道路上を走行していた車両が,路外に出ようとした際(路外進出といいます。)に交通事故が発生した場合,この路外進出車と道路上を直進走行していた車両との間の過失割合はどのように決められるのでしょうか。
以下,道路を走行していた車両が,左折又は右折で路外へ出ようとする場合に,道路交通法上どのような注意義務が課されているか及び路外進出車両が事故を起こしてしまった場合の基本的過失割合の説明をします。 “路外進出車の道路交通法上の注意義務と過失割合について” の続きを読む
交差点内及びその手前での車線変更(進路変更)は道路交通法上許されているのか?
交差点内及びその手前での車線変更をした場合,道路交通法違反となったり,その結果として交通事故賠償上過失責任を問われたりするのでしょうか。
交差点内では一切車線変更をしてはいけないかのような認識の方がおられますが,そんなことはありません。
結論から先にいえば,原則として,交差点内及びその手前30m以内で車線変更をしたとしても,直接的に道路交通法に違反することにはならず,例外的に,交差点内及びその手前での車線変更を①追越し又は追抜きの形態で行う場合,又は交差点内及びその手前に②黄色実線による車線境界線が存在している場所で行う場合に限って道路交通法違反となるのです。
以下,この結論に至る理由を説明します。 “交差点内及びその手前での車線変更(進路変更)は道路交通法上許されているのか?” の続きを読む
警察官ではない私的誘導員(警備員)の誘導によって交通事故が生じた場合の過失割合について
大型ショッピングセンターや工事現場などでは,その出入口付近に立ち,出入口からの出入り車と道路走行車との交通整理を誘導する誘導員をよく目にします。
この誘導員がいてくれるおかげで,ショッピングセンターや工事現場の出入口付近のスムーズな交通整理が行われ,また交通安全にも役立っています。
他方で,この誘導員は,ショッピングセンターや工事業者が使用している私人にすぎず,これらの者が公道上の交通整理を行うことが可能なのかという疑問も生じます。
本稿では,このような私的誘導員の見落とし等の過失によって交通事故が発生した場合の,関係当事者の過失割合がどのように判断されるのかについて考えてみたいと思います。 “警察官ではない私的誘導員(警備員)の誘導によって交通事故が生じた場合の過失割合について” の続きを読む
事故車両同乗者のシートベルト未装着・不着用による過失相殺割合(判例・裁判例の基本的な考え方について)
交通事故に遭った自動車に同乗していた人が,シートベルトを装着していなかった場合,当該シートベルト未装着同乗者もシートベルト装着義務違反による過失が問われるのでしょうか。
シートベルト装着義務違反による過失が問われるのはどのような場合か,問われる過失の程度はどれ位かについて,順に見ていきましょう。
ミニカーとは(原付と同じ排気量50ccなのに道路交通法上普通自動車とされる青ナンバー登録車両)
排気量50ccの原付免許で乗れると思われるにもかかわらず,法律上,道路交通法上普通自動車として扱われるため,原付の法規制を回避して普通自動車として運用できるのがミニカーです。
最近は,某キャラクターのコスプレをして公道上をカートで疾走する外国人の集団をよくみまけますが,あのカートも実はミニカーです。
本稿では,そんなミニカーの法律上の位置づけについて,原付の法規制と対比しながら検討していきたいと思います。 “ミニカーとは(原付と同じ排気量50ccなのに道路交通法上普通自動車とされる青ナンバー登録車両)” の続きを読む
ETCレーンでの追突事故における過失割合について
ETC車線では,走行路を塞ぐ形状で開閉棒が設置されているため,何らかの原因で開閉棒が開かなかった場合,走行車両が急制動をすることあります。
このETC車線での先行車両の急制動により,後続車両が先行車両に追突した場合,両車両の過失割合はどのように考えるべきなのでしょうか。 “ETCレーンでの追突事故における過失割合について” の続きを読む
無免許運転が交通事故損害賠償での過失割合にどのように影響するか(裁判例の基本的な考え方も)
わが国には,「何人も,…公安委員会の運転免許を受けないで(…運転免許の効力が停止されている場合を含む。),自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。」との法律があり(道路交通法64条1項),これに違反して,無免許運転をした場合,刑事上,1年以下の懲役又は30万円以下の刑事処分を科せられることとなります(道路交通法117条の4第2号)。なお,ここでいう無免許とは,運転訓練を経ない無免許に限られず,些細な交通違反を重ねて免許停止の処分を受けている者も含まれます。
では,無免許運転の場合,民事上は過失割合にいかなる影響を及ぼすのでしょうか。無免許運転の事実により,直ちに同運転者に不利益な過失修正がなされるのか問題となります。
交通事故損害賠償請求事件において過失相殺は裁判所の義務か
交通事故が発生した場合,通常は,各人の損害額に当事者双方の過失割合を乗じて賠償額を決します。
もっとも,交通事故損害賠償請求事件において,何らかの理由で一方当事者が過失主張をしない場合があります。
では,一方当事者が過失主張をしない場合に,裁判所は職権で過失相殺ができるのでしょうか,またはしなければならないのでしょうか。 “交通事故損害賠償請求事件において過失相殺は裁判所の義務か” の続きを読む
酒気帯び運転・飲酒運転は交通事故の過失割合にどのように影響するかを裁判例の修正率を基に検討する
わが国には,「何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」との法律があり(道路交通法65条1項),これに違反して酒気帯び運転をした場合,刑事上,5年以下の懲役又は100万円以下の刑事処分を科せられることとなります(道路交通法117条の2第1項)。
では,この酒気帯び状態で交通事故を起こした場合,民事上は過失割合にいかなる影響を及ぼすのでしょうか。酒気帯び運転の事実により,直ちに同運転者に不利益な過失修正がなされるのか問題となります。 “酒気帯び運転・飲酒運転は交通事故の過失割合にどのように影響するかを裁判例の修正率を基に検討する” の続きを読む
交通事故損害賠償事案における過失割合についての基本的な考え方とは
交通事故損害賠償事案においては,自己に関与した当事者それぞれについて,その過失の程度(自己に寄与した程度)において,損害賠償を負担することとなります。
では,ここでいう過失とはどのようなものをいうのでしょうか。
以下,交通事故損害賠償事案における過失論の意義について検討したいと思います。 “交通事故損害賠償事案における過失割合についての基本的な考え方とは” の続きを読む