわち,裁判所は,民事訴訟を調停に移行させることができるのです。

そして,調停では,調停に代わる決定(本来は,民事調停において調停が成立する見込みがない場合に,裁判所が,職権で事件の解決のために必要な決定をするものです,民事調停法17条)。というものがあり,この決定も,告知を受けた日から2週間以内に異議を申し立てなかった場合には,裁判上の和解と同一の効力を有するとされています(民事調停法18条1項,5項)。

そして,決定は,当事者が出頭する期日でなくても(そもそも期日を開くことなく),言い渡しをすることができますので,調停に代わる決定(17条決定)を裁判所に求めることによって,期日に出頭することなく訴訟上の和解と同様の効力を生じさせることができます。

なお,調停に代わる決定の他にも,受託和解の方法により,当事者の一方の出頭なしに和解手続きを行うこともできますが(民事訴訟法264条),この方法では,少なくとも一方当事者は出頭しなければなりませんので,完全に手続きを省略できませんので,あまり使い勝手のいい手続きではありません。

参考まで。



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